アパート投資で節税可能な税金の種類を紹介!それぞれの仕組みを解説
2025/06/27

アパート投資で節税可能な税金の種類を紹介!それぞれの仕組みを解説

アパート投資で節税できる税金の種類所得税・住民税の節税方法損益通算による節税減価償却による節税青色申告による節税住民税の節税固定資産税・都市計画税の節税方法相続税の節税方法贈与税の節税方法まとめ

アパート投資をおこなうことで、固定資産税や所得税などの節税につながります。

特に相続税に関しては、現金などで相続するよりも不動産で相続することで、大幅な節税効果が得られるのです。


今回は、アパート投資で節税が可能な税金の種類と節税の仕組みと手法について解説します。


アパート投資で節税できる税金の種類

節税対策 お金 電卓


アパート投資をはじめ、不動産投資をおこなうことで節税につながるケースがあります。

不動産投資で節税ができる主な税金は以下の通りです。


◦所得税・住民税:減価償却や損益通算による節税が可能

◦固定資産税・都市計画税:住宅用地の軽減措置によって節税が可能

◦相続税:相続税評価額の差異、貸家建付地によって節税が可能

◦贈与税:特例贈与財産の税率適用によって節税が可能


それぞれについて詳しく解説します。


所得税・住民税の節税方法

所得税 小銭


所得税とは、1月1日~12月31日までの個人所得に応じて納税する税金を言います。所得には複数の種類がありますが、アパート投資で得た収益は「不動産所得」として、確定申告をおこなうことで所得税額が決定します。


アパート投資でできる節税方法は、以下のようになります。


◦損益通算による節税

◦減価償却による節税

◦青色申告による節税


それぞれについて詳しく解説します


損益通算による節税

損益通算とは、不動産所得が赤字(マイナス)なった場合にほかの所得と相殺することで、課税される所得金額を減らす会計処理のことです。

黒字の所得から赤字の所得を差し引くことで課税される所得額が減少し、その結果、節税につながります。


たとえば不動産所得がマイナス50万円、給与所得が400万円だった場合、400万円-50万円=350万円が課税される所得金額になるのです。


なお、損益通算は確定申告(例年2月16日から3月15日頃)でおこなう必要があります。

サラリーマンがアパート投資をおこなう場合、1年間の所得が20万円以下であれば確定申告は不要です。しかし損益通算をおこなう場合は、たとえ不動産所得が20万以下であっても確定申告をおこなわなければならないことを覚えておきましょう。


関連記事:不動産投資のマイナス所得は確定申告すべき理由!損益通算とは?


減価償却による節税

減価償却とは、建物や設備など価格が大きく長期間にわたって使用できる資産については購入した年に費用全額を計上するのではなく、法定耐用年数で分割したものを「減価償却費」として一定の期間にわたって経費計上する会計処理のことです。


なお、減価償却費は実際に支出がない場合でも帳簿の上(会計上)では費用として計上されますが、実際の支出ははありません。

そのため減価償却が終わるまでは毎年減価償却費を計上できます。その結果、課税される所得額が減少し、節税につながるのです。


さらに節税効果を高めるためには、減価償却費で帳簿上に赤字を作ったうえで損益通算をおこなうことで課税される所得額を大幅に減少させることも可能です。


このように減価償却費と損益通算を上手に活用することで、現金を減らすことなく、所得税や住民税の負担を減らすことが可能になるのです。


関連記事:不動産投資の減価償却についてわかりやすく解説!節税ポイントも


青色申告による節税

確定申告をおこなう際は、「白色申告」と「青色申告」のどちらかで申告します。できるだけ節税効果を高めたい場合は青色申告を選びましょう。なお、青色申告で確定申告するためには、あらかじめ所轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出しておかねばなりません。


青色申告を選んだうえで、以下の要件すべてをみたすことができれば最大65万円の「青色申告特別控除」を受けられます。課税所得を大幅に減らすことができるので大幅な節税効果が期待できるでしょう。


【青色申告特別控除で65万円の控除を受けるための要件】


◦事業的規模(5棟10室)である


◦複式簿記で記帳している

◦確定申告時に決算書類(貸借対照表、損益計算書など)を添付し提出している

◦期限内に確定申告書を提出する

◦「e-Tax」で申告する、または「電子帳簿保存」をおこなう


上記の要件のうち「e-Tax」で申告する、または「電子帳簿保存」をおこなう、の要件を満たせていない場合、控除額は55万円になります。

それ以外の要件が欠けている場合の控除額は10万円です。


関連記事:サラリーマンで不動産投資をしている場合の確定申告のやり方や注意点

関連記事:不動産投資は青色申告で賢く節税!計上できる経費や提出の流れを解説


なお、青色申告でできる節税効果には以下のようなものもあります。


◦専従者給与額の経費計上

◦3年間にわたって赤字の繰越控除ができる


住民税の節税

住民税は、定額で課税される「均等割(5,000円前後、自治体によって異なる)」と個人所得に応じて税額の決まる「所得割(税率は10%)」の2種類を併せて納税します。

