自由業者が不動産投資ローンの融資を受けるポイントとメリットを解説
2022/09/21

自由業者が不動産投資ローンの融資を受けるポイントとメリットを解説

自由業者が不動産投資をおこなうメリット収入と信頼性がアップする本業への支障が少ない節税効果が得られる自由業者が不動産投資ローンの融資審査を有利にする方法安定した収益を心がける頭金(自己資金)を用意する融資を受けやすい金融機関を選ぶ自由業者が事業資金の融資を受ける方法日本政策金融公庫ビジネスローンカードローン自治体の制度融資を利用するまとめ

サラリーマンと比べると収入が不安定な自営業者ですが、不動産投資をおこなうことで安定した収入を得られるなどのメリットがあります。

ただ、自営業で不動産投資をはじめるには、不動産投資ローンの融資審査に通過できるかどうかが重要なポイントになります。


そこで今回は、自営業の方が不動産投資をはじめるにあたって、融資審査を有利にする方法やメリットを詳しく解説します。

また、不動産投資ローン以外の事業資金を融資してくれる金融機関を紹介します。


自由業者が不動産投資をおこなうメリット

収入が安定しない自由業者にとって、不動産投資をはじめることで大きなメリットが期待できます。ここでは、自由業者が不動産投資で得られるメリットを解説します。


収入と信頼性がアップする

不動産投資では家賃という安定した収入を毎月得ることができます。「自由業」という本業の収入が不安定な場合、不動産投資で得られる家賃収入によって安定した収入源が得られるのです。


また収入が安定することで信頼性も上がるため、2件目の不動産投資物件を取得する場合の融資審査に有利にはたらくことが期待できます。

このように不動産投資で得た収入をもとに、効率よく資産形成をおこなえるのもメリットです。


本業への支障が少ない

アパートやマンションの賃貸管理は、外部の不動産管理会社に管理委託する大家さんも少なくありません。管理委託のおかげで本業を持つサラリーマンにも負担が少なく人気のある不動産投資ですが、物件探しの段階ではやはり時間をかける必要があります。


不動産投資の成功の可否は、物件選びに大きく左右されます。そのため、物件を選ぶ際は現地調査が欠かせません。

多くの物件を見て回る時間の捻出がむずかしいサラリーマンに比べて、時間的な余裕がある自由業者は曜日や時間帯を気にせず物件の内覧や現地調査をしっかりおこなえます。


また物件の管理は管理委託できると述べましたが、安定した賃貸経営をおこなうためにも管理会社との連絡はできるだけ密におこなうことをおすすめします。

この場合も、時間に縛られない自由業者のほうが管理会社と連絡が取りやすく、営業時間内に訪問できるなどのメリットがあるでしょう。


節税効果が得られる

不動産投資で収入が増えるのがうれしい反面、所得税などの納税が心配という人もいるかもしれません。しかし、不動産投資には節税効果が得られるメリットがあります。


そのひとつが、「減価償却費」の経費計上です。減価償却費は実際に出費していないにも関わらず経費として計上が可能な費用なため、上手に赤字をつくり、本業の事業所得と「損益通算」をおこない課税される税金を減らすことが可能です。


また不動産投資で支払った費用は経費計上できるものが多く、それらをもれなく計上することで節税につながります。

損益通算について詳しくはこちら!>>不動産投資の損益通算で節税しよう!計算例や注意ポイントを解説

減価償却について詳しくはこちら!>>不動産投資の減価償却についてわかりやすく解説!節税ポイントも


これらのほかにも、確定申告で青色申告を選ぶことで節税効果が得られます。条件を満たすことで、最大65万円の特別控除や家族に支払った給与を青色専従者給与として経費計上できるなど、さまざま節税の恩恵が受けられるのです。


青色申告について詳しくはこちら!>>不動産投資は青色申告で賢く節税!計上できる経費や提出の流れを解説


不動産投資の節税について詳しくはこちら!>>不動産投資の節税効果をシミュレーションで紹介!仕組みや方法を解説



自由業者が不動産投資ローンの融資審査を有利にする方法

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自営業者が不動産投資をおこなうにあたって、大きな壁となるのが「不動産投資ローンの融資審査」です。


後述しますが、一般的に「個人属性」が低いとみなされやすい自由業は、融資審査に通過しづらい職業といえます。しかし、融資審査に通過できないわけではありません。

ここでは、融資審査を通過するための対策方法を解説します。


安定した収益を心がける

不動産投資ローンの融資審査は、「個人属性」と「物件の収益性・担保性」が評価され、その結果によって融資の可否や融資条件が決まります。

個人属性とは「融資申込者の社会的背景と経済的背景」のことを指し、金融機関が「お金を貸した場合、滞りなく返済をおこなえるかどうか」を審査するうえで重要な指標のひとつです。


