アパート投資のランニングコストはいくら必要?内訳と目安を解説!
アパート投資を検討中の方の中には、毎月かかるランニングコストの金額が気になる方も多いのではないでしょうか。
ランニングコストが高い場合、支出が収入を圧迫しキャッシュフローの悪化を招くおそれがありますが、逆に月々のランニングコストを抑えることができれば利益を増やすことも可能です。
そのため、長期にわたって安定したアパート投資をおこなううえで、毎月発生するランニングコストの内訳やそれぞれの金額について理解しておくことが欠かせないのです。
そこで今回は、アパート投資に必要なランニングコストの内訳と目安を紹介します。
また、ランニングコストを削減する方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。


アパート投資に必要なランニングコストの内訳と目安
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アパート投資では、ランニングコストの目安は、月額家賃収入の20~30%程度が一般的です。
アパート投資に必要なランニングコストの内訳は、主に以下のようになります。
◦税金
◦管理委託手数料
◦損害保険料
◦修繕費(原状回復・日常的/突発的修繕・大規模修繕)
◦入居者募集費用
◦ローン返済金
◦税理士への報酬
ここでは上記のランニングコストについて、それぞれの内容や相場を紹介します。
税金
アパート投資をおこなう場合、保有物件や家賃収入に課せられる税金もランニングコストになります。
アパート投資に課せられる税金の種類と目安を紹介します。
◦固定資産税:課税評価額の1.4%(標準税率)
◦都市計画税:課税評価額の0.3%
◦所得税・住民税:所得によって変動する
固定資産税の標準税率は1.4%ですが、市区町村によって異なります。また、住宅用地に対しては、固定資産税を軽減できる小規模住宅用地の特例を適用できます。
所得税は、1年間の総所得に対して課せられる税金です。
したがって、アパート投資による所得(不動産所得)のほかにも収入がある場合、すべての所得を合算した額に応じた税金が課せられます。
住民税は所得税と同様、1年間の総所得に応じて課せられますが、納付先は居住している地方自治体になります。
住民税の基本の税率は市区町村民税が6%、都道府県民税が4%です。
なお、固定資産税と都市計画税は確定申告の際に経費として計上できますが、所得税と住民税は経費にはならないため注意しましょう。
管理委託手数料
アパート投資をおこなう場合、アパートの管理業務は管理会社に委託すケースが多いです。
アパートの管理業務は、「建物管理(清掃や修繕の手配など、物件の維持管理業務」と「入居者管理(入居者募集や入居者のトラブル対応・家賃管理など、入居者に関する業務」のふたつに分けることができ、それぞれを別の管理会社に委託することもできます。
管理委託手数料の目安は、毎月の家賃収入の5~8%程度が一般的ですが、不動産管理会社によってサービス内容や手数料に違いがあります。
そのため、管理会社を選ぶ際は複数社を比較したうえで最適な会社を選ぶとよいでしょう。
なお、アパートオーナー自身で管理をおこなう「自主管理」を選ぶことも可能です。
その場合、管理委託手数料は発生しません。
損害保険料
アパート投資をおこなう際は火災や地震などの災害に備えて、火災保険や地震保険など、損害保険への加入が欠かせません。
保険料は、物件の規模や構造、補償内容によって異なりますが、1年あたりの目安は物件購入価格の0.3~1%程度が一般的です。
ただし、築年数が古い木造アパートの場合、保険料が高額となるケースが多いため注意が必要です。
災害被害の大きさによっては建物の修繕や建て替えが必要になるケースも多いですが、それらの費用を支払えない場合、賃貸経営を継続することがむずかしくなります。
また近年では、高齢者の入居を受け入れるケースも増えており、「孤独死保険」などに加入するケースも多いです。
孤独死保険は、特殊清掃費用や残置物の撤去費用などが補償される保険です。
このようにアパート投資のリスクを軽減するためにも、適切な損害保険への加入は必須となります。
修繕費(原状回復・日常的/突発的修繕・大規模修繕)
アパート投資で安定した家賃収入を得るためには適切な建物の修繕が欠かせません。
そのため、どのような修繕費用の目安や頻度を把握しておく必要があります。
アパート投資で修繕が必要になるケースとそれぞれの費用の目安は以下のようになります。
関連記事:不動産投資に必要な3種類の修繕費の目安を解説!修理交換時期も紹介