なお「所得割」に使用される課税所得額は、所得税に用いたものを使用します。


固定資産税・都市計画税の節税方法

固定資産税 家の模型 円マークとピンクハート


固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点で不動産(土地や建物)を所有している人に対して課税される税金です。

なお、不動産を所有している限り毎年課税されますが、アパート投資をおこなうことで固定資産税・都市計画税の節税効果が期待できます。


固定資産税の税率は一律で1.4%となっており、以下のように計算されます。


固定資産税=課税標準額×税率1.4%


土地に住宅やアパートなど、住居用の家屋が建てられている場合利用されている「住宅用地の特例」の優遇措置の対象となります。

住宅用地の特例の対象となった場合、課税標準額が1/6に軽減されます。


固定資産税=(課税標準額×1/6)×税率1.4%


関連記事:不動産投資の固定資産税軽減措置を解説!誰がいつどうやって払うの?

都市計画税についても、住宅用地の特例として課税標準が1/3に軽減されます。


都市計画税=(課税標準額×1/3)×税率0.3%


相続税の節税方法

贈与税 クエスチョンマーク 鉛筆


相続税は、亡くなった親や親族などから、金銭や有価証券、土地などの財産を相続した場合に、その受け取った財産に課せられる税金です。


まず、相続税は相続する財産の相続税評価額によって決まります。

たとえば現金で1億円を相続した場合、評価額は1億円のままです。

しかし相続財産が不動産の場合、そのほかの財産よりも相続税評価額が低くなります。


これは、不動産の価格には複数の種類があるためです。

売買するときは市場価格(実勢価格)が適用されますが、相続の場合は市街地の土地は路線価で、市街地以外の土地は評価倍率方式で評価されるため、実勢価格の80%程度になります。

建物については固定資産税評価額が相続税評価額となり、実勢価格の70%程度に評価されます。


そのため市場価格が1億円の不動産は20%~30%程度低く評価されるのです。

したがって、相続財産で不動産を購入しておけば相続税の節税につながるのです。


関連記事;不動産投資の固定資産税軽減措置を解説!誰がいつどうやって払うの?

また相続した不動産に居住のみを目的とした建物がある場合、200㎡以内の土地については「小規模住宅用地」として下記のように特例措置が適用されます。なお200㎡を超えた部分には一般住宅用地の特例が適用されます。


【小規模住宅用地の特例措置】


◦小規模住宅用地:固定資産評価額 × 1/6

一般住宅用地 :固定資産評価額 × 1/3


相続した土地をアパート経営など第三者に貸し付けた場合はさらに評価額が下がります。


◦借地権割合:60%~70%

◦借家権割合:全国一律30%


このように不動産については、居住目的の賃貸物件を建てることで、更地で相続する場合にくらべて、大幅に相続税の負担を減らすことが可能になります。


贈与税の節税方法

相続税 家の模型 4人家族の人形


贈与税は、財産(現金や有価証券、不動産など)を他者から無償で譲られた場合、受け取った人に課される税金です。なお、贈与税は年間で合計110万円(基礎控除)までの財産を受け取った場合は贈与税がかかりません。


贈与税は、相続税と同じ「相続税評価額」によって税額が決まります。

加えて、不動産の評価方法も相続税と同様となり、土地は路線価で、建物は固定資産税評価額によって評価されるため、現金などで贈与を受けた場合に比べて評価額が低くなるのです。


また貸家建付地であれば、現金などの贈与よりも節税が可能です。また、「特例贈与財産用」の税率を適用することで、より節税につながります。

特例贈与財産とは、祖父母や父母から20歳以上の子や孫への贈与のことで、一般贈与とは適用される税率が異なります。


たとえば課税価格が3,000万円(基礎控除後)の贈与の場合、一般贈与の税率が50%なのに対して、特例贈与の税率は45%となるため節税につながるのです。


関連記事:不動産投資が贈与税の節税対策につながる理由とメリットを解説!

まとめ

アパート投資で節税ができる税金の種類は、所得税・住民税、固定資産税・都市計画税、相続税、贈与税になります。

それぞれ節税の手法は異なりますが、上手に節税することでアパート投資の収益を増やすことにつながるでしょう。


特に所得税の節税は、損益通算や減価償却によって大きな節税効果が期待できます。しかし、アパート投資はあくまでも資産形成を目的とした投資方法のひとつです。

決して節税がメインにならないよう、健全なアパート投資をおこないましょう。

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岩崎 雅

2020年7月1日〜
当サイトのライターとしてコラム作成業務を開始
プロフィール
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。不動産以外のジャンルも含めると500本以上の執筆経験あり。