アパート投資と区分マンション投資のメリットとデメリットを比較
2025/10/17

アパート投資と区分マンション投資のメリットとデメリットを比較

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不動産投資にはさまざまな種類がありますが、「アパート投資」と「区分マンション投資」を比較した場合、どちらが良いのか知りたいという方も多いでしょう。

アパート投資は利回りが高く、運用次第では大きなリターンが期待できることから、投資対象として人気の物件のひとつです。


しかし、初めて不動産投資をおこなう方の中には、いきなり高額のアパートに投資するより、まずは区分マンション投資を考えている方もいるでしょう。


そこで今回は、アパート投資と区分マンション投資について、それぞれのメリットとデメリットを比較しながら紹介します。


どちらにも一長一短があるため、どちらの投資が自分に向いているのか検討するためにも、ぜひ当記事を参考にしてください。


アパート投資と区分マンション投資の特徴

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まず、アパート投資と区分マンション投資について、それぞれの特徴を紹介します。


アパート投資の特徴

アパート投資は、一棟アパートを購入して第三者に賃貸することで賃料収入を得ます。

一棟アパートは複数の部屋から賃料を得られるため、稼働率が高ければ大きなリターンが期待できるのが特徴です。


また、相続税対策や所得税などの節税対策としてアパート投資を選択する方も少なくありません。


一棟アパートの価格は区分マンションと比較すると高額であることから、金融機関から融資を受けるのが一般的です。

その場合、ローンの返済は家賃収入からおこなうため、上手にアパートを運用できれば手元資産を減らすことなく、効率よく資産を形成することが可能です。


ただし、中古アパートで数千万円程度、新築で好立地物件であれば1億円を超える物件も多く、アパート投資を始めるためには、ある程度まとまった額の初期費用が必要であることがデメリットと言えるでしょう。


区分マンション投資の特徴

区分マンション投資とは、マンション内の一室を購入し、第三者に賃貸することで賃料収入を得ます。


アパートを一棟と比較すると物件価格が安価であるため、自己資金が少ない場合でも始めやすく、また比較的売却しやすいのが特徴です。


その一方で、一棟アパート投資と比較すると区分マンション投資は利回りが低くなるのが一般的です。


特に価格が高めの都心部や新築・築浅の区分マンションは実質利回りが低いため、家賃からローン返済や経費を支払うと手元に残るお金はごくわずかとなるケースもめずらしくありません。


また区分マンション投資は1室のみを賃貸するため、入居者がいなければ家賃収入を得られません。

空室期間であってもローン返済などの支払いはおこなわなければならず、その間の支払いはすべて手出しとなるため、入念な空室対策が必要となります。


関連記事:アパート投資で手出し(赤字)になりやすい物件の特徴を解説!


アパート投資と区分マンション投資のメリットを比較

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ここでは、アパート投資と区分マンション投資を比較したうえで、それぞれのメリットを紹介します。


アパート投資のメリット

アパート投資は、区分マンション投資と比較して、以下のようなメリットがあります。


利回りが高い

アパート投資の利回りは、区分マンション投資と比較すると高いケースが多いです。


一棟アパートの価格は高額ですが、複数の部屋を賃貸することでリターンも大きく、そのため高利回りが期待できます。

特に物件価格が比較的安価な中古アパートは利回りが高くなるため、アパート投資初心者の方にもおすすめです。


またすでに所有している土地にアパートを建築する場合は土地代がかからないため、より高利回りになりやすく、また相続税対策にもつながります。


関連記事:アパート投資の利回りの目安は?選んではいけない高利回り物件も解説

関連記事:不動産投資のオーナーチェンジ物件とは?好条件物件の見分け方!


空室リスクを分散できる

複数の部屋を賃貸できるアパート投資は、1室のみを賃貸する区分マンション投資と比べると、空室リスクを分散できるメリットがあります。


アパートであっても区分マンションであって、賃貸物件である以上、入居者はかならず退去する日がやってきます。

運良く次の入居者がすぐに決まっても、原状回復工事や入居日の調整などによる空室期間を避けることはできません。


しかし、アパート投資は複数の部屋を賃貸できるため、1室が空室でも残りの部屋からの賃料収入を得ることができます。


このように空室リスクを分散でき、安定した賃貸経営をおこなえるのもアパート投資のメリットのひとつです。


相続税対策の効果が大きい

相続税対策としてアパート投資を始める方も多いです。


相続税は保有する財産に対して課税されますが、不動産は現金や有価証券などよりも相続税評価が低いのが特徴です。

また、不動産の中でもアパートのように第三者に貸し付けている場合は相続税評価額が下がるため、大きな節税効果が見込めます。


たとえば、現金1億円を相続した場合の相続税評価額は1億円そのままです。

しかし、建築費1億円でアパートを建てた場合の相続税評価額は5,000~6,000万円程度となり、現金で相続する場合と比較すると、およそ半分程度の相続税で済むのです。


