不動産投資の持ち出しの原因と対策方法!良い持ち出しとは?
2022/09/16

不動産投資の持ち出しの原因と対策方法!良い持ち出しとは?

不動産投資では、マイナス収支を自己資金で補填することを「持ち出し」と呼ぶことがあります。

そもそも不動産投資は収益を得るためにおこなうため、持ち出しがつづくと収益が得られず赤字経営になってしまう恐れがあるため、なんらかの対策が必要です。


そこで今回は、「持ち出し」が発生する原因と対策方法を解説します。また計画的や目的のために、あえてマイナス収支を容認する「良い持ち出し」についても紹介します。

不動産投資で安定した収益を得るためにも、ぜひ当記事を参考にしてください。


不動産投資の「持ち出し」とは

「持ち出し」とは、支出が収入より多かった場合の損失(マイナス収支)を自己資金で補填することを指します。


そもそも不動産投資の目的は収益を得ることであるため、本来はマイナス収支にならないように不動産の運用をしなければなりません。したがって、健全な不動産投資をおこなううえで持ち出しの発生はマイナス要因となります。


持ち出しがつづいた結果、自己資金が尽きてしまうと月々のローン返済が滞ってしまい、物件を差し押さえられてしまう危険性も十分考えられます。状況によっては大きな負債を負ったり、自己破産の危険性もあるのです。


そのため、できるだけ早い段階で賃貸経営を立て直し、持ち出しをおこなわずにすむよう安定した収益を目指す必要があるのです。


「良い持ち出し」とは?

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不動産投資において持ち出しはマイナス要因であると前述しました。ただし以下のような場合は「良い持ち出し」としてマイナス収支を容認するケースも存在します。


発生が一時的な場合

設備の修理や交換などによる突発的な出費のため、一時的に支出が収入を超えた場合の持ち出しは問題のないケースのひとつです。

ただし、持ち出しが頻繁な場合は支出を見直したり、修繕費用の積立てをおこなったり、毎月のキャッシュフローを確保できるような対策をおこないましょう。


最終的に黒字を見越した計画の場合

月々の持ち出し金額よりも将来的に得られる収益が大きく、最終的に黒字経営を見込める場合の持ち出しは、大きな問題ではないと考えられます。


たとえば、ローン完済後の家賃収入を目的として不動産投資をおこなうのであれば、ローン返済中に持ち出しが発生することは想定範囲内とする場合も少なくありません。

また、数十年後でも賃貸需要が下がりにくいエリアの物件などは、売却してキャピタルゲイン(売却益)を得ることを期待して、あえて持ち出しを容認したうえで不動産投資をおこなう場合も考えられます。


このように将来的にリターンが見込める物件であれば、最初のうちの持ち出しは計画の一環であり、マイナス収支を問題としないケースに該当するでしょう。


節税目的の場合

節税目的として、あえてマイナス収支にして持ち出しをおこなうケースがあります。

不動産所得が赤字の場合、「損益通算」によって給与所得から不動産所得を差し引いた額が課税所得となるため、所得税の節税につながります。


たとえば給与所得が500万円で、不動産所得が100万円の赤字だった場合、500万円から100万円を差し引いた400万円が課税所得としてみなされることになります。


損益通算について詳しくはこちら!>>不動産投資の損益通算で節税しよう!計算例や注意ポイントを解説


また、実際に出費していないにも関わらず経費として計上が可能な「減価償却費」を使って上手に赤字をつくるのも節税に役立ちます。


減価償却について詳しくはこちら!>>不動産投資の減価償却についてわかりやすく解説!節税ポイントも


不動産投資の節税について詳しくはこちら!>>不動産投資の節税効果をシミュレーションで紹介!仕組みや方法を解説


不動産投資で持ち出しが発生する原因と対策方法

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前述したとおり、不動産投資の持ち出しが問題にならないケースもあります。

ただし、持ち出しが長期間つづく場合や計画外に発生する場合は、なんらかの対策を施す必要があります。


持ち出しかかる赤字を黒字転換するためには、持ち出しの原因を把握したうえで適切な対策をおこなわなければなりません。

ここでは不動産投資で持ち出しが発生する原因とその対策方法について解説します。


原因その1:立地が悪く空室がつづいている

不動産投資の成功の可否は、物件の立地にかかっているといっても過言ではありません。そのため、不動産投資を開始するにあたって物件選びは非常に重要です。


しかし賃貸需要の少ない物件を選択してしまうと空室がつづき、想定した家賃収入を得ることができず、収支が悪化して持ち出しをおこなうことになってしまいます。


原因その1の対策方法

物件の立地が原因で空室がつづいている場合は、物件に立地以外の付加価値をつけることがリスク対策につながります。

入居条件の緩和やコンセプト物件へのリノベーションなどを検討しましょう。具体的な例としては以下のようなものがあります。


・入居条件の緩和(ペット可、楽器可、外国人可、高齢者可、生活保護受給者可など)

