ハイパーインフレでもアパート投資は強い?インフレ時のリスクを解説
2025/11/21

ハイパーインフレでもアパート投資は強い?インフレ時のリスクを解説

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毎月のように物価の上昇がニュースで報じられる昨今では、なんらかのインフレ対策を検討している方も多いのではないでしょうか。

なかには、インフレがすすむことで発生する「ハイパーインフレ」を警戒している方もいるかもしれません。


インフレ・ハイパーインフレ対策としては、価値が下がってしまう現金をインフレに強い現物資産に変えることがおすすめです。


なかでもアパート投資をはじめとする不動産投資は、インフレ・ハイパーインフレに強く、物価上昇とともに不動産価格や家賃の上昇が見込まれます。


今回はアパート投資がインフレ・ハイパーインフレに強い理由を解説しながら、インフレとハイパーインフレの違いや、過去にハイパーインフレに陥った背景などを紹介します。


インフレ・ハイパーインフレとは?

黒板 インフレーション 指し棒


まず、インフレとは「インフレーション(Inflation)」を縮めた言葉で、物価が上昇する状態を指します。


物価は、需要と供給のバランスで決まります。

たとえば好景気になり所得が上昇すれば購買意欲の高まりから需要が増え、モノの値段が上がります。


一方で不景気の場合もインフレになるケースがあります。

景気は良くないので所得は上がらず、したがって需要も増えません。

しかし、原材料や燃料などのコストが高騰することで物価が上がり、結果的にインフレに陥ります。


ハイパーインフレとは、インフレが加速し急激な物価上昇が起き、通貨が信用を失って価値が暴落する状態を言います。


ハイパーインフレの定義としては、アメリカの経済学者であるフィリップ・ケイガンの「インフレ率が毎月50%を超えること」が広く知られています。


たとえば、1,000円のランチが翌月には1,500円になり、これが毎月繰り返されると10ヶ月後には1,000円で食べられたランチが約57,000円になってしまうのです。


実際、ハイパーインフレになるともっと早いペースで価格が上昇するケースも多く、100円だった水が数十万円から数百万円にもなった例も存在します。


こうなってしまうと市場のモノ価値が崩壊し、自国の通貨も無価値となるため、国民の日常生活に混乱と大ダメージを与えることになるのです。


ハイパーインフレの過去の具体例

前述したようにハイパーインフレは、物価が急激に上昇し、通貨の価値が暴落する状態です。

実際、ある国ではハイパーインフレがすすみ、水1本を買うのにリュックサック一杯の紙幣が必要になったケースもあります。


ここでは実際にハイパーインフレに陥った具体例を紹介します。


1923年ドイツで起きたハイパーインフレ

当時の通貨「パピエルマルク」の価値の暴落によってハイパーインフレが起こりました。


そもそもは、第1次世界大戦の敗戦国であるドイツが戦勝国に賠償金を支払えず、戦勝国側に主要な工業地帯を占拠されたことが発端となります。


占拠に対抗しようとしたドイツが工業地帯の生産を停止、しかし企業や労働者のために必要な貨幣を大量に発行・流通したため通貨価値が大暴落し、1ドル=1兆マルクとなるハイパーインフレが一時的に発生したのです。


最終的にはアメリカの支援や新通貨「レンテンマルク」を発行したことで、ハイパーインフレは収束しました。


2008年ジンバブエ

アフリカのジンバブエにて、当時の通貨「ジンバブエドル」が2008年11月に前月比796億%という未曽有のハイパーインフレが発生しました。


ハイパーインフレが発生したのは、ジンバブエ政府の稚拙な政策が原因といわれています。

2000年代前半、労働者の賃上げ要求などを受けたジンバブエ政府はジンバブエドルを過剰に供給したため通貨価値が暴落します。


その後、外資系企業の株式強制譲渡法案の成立や白人が所有する農地強奪の合法化などの失策から、外資系企業が国内から撤退してしまいます。


その結果、食糧を含むモノ不足がおき、物価が大きく上昇しました。

ジンバブエ政府はインフレ対策としてサービスや物品の価格を強制的に半額にするなどの価格統制に踏み切りますが、企業が相次いて倒産・操業停止に追い込まれたことで、さらにインフレが加速し、結果的にハイパーインフレが発生したのです。


2009年にジンバブエドルが廃止され、米ドルなどが法定通貨になりましたが、2019年にジンバブエドルが再導入され、米ドルと等価とされました。

しかし2020年には再びハイパーインフレが発生し、紙幣不足に陥った結果、米ドルを再導入し、とりあえずハイパーインフレは収束します。


現在のジンバブエの法定通貨としてはデジタル通貨ZiG(ジンバブエ・ゴールド)が流通していますが、米ドルも使用可能です。


太平洋戦争後の日本

太平洋戦争後の日本でもハイパーインフレが発生したことがあります。

日本が太平洋戦争に投じた巨額の軍事費用は大量に発行した国債で賄っていたため、通貨の価値が大幅に下落します。


さらに国内各所が戦争により破壊されたことで生産能力を失い、物資の不足が深刻化したことでハイパーインフレへと突入し、1945年と比較して物価が約70倍にまで上昇しました。


なお、このハイパーインフレは、GHQの財政均衡政策によって、1949年頃に鎮静化しました。


日本でハイパーインフレが起こる可能性は?