さらに建築費用を金融機関から借入れた場合、借入金はマイナスの財産となり、その分を財産から差し引くことで相続税評価額を減少させることも可能です。


関連記事:アパート投資で節税可能な税金の種類を紹介!それぞれの仕組みを解説


所得税などの節税効果が期待できる

アパート投資をおこなうことで所得税や住民税の節税効果も期待できます。


まず、アパート投資による収益(不動産所得)は、ほか所得(給与所得など)と損益通算をすることが可能です。

損益通算とは、同じ一年分の利益と損失を相殺する会計処理です。


たとえば、不動産所得が赤字の場合、給与所得から不動産所得の赤字分を差し引きすることで総所得額が減少します。

すると課税対象額も減少するため、結果的に節税につながるのです。

関連記事:不動産投資の損益通算で節税しよう!計算例や注意ポイントを解説


またアパート投資で支払った費用の多くは、経費として計上することが可能です。

特に減価償却費は、会計上は経費計上されますが実際の支出はないため、課税される所得額を減らすことが可能です。


関連記事:不動産投資の減価償却についてわかりやすく解説!節税ポイントも


このようにアパート投資は節税効果が高い点がメリットと言えるでしょう。


なお、区分マンション投資も同様の会計処理をおこなうことは可能です。

しかし、区分マンション投資は物件価格が安く、必要な軽費も少ないため、アパート投資に比べると損益通算や経費計上できる金額が小さく、大きな節税にはつながりにくいです。


区分マンション投資のメリット

区分マンション投資は、アパート投資と比較して、以下のようなメリットがあります。


少ない自己資金で始められる

区分マンションは、一棟アパートに比べると価格が安く購入しやすいのがメリットです。

都内の物件であっても区分マンションであれば、新築で数千万円程度、中古であれば1千万円前後で購入できる物件も多いです。


価格が安いため、少ない自己資金でも金融機関から融資が付きやすく、初めて不動産投資をおこなう方にも始めやすい物件であると言えるでしょう。


売却しやすい

区分マンションは、一棟アパートに比べると売却しやすい点もメリットになります。


一般的に不動産は高額であるため買い手が見つかりにくく、流動性が低いと言われていますが、区分マンションは価格が安いため買い手が見つかりやすいのが特徴です。


特に都心部の好立地の区分マンションは、投資家だけでなく、自宅用として購入したいというニーズも存在しているのも、売却しやすい要因のひとつであると考えられます。


建物管理の手間が少ない

不動産投資をおこなううえで、物件の管理は欠かすことができません。

物件管理は多岐にわたりますが、大きく「建物の管理」と「入居者の管理」のふたつに分けることができます。


区分マンション投資の場合、建物の管理はマンション側の管理組合がおこなうため、オーナー自身で修繕などの手配をする必要がなく、その分管理の手間が少なくて済みます。


また、区分マンション投資であっても入居者の管理は管理会社に委託することができるため、入居付けや家賃回収、退去時の立ち合い、修繕の手配などは管理会社に任せられます。


アパート投資の場合、建物・入居者の管理ともにオーナー自身でおこなう(自主管理)か、管理会社に委託するか選ぶことができますが、区分マンション投資と比べると手間がかかります。


アパート投資と区分マンション投資のデメリットを比較

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次に、アパート投資と区分マンション投資を比較した際の、それぞれのデメリットを紹介します。


アパート投資のデメリット

アパート投資には、区分マンション投資と比べると、以下のようなデメリットがあります。


まとまった額の自己資金が必要

アパート投資を始める際は、物件購入資金の大部分を金融機関の融資でまかなうのが一般的です。

そのため、物件価格よりも少ない自己資金で始めることが可能ですが、価格自体が高額であるため、用意する自己資金も高額になりやすいのがデメリットです。


金融機関から融資を受けるためには、自己資金として物件価格の1~3割程度を頭金として自己資金から支払います。


また不動産を購入するにあたって、手数料や登記費用などの諸費用として、物件価格の5%~10%程度が必要になります。


たとえば7,000万円のアパートを購入する場合、頭金が700~2,100万円、諸費用が350~700万円、合計で1,050~2,800万円の自己資金が必要になる計算です。

物件価格が高額になればなるほど、必要となる自己資金額も大きくなります。


区分マンション投資であれば、物件価格にもよりますが、数百万円程度の自己資金で投資が可能です。


このように、アパート投資を始める際は、ある程度まとまった額の自己資金が必要になることを覚えておきましょう。


関連記事:アパート投資の初期費用額の目安と内訳を解説!100万円で始められる?