・防音設備を備えた音楽に特化した物件にリノベーションする

・入居者によるDIY可物件として貸し出す

・専用のバイク置き場を設置する


リフォームやリノベーションをおこなう場合は、費用対効果を考慮することが重要です。空室対策として高額な費用をかけるよりも、売却して損切りしたほうがよい場合もあるため、よく検討することをおすすめします。


なお、区分マンション投資の場合、リノベーションや設備の追加がマンション規約によって禁止されていないか事前に確認が必要です。


原因その2:建物の老朽化で空室がつづいている

築古物件など、建物の老朽化や設備の古さが原因で空室がつづく場合もあります。周辺に新築や築浅の競合物件が多い場合は、その傾向が顕著でしょう。

築古物件はどうしても外観・室内が古びて見えるのはしかたありませんが、対策方法がないわけではありません。


原因その2の対策方法

築古物件の空室対策方法には、以下のようなものがあります。

なお、区分マンションは共用部の変更や建て替えは自由におこなえないことを留意しておきましょう。

・日頃の点検やメンテナンスを怠らない

経年による建物の老朽化は完全に防ぐことはむずかしいですが、日常的な点検やこまめなメンテナンス、10年単位でおこなう大規模修繕工事によって、ある程度の資産価値の維持につながります。


・共用部分や設備を見直す

共用部の改善や設備を追加することで入居者が増える確率があがります。

とくに内見者が最初に目にする外観やエントランスの見栄えは重要です。日頃からきちんと清掃をおこない清潔感のある状態にしておき、必要に応じて高圧洗浄などをおこないましょう。


また防犯カメラや宅配ボックスを設置したり、ゴミ出しを24時間可能にしたり、安全性や利便性に寄り添った設備の追加も入居希望者へのアピールに効果的です。


・リフォームやリノベーションをおこなう

築年数は経過しているものの、建て替えるまで老朽化していない場合は、リフォームやリノベーションをおこなうのがおすすめです。外観の見栄えをよくするだけでなく、建物の寿命を延ばすことも可能です。


室内のリフォームは、クロスの張り替えや水回りの設備を新しくすることで古臭さが解消されるでしょう。もう少し手を加えられるのであれば、人気の間取りにリノベーションするとより入居付けに効果的です。


区分マンションの場合、リノベーションの範囲がマンション規約によって制限されていることもあるので事前に確認しましょう。


・建替えをおこなう

築古アパートの建て替えは、空室対策だけでなく家賃額のアップにもつながりますが高額の費用が必要です。今後の不動産投資にも大きく影響するため、慎重に検討したうえで判断するとよいでしょう。


原因その3:所有物件が少ない

区分マンション投資で所有物件が1件だけの場合、入居者がいれば入居率は100%ですが退去してしまうと入居率は0%、家賃収入はゼロ円です。そのため空室期間中の経費は全額持ち出しとなってしまいます。


原因その3の対策方法

区分マンションを所有する際は、賃貸需要が落ちないエリアの好立地物件を選ぶことで空室リスクを軽減できます。


また物件を追加購入して家賃収入を増やすことで持ち出しがおさえられます。

なお、複数の物件を所有する場合はリスクの分散を心がけましょう。たとえば、所有中の物件がワンルームの区分マンションなら2件目はファミリータイプの区分マンションを選択したり、同じエリアの物件を避けたりすることです。


ただし、物件の追加購入は資金に余裕がある場合にかぎります。万一、資金不足で借入れをおこなった場合、借入額が大きくなりすぎ、却って収益が圧迫されることもあるため注意が必要です。


原因その4:月々のローン返済額が大きい

毎月のローン返済額が収益を圧迫して持ち出しが発生する場合があります。

不動産投資ローンの返済は収益物件の家賃収入から支払いますが、空室によって家賃収入が減っていたり、金利上昇などによって支払う利息が増えたりといった要因でローン支払いが困難になることも考えられます。



原因その4の対策方法

不動産投資をはじめる前であれば、まずは収支シミュレーションをおこない、家賃収入に対して毎月のローン返済額が適正かどうか確認しましょう。

返済比率が高い場合は頭金を多めに入れて借入額を減らし、月々のローン返済額をおさえるとよいでしょう。


返済費比率について詳しくはこちら!>>不動産投資ローンの返済比率を下げる方法を解説!目安の比率は何%?