日本でもここ最近は物価上昇がつづいています。

そのため「日本もハイパーインフレになるのでは?」という心配の声もあるようです。


しかし経済評論家の多くは、現状では日本でハイパーインフレが起こる可能性は低いと考えています。


前述したようにハイパーインフレが起こるのは、国の信用力が失われたり、戦争などで極端な物資不足に陥ったりするケースです。


このようなハイパーインフレ発生の条件を踏まえたうえで、今の状態の日本でハイパーインフレが起きる可能性は非常に低いと考える経済評論家がほとんどなのです。


ただし、絶対にハイパーインフレにならないと言い切ることはむずかしいです。


実際に物価は上昇傾向にあるにもかかわらず、賃金の上昇率は少ないです。

そのため、インフレによって資産価値が大きく目減りしないよう、インフレに強い資産を所有・運用することを念頭においておくとよいでしょう。


インフレ・ハイパーインフレに強い資産運用方法を紹介

外貨建て 保険 おもちゃのお金


一般的に「現物資産」はインフレやハイパーインフレに強い資産であると言われています。

ここでは、インフレやハイパーインフレでも資産価値が落ちにくい主な資産を紹介します。



株式投資・投資信託

株式投資や投資信託は、インフレに強いと言われています。

しかし、株式や投資信託ならどれでもインフレに強いかというとそうではありません。


株式や投資信託の値動きは経済や世界情勢と連動するため、銘柄を適当に選んでしまうとインフレの影響から価値が大幅に下落するケースもあるため注意が必要です。


インフレに強く、しっかりと収益を得られる銘柄を選ぶことが大事ですが、株式や投資信託が初心者の方には少しむずかしいと言えるでしょう。


関連記事:不動産投資と株式投資はどっちが良い?5つのポイントで徹底比較!


金(ゴールド)投資

金(ゴールド)は、インフレに強いと言われる現物資産のひとつです。

そのため金は通貨の価値変動に左右されにくく、人気の投資商品です。


また金投資の種類によっては、少額で金を積み立てできる商品もあるため、投資初心者にもハードルが低く、始めやすい投資方法と言えるでしょう。


外貨建て資産

日本でインフレが起きた場合、日本円の価値が下がるため、外貨建てで資産を保有するとインフレ対策として効果が期待できます。


外貨建て資産には外貨預金や外貨建ての保険商品など、さまざまな種類があるため、好みの商品を選ぶことができるでしょう。

また日本円に比べて外貨は金利が高く、インフレ対策だけでなく資産運用としてもおすすめの資産であると言えます。


ただし、外貨建て資産は為替相場の変動によっては損失につながる場合もあるため注意が必要です。

円高になると為替差損になり、反対に円安になると為替差益を得られます。


アパート投資がハイパーインフレに強いのは本当?

アパートの模型 1万円札 電卓


アパートを含めた不動産投資は現物投資であるため、インフレやハイパーインフレに強いと言われています。

ここではアパート投資がインフレ・ハイパーインフレに強いと言われる理由について解説します。


ハイパーインフレでも不動産は価値が上がる

前述したようにハイパーインフレは、インフレが加速し急激に物価が上昇し、お金の価値が暴落する状態を言います。

不動産も「モノ」であるため、ハイパーインフレ時には価値が上がると考えられます。


たとえば、物価上昇率が50%のハイパーインフレの場合、5,000万円で購入したアパートは7,500万円になります。


また、不動産は生活するうえで欠かせない要素のひとつであるため、需要が低下しにくいのもメリットになります。


ただし、不動産の資産価値がまったく低下しないかと言うとそうではありません。

インフレとは関係なく、アパートの建物は経年によって劣化するため、築年数によって資産価値が下落するのが一般的です。


とはいえ、経年による建物の劣化は急激に起こるわけではなく徐々に進行するため、価値が突然暴落することは考えにくいです。


また、建物や設備に対して定期的なメンテナンスや適切なタイミングで大規模修繕をおこなうことで経年劣化による資産価値の下落を抑制することもできます。


これらのことから、アパート投資などの不動産はインフレに強いと言われる理由のひとつなのです。


インフレがすすむと賃料が上昇する

インフレがすすむと賃料が上昇する傾向があります。

なぜなら、インフレによる物価の上昇にともない、物件の価値が上がれば賃料も上昇するためです。


1室8万円の家賃が9万円に上昇すれば、年間で12万円の増収が見込まれるため、月々のキャッシュフローの改善が期待できるでしょう。


ただし、不動産の価格が上がったからと言って、むやみに賃料を上げてしまうと入居付けがむずかしくなったり、既存入居者の退去につながったりするおそれもあるため注意が必要です。