原状回復費(リフォーム費用)
入居者が退去した場合、次の入居者を迎えるために室内クリーニングや壁紙・床材の張り替えなどの「原状回復工事(リフォーム)」をおこなう必要があります。
原状回復費は部屋の大きさや修繕内容によって異なります。
室内クリーニングのみであれば数万円程度で済みますが、壁紙や床材を張り替える場合はワンルーム1室あたり20~30万円程度が目安となります。
日常的/突発的に発生する修繕費
建物の損傷や設備の不具合によって発生します。
軽微な損傷や故障の場合の修繕費の目安は数千~数万円程度ですが、損傷が大きい・設備の交換が必要なケースは数十万円程度の修繕費が必要になることもあります。
特にエアコンや給湯器を交換する場合、1台あたり10万円程度かかるため、老朽化のタイミングを把握しておき計画的に交換するとよいでしょう。
また、事故や災害によって修繕が発生するケースもありますが、発生頻度や必要な修繕費の額を予測することはむずかしいです。
そのため万が一に備えて、月々の家賃から一定額を積み立てておくと安心です。
大規模修繕費
アパートの建物は経年とともに劣化するため、アパートなどの資産価値の維持や入居者が安全に暮らせるよう、定期的に「大規模修繕工事」をおこなう必要があります。
アパートの大規模修繕は屋根の葺き替えや外壁の塗装、給排水管の交換などが10~12年周期でおこなわれます。
アパートの規模にもよりますが、大規模修繕費は数百万円以上と高額になる場合がほとんどです。
そのため、アパート投資を始める際にあらかじめ「大規模修繕計画」を立て、同時に月々の家賃収入から「大規模修繕費の積立て」をおこなうのが一般的です。
保守点検費
安全なアパート投資をおこなうためには、定期点検が欠かせません。
特に消防法や建築基準法などの法律に則った法定点検は、実施が義務付けられており、必要な費用を把握しておく必要があります。
主な法定点検には以下のような種類があります。
【主な法定点検の種類・実施頻度・費用目安】
◦消防用設備点検
頻度:機器点検6ヶ月に1回・総合点検1年に1回
費用目安:小規模(20戸未満)8,000〜15,000円・中規模(20〜50戸未満):25,000〜50,000円
◦水道定期水質検査
頻度:1年に1回
費用目安:約2,500〜5,000円
◦水道管理状況検査
頻度:1年に1回
費用目安:約16,000〜19,000円
◦自家用電気工作物定期点検
頻度:1年に1回
費用目安:約20,000円
◦建築設備定期検査
頻度:1年に1回
費用目安:約40,000〜60,000円
◦特定建築物定期検査
頻度:3年に1回
費用目安:約50,000〜75,000円
そのほかにも、浄化槽やエレベーターなど、設備の設置状況によって点検が必要になる場合があります。
入居者募集費用
退去後など、新たに入居者を募集する際に必要な費用です。
入居者管理を不動産管理会社に業務委託している場合、基本的な募集費用は管理委託手数料に含まれているケースがほとんどです。
ただし、それ以外に発生した入居者募集に関する費用は、不動産管理会社や仲介会社に別途支払う必要があります。
入居者募集に関する費用には以下のような種類があります。
◦仲介手数料:賃料の0.5〜1ヶ月分
◦広告費(AD):賃料の1〜3ヶ月分
仲介手数料は、仲介会社を通じて賃貸借契約が成約した場合、仲介会社に支払う成功報酬です。
なお仲介手数料は、宅建業法により上限が決められており、原則として「家賃の1ヶ月分+消費税」になります。
また仲介手数料は、貸主と借主の双方の了解があれば、どちらか一方にまとめて請求することも、それぞれにわけて請求することも可能です。
広告費(AD)は、空室期間が長い物件や繁忙期内に入居が決まらなかった物件に対して、「特別な募集活動」によって成約に至った際に支払われる成功報酬で、仲介手数料とは別に支払われます。
目安は賃料の1~3ヶ月分程度ですが、入居付けがむずかしい物件のほうが広告費は高くなるのが一般的です。
ローン返済金
アパート投資を始める際は、一部を自己資金で用意し、残りの大部分の資金は金融機関から融資を受けるのが一般的です。
その場合、元本と利息を毎月「ローン返済金」として支払う必要があります。
ローン返済金はアパート投資のランニングコストの大部分を占めるため、返済比率が高すぎる場合は、キャッシュフローの悪化を招きやすいため注意が必要です。
なお、ローン返済金の利息部分は、確定申告時に経費に計上が可能です。
関連記事:不動産投資ローンの返済比率を下げる方法を解説!目安の比率は何%?