また不動産投資ローンには頭金なしで借入れできる「フルローン」もありますが、物件購入費用の全額を借入れるため返済比率が大きくなりすぎることも多いです。

フルローンを利用する場合は、通常の借入れ以上に収支シミュレーションを十分におこない、余裕のある返済計画を立てましょう。


フルローンについて詳しくはこちら!>>不動産投資のフルローンはリスクを理解・把握したうえで活用しよう


すでに家賃収入に対して毎月のローン返済が負担になっている場合は、以下のような対策方法を検討しましょう。


・低金利の不動産投資ローンに借り換えをおこなう

・資金に余裕があれば繰り上げ返済をおこなう

・入居付けに強い管理会社に変更する(空室が原因の場合)


不動産投資ローンの金利について詳しくはこちら!>>金融機関別不動産投資ローンの最新金利相場!金利をおさえる方法は?


繰り上げ返済について詳しくはこちら!>>不動産投資の繰り上げ返済の種類やメリット・デメリットを解説


ローンの借り換えについて詳しくはこちら!>>不動産投資ローン借り換えに適したタイミングやメリット・デメリット


原因その5:毎月のランニングコストが想定以上に多い

不動産投資をおこなうにあたって、毎月さまざまなランニングコストが発生します。一般的な不動産投資に必要なランニングコストの目安は、家賃収入の20~30%/月といわれていますが、目安を大幅に超えている場合は持ち出しの可能性が高くなるため注意が必要です。


原因その5の対策方法

まず、ランニングコストに無駄がないか確認し、不要な支出はカットしていきましょう。前述のようにランニングコストの目安は家賃収入の20~30%/月ですが、30%だったコストを20%までカットできれば大きな費用削減につながります。


ただし、コストカットばかりに注目してしまうと、賃貸経営の品質の低下につながる恐れがあります。質を維持しながら無駄なコストのみを削減しましょう。


なお、ランニングコストには削減しやすいものと削減しづらいものがあります。それぞれの項目は以下のようになります。


【削減しやすいランニングコストと削減のポイント】

・所得税:経費計上をもれなくおこなう、確定申告で青色を選ぶ

・修繕費や原状回復費:工事費が安い業者に依頼する、DIYで対応する

・共用部などの水道光熱費:節電や節水を心がける

・火災保険料:複数プランの内容・保険料を比較し、コスパを考慮して加入する

・管理委託料:委託料(相場は家賃の5~8%/月)と業務内容が適切か確認する

・通信費、雑費、消耗品費:無駄な出費をしていないか確認し、不要な分は削減する

・税理士費用など:複数の事務所の料金や実績を比較し、安い事務所を選ぶ


【削減しづらいランニングコスト】

・固定資産税・都市計画税

・ローン返済金


なお、ローン返済金は厳密にいえばコストの削減は可能ですが、資金や手間がかかります。たとえば、繰り上げ返済であれば資金が必要になりますし、他行へのローン借り換えは手間と時間がかかります。

コストを削減するのであれば、もっと簡単に削減できる費用をターゲットにすることをおすすめします。


不動産投資の経費について詳しくはこちら!>>不動産投資で経費はどこまで認められる?正しく計上して節税を!


まとめ

不動産投資で「持ち出し」が発生する原因とその対策方法を解説しました。

マイナス収支が一時的なものや計画的な場合は「良い持ち出し」として問題のないケースもありますが、計画外に持ち出しがつづく場合は経営破たんとなり、不動産投資の失敗につながる恐れもあるため早急な対策が必要です。


持ち出しを防ぎ安定した収益を得るためには、不動産投資の計画段階での物件選びや収支計画が欠かせませんが、不動産投資開始後であっても持ち出しを防ぐことは可能です。

健全な不動産投資をおこなうためにも、今回紹介した持ち出しの原因と対策を参考にしてください。

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岩崎 雅

2020年7月1日〜
当サイトのライターとしてコラム作成業務を開始
プロフィール
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。不動産以外のジャンルも含めると500本以上の執筆経験あり。