またインフレによってランニングコストも上昇するため、月々の収支をしっかりと計算した上で適切な賃料の値上げを検討しましょう。


インフレによって借入金額が目減りする

アパートローン(不動産投資ローン)が目減りする点も、アパート投資がインフレ・ハイパーインフレ対策になるといわれる理由のひとつです。


前述したようにインフレ・ハイパーインフレになると、お金の価値は相対的に下がるため、ローンを組み借入れたお金の価値も実質的に下がるため、返済額は実際に借りた額より少なくて済むのです。


また賃料も上昇すれば増収につながり、今後のローン返済の負担も軽減するでしょう。


ただし、ローンを組む際に変動金利を選んでいる場合はインフレ・ハイパーインフレによってはローン金利が上昇し、その結果返済額が増加する可能性があるため注意が必要です。

なお、固定金利を選んだ場合は金利の変動を受けることはありません。


ハイパーインフレ時のアパート投資のリスク

リスク ビックリマークブロック


インフレやハイパーインフレに強いと言われるアパート投資ですが、注意すべきリスクもあるため注意が必要です。


ここではインフレ・ハイパーインフレ時のアパート投資で気を付けるべきリスクについて解説します。


ランニングコストが高騰する可能性がある

アパート投資をおこなうにあたって、運用時にはさまざまなランニングコスト(管理委託手数料や保険料、専門家報酬など)が必要です。

それらのランニングコストが、インフレ・ハイパーインフレによって上昇する場合があるため注意しましょう。


特に注意したいのが修繕費です。大規模修繕に必要な資材などが高騰した場合、高額な費用が発生する可能性があります。

万が一、地震や台風などの自然災害によって建物や設備が損壊した場合、大規模な修繕工事が必要です。


修繕費を捻出できない場合はアパート投資を継続できなくなるおそれもあります。

万が一に備えて、必要な補償を受けられるよう、火災保険や地震保険に加入しておくことをおすすめします。


またインフレ・ハイパーインフレ時には大規模修繕積立金を見直し、必要額を計算したうえで積立金額を決定するとよいでしょう。


関連記事:アパート投資のランニングコストはいくら必要?内訳と目安を解説!

関連記事:アパート投資で修繕積立金が重要な理由!必要箇所と目安額も紹介


金利上昇によるローン負担の増加

インフレ・ハイパーインフレになるとローン金利が上昇するケースがあります。

ローン金利が上昇すると返済額が増加するのはもちろん、月々のローン負担も大きくなるため注意が必要です。


ローン金利の上昇によるキャッシュフローの悪化を防ぐためにはいろいろな方法がありますが、「5年ルール」「1.25倍ルール(125%ルール)」を採用している金融機関を選んだり、支出の増加に備えて手元に資金を残しておいたりするとよいでしょう。


なお、金利上昇の影響を受けるのは変動金の場合のみであり、固定金利の場合は金利上昇の影響を受けません。


関連記事:金利上昇リスクは不動産投資にどう影響するのか?対策方法も解説!


入居者の家賃滞納リスクの増加

インフレ・ハイパーインフレによって賃料が上昇することで、生活費の圧迫から家賃滞納が発生するおそれが考えられます。


家賃滞納とは、入居者が毎月の賃料を支払わない状況を指します。

家賃を滞納されてしまうと家賃を得られないにもかかわらず、会計上では未収金あつかいとなり税金の支払い対象となってしまいます。


また家賃を滞納されたままでは新しい入居者を募集することもできません。

「家賃を滞納したから退去してもらいたい」と思っても賃貸借契約によって、賃借人(入居者)の権利が守られているため、強制退去はむずかしいのです。


面倒な家賃滞納を発生させないためにも、入居条件として家賃保証会社との契約を結んでもらうことをおすすめします。


家賃保証会社とは、契約者である入居者が家賃を滞納した場合、入居者に代わってオーナーに家賃を支払い、賃料の督促もおこなってくれるため、オーナーの負担が軽減するのがメリットです。


関連記事:家賃滞納者を強制退去させるための流れや費用、未然に防ぐ方法を解説


まとめ

アパート投資がインフレやハイパーインフレに強いと言われる理由について解説しました。


インフレやハイパーインフレが起こるとお金の価値が減ってしまいますが、不動産であれば物価上昇によって家賃や不動産価値が上がる可能性があるため、効果的なインフレ対策につながります。


ただし、インフレ・ハイパーインフレ時でも、アパート投資をおこなううえで注意点は存在します。

特にランニングコストの増加率によっては、キャッシュフローを悪化させる恐れもあるため注意が必要です。


また当記事では、アパート投資以外のインフレ・ハイパーインフレに強い資産も紹介しましたので、ご自身にあったインフレ対策をおこないましょう。

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岩崎 雅

2020年7月1日〜
当サイトのライターとしてコラム作成業務を開始
プロフィール
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。不動産以外のジャンルも含めると500本以上の執筆経験あり。