税理士への報酬
確定申告手続き業務を税理士に依頼した場合、税理士への報酬が必要です。
税理士への依頼は、スポットと顧問契約の2種類があります。
それぞれの報酬額は依頼する税理士によって異なりますが、確定申告のみの業務以来の場合10万円~20万円程度、顧問契約であれば月額1~4万円程度が目安です。
ただし、所有物件数が複数の場合や賃料収入が高額になるケースでは、税理士へ支払う報酬も増える傾向にあります。
また税理士によって専門とする業種が異なるため、アパート投資に強い税理士に依頼すると安心です。
関連記事:不動産投資で税理士に依頼するメリット!選び方や相場、注意点も
アパート投資のランニングコストを抑えて収入を増やす方法

アパート投資では、ランニングコストを抑えることで収入を増やすことにつながります。
ランニングコストの中には固定資産税のように金額を変えられない項目もありますが、中にはちょっとしたコツで支出額を減少できるコストもあります。
ここではアパート投資でランニングコストを抑える方法について解説します。
修繕費を削減する
安定したアパート投資をおこなううえで適切な修繕をおこなうことは必須です。
アパート投資における修繕費は、原状回復・日常的/突発的修繕・大規模修繕の3種類があり、それぞれ支出額を減らすことが可能です。
原状回復費を抑えるためには室内の状態を確認し、必要な修繕のみをおこないましょう。
たとえば短期入居などで室内の損傷や汚れが軽度の場合、室内クリーニングのみで済むケースも多いです。
また、修繕をピンポイントでおこなったり、部分交換したりすることで余計なコストをかけずに済みます。
ただし、原状回復費を浮かせようとするあまり、必要な修繕を怠ると次の入居者がみつかりにくくなるおそれもあるため注意が必要です。
日常的・突発的な修繕費を減らすためには、できるだけ汚損箇所が軽微なうちに修繕することが大事です。
たとえば、外壁のヒビなどは放置しておくとどんどんヒビ割れが大きくなり、雨などが染み込んで建物内部の損傷につながります。
しかし、ヒビが小さなうちに修繕できれば、将来的な建物へのダメージを減らすことができ、結果的に修繕費を抑えることにつながります。
また大規模修繕時期を先に延ばすことも可能です。
修繕費を抑えるためにも、定期的に建物内外の見回りや設備のメンテナンスをおこないましょう。
損害保険料は長期契約が得になる
アパート投資をおこなううえで、火災保険や地震保険などの損害保険への加入は必須です。
しかし、物件の規模にもよりますが、損害保険料は意外と高額になる場合が多いです。
損害保険料を安くするためには、長期契約を結び、長期一括払いにすることで、1年払いよりも保険料がを安くすることが可能です。
また、保険料は特約内容によって変動します。そのため保険プランの見直しも保険料を抑えることにつながります。
物件の築年数や状態、エリア、周辺環境などを踏まえたうえで、本当に必要な補償の特約を選ぶとよいでしょう。
確定申告は自身でおこなう
確定申告を自身でおこなうことで、税理士への報酬分のコストを削減できます。
また、経費をもれなく計上することで所得税や住民税の課税対象額を圧縮できるため、結果的に税負担を減らすことにつながります。
ただし、ランニングコストの中には経費として認められない費用もあるため注意が必要です。
たとえば、ローン返済金の元金や所得税・住民税は経費として認められません。
確定申告に不慣れな方でも、簡単に確定申告書類を作成できるソフトもあるため、活用するとよいでしょう。
ローンの借り換えを検討する
毎月のローン返済の金利が高い場合、金利の低いローンへ借り換えることで、月々のランニングコストの支払いを減らすことにつながります。
ただし、ローンの借り換えには、事務手数料をはじめ印紙税や登録免許税、司法書士報酬など、さまざまな手数料が発生するため注意が必要です。
また、ローンの借り換えをおこなうことで、金融機関からの信用度を失うおそれがあります。もし、現在ローンを組んでいる金融機関と今後も付き合いをつづけたい場合は、ローンの借り換えの有無を慎重に判断しましょう。
まとめ
アパート投資に必要なラン人コストの額は、家賃収入の20〜30%が目安となります。
もし、目安以上のランニングコストを支払っている場合は、ぜひ内容の見直しをしてみましょう。
ランニングコストを削減することでキャッシュフローに余裕が生まれ、収入アップにつながります。
安定したアパート投資をおこなうためにも、ぜひランニングコストの内訳と目安を理解し、把握しておきましょう。