大規模修繕費が高額になる

アパート投資では、修繕にかかる費用はオーナー自身で負担しなければなりません。

特に10~15年周期でおこなう大規模修繕工事は費用が高額になりやすいため注意が必要です。


大規模修繕工事は、経年によって劣化する建物や設備に対して、資産価値や安全性を保つためにおこないます。


アパートの規模にもよりますが、大規模修繕工事1回あたり、数百万円の費用が発生します。


高額の費用を一度に捻出することはむずかしいため、多くの場合は大規模修繕の計画を立てたうえで、毎月一定額を大規模修繕積立金として積立てておくのが一般的です。


関連記事:アパート投資で修繕積立金が重要な理由!必要箇所と目安額も紹介


区分マンションであれば、それぞれの部屋の所有者が毎月支払っている修繕積立金を利用し、管理組合が計画的に大規模修繕工事を計画・実施してくれるため、負担も手間も少なくて済みます。


このようにアパート投資は、区分マンションと比較して修繕に関する手間や費用が大きな点がデメリットであると言えるでしょう。


区分マンション投資のデメリット

区分マンション投資には、アパート投資と比べると、以下のようなデメリットがあります。


入居者がいないと家賃収入が0円になる

区分マンション投資の最大のデメリットは、賃貸できる部屋が1戸のみであるため、入居者がいなければ家賃収入が0円になってしまう点です。


空室で賃料収入が0円であっても月々のローン返済や修繕積立金、管理費などの支払いは待ってくれません。

この場合、預貯金や給与収入などから必要な支払いをすることになるため、空室が長引くほど手元の資金が減ってしまうため注意が必要です。


そのため、区分マンション投資をおこなう際は、退去者が出てもすぐに次の入居者が決まりやすい、賃貸ニーズが高いエリアの物件を選ぶことが重要です。


利回りが低い

区分マンション投資は、アパート投資に比べて利回りが低い点もデメリットのひとつです。


一棟アパートに比べると価格が安い区分マンションですが、家賃収入に対して物件購入額の割合が高いため、利回りは低くなってしまいます。


利回りが低いということは収益も低く、購入した区分マンションによっては、家賃収入からローン返済や経費を支払ってしまうとキャッシュフローがほとんど残らないといったケースも少なくありません。


区分マンション投資では大きな利益を得ることはむずかしいため、コストを削減するなど、できるだけ利益を増やす工夫が必要です。


経営の自由度が低い

区分マンション投資は、アパート投資に比べると経営の自由度が低い点もデメリットです。


アパート投資の場合、アパートオーナーは一人だけなので、たとえば老朽化による建物の建て替えなどをおこなう際はオーナー自身の判断のみで実行することが可能です。


しかし、区分マンション投資では、自身はあくまでマンションの1室のオーナーであり、ほかの部屋にはそれぞれのオーナーが存在します。

そのため、老朽化した建物の建替えを希望する場合、ほかの区分オーナーの賛同が必要となり、自身の意見がまったく反映されない結果になるケースも少なくありません。


区分マンション投資の場合、区分オーナーが自由にできるのは基本的に専有部のみであり、それもマンション規約の範囲内であることが前提であることを覚えておきましょう。


まとめ

アパート投資と区分マンション投資について、メリットとデメリットを比較しました。


アパート投資は、初期費用が高額ですが、区分マンション投資に比べると利回りが高く、収益も大きくなるのが特徴です。

また所得税や相続税などの節税対策も期待できます。


ただし、一棟アパートを維持するためには手間や費用がかかります。

特に大規模修繕は高額の費用が必要ですが、アパートの資産価値を維持するうえで避けて通ることはできません。


アパート投資を成功させるためには、収支計画だけでなく、修繕計画をしっかりと立てる必要があるでしょう。


一方で区分マンション投資は、少ない自己資金で始められるのが最大のメリットです。

アパート投資に比べると利回りは低くなりますが、好立地の区分マンションを購入したうえでコスト削減などの工夫をすることで利益を得ることは可能です。


どちらの物件を選ぶにしても、かならずメリットとデメリットを理解することが重要です。

そのうえで、自己資金額や投資目的や目標などから、どの物件に投資すればよいか慎重に判断しましょう。

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岩崎 雅

2020年7月1日〜
当サイトのライターとしてコラム作成業務を開始
プロフィール
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。不動産以外のジャンルも含めると500本以上の執筆経験あり。