融資審査に通りやすい属性にはいくつかの特徴がありますが、そのうちのひとつに「安定した収入」があげられます。安定した収入とは、毎月一定額が得られるサラリーマンの給与などを指します。


サラリーマンであっても非正規社員だったり、給与が歩合制だったりすると安定した収入とは認められず「低属性」とみなされ、融資審査では不利になる可能性があります。

自営業者の場合も収入が不安定な場合は、やはり低属性と判断されがちです。


しかし、自由業であっても安定した収益をあげている場合は「高属性」とみなされることもあり、融資審査で有利になる可能性が高まります。


一般的に融資審査の対象となる収入は、過去3年分程度です。不動産投資を視野に入れるのであれば、3年間の収益を一定に保てるような事業計画を立てて不動産投資ローンの融資審査対策をおこないましょう。


その際は3年間の収益のトータルではなく、できるだけ各年の収益にバラつきが出ないようにしましょう。バラつきが激し場合、収入が不安定と判断される可能性があるため注意が必要です。


頭金(自己資金)を用意する

自由業にかぎらず、ある程度の頭金を入れることで不動産投資ローンの融資審査の可否や融資条件が有利になる可能性があります。


頭金の額に決まりはありませんが、一般的な目安は物件価格の1~3割程度といわれています。個人属性が低めの場合は、できるだけ多くの頭金を入れることで融資審査に通過しやすくなると考えられるので、3割以上を目安に頭金を準備するとよいでしょう。


ただし、手元に自己資金がない場合は必要額を用意するために時間がかかるという点がネックになります。

不動産投資ローンには頭金なしで借入れできる「フルローン」もありますが、通常の融資よりもさらに審査はきびしいのが一般的です。


フルローンが引けた場合でも、物件購入費用の全額を借入れるため返済比率が大きくなりすぎることも多く、月々のローン返済が収益を圧迫しやすくなります。


フルローンを利用する際は通常の借入れ以上に収支シミュレーションを十分におこない、余裕のある返済計画を立てましょう。


融資を受けやすい金融機関を選ぶ

不動産投資ローンの融資審査基準は、金融機関ごと、支店ごとに異なります。そのため、属性が低い場合でも融資を受けやすい金融機関を選ぶことで融資問題をクリアできる可能性が高くなるのです。


一般的に、融資審査が一番厳しいのはメガバンク(都市銀行)です。融資を受けるには、一定額以上の年収が必要など、高属性であることが条件になります。

逆に、融資審査がゆるいといわれるのがノンバンク系金融機関です。ノンバンクついては後述する内容をご覧ください。


なお、同じ銀行であっても〇支店では融資を断られても△支店では融資を引ける場合もあるため、融資を断られてもあきらめず、複数の金融機関に融資申し込みをおこないましょう。


自由業者が融資を受けやすい金融機関には以下のようなものがあります。


日本政策金融公庫

「日本政策金融公庫(日本公庫)」は、財務省所管の政府系金融機関です。

民間金融機関では対応できない小規模事業の事業資金について投資支援を積極的におこなっているため、自由業や個人事業者が融資を受けられるチャンスは十分あります。

個人事業主だけでなく、女性や若者・シニア層への融資には優遇措置も用意されています。


金利相場は1~2%程度とメガバンクと並ぶ低金利で融資を受けられるのがメリットです。

ただし、日本公庫の融資対象は「事業」のみとなるため、「不動産投資」ではなく「不動産賃貸事業」などで申し込みましょう。また事業計画書の提出が必須となります。


なお、民間の金融機関に比べて借入上限額は少なく、借入期間が短いなどのデメリットもあります。


日本政策金融公庫について詳しくはこちら!>>日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?


信用組合・信用金庫

自営業者にとって、信用金庫や信用組合も融資審査に通りやすい金融機関のひとつです。

信用金庫や信用組合の営業エリアは一定の地域に限定されていて、その地域の発展や活性化を目的としています。


金利相場は2~3%程度、融資審査基準は各信金・信組で異なりますが、地方銀行とノンバンクの中間程度、やや地方銀行よりと考えられるでしょう。


なお、融資を受ける場合は信金または信組の会員になる必要があり、原則として居住地または物件所在地が営業エリア内にあることが条件です。属性とはまた違った融資条件となりますが、ノンバンク系の金融機関よりは金利が低いため、その分、高利回りが期待できます。


ノンバンク

ノンバングとは、預金業務をおこなわず、貸付業務のみをおこなう消費者金融や信販会社を指します。

融資審査基準は、ほかの金融機関よりもゆるい場合が多く、属性が低く、他金融機関で融資を断られてもノンバンクなら融資してもらえる可能性は十分あります。


ただし、ノンバンクの金利は3~4%程度と高めです。そのため、空室や想定外の修繕費の発生など、収入が減った場合はローン返済がキャッシュフローを圧迫する恐れがあるため注意が必要です。


ノンバンク系の融資を利用する際は、頭金を多めに入れて借入額を減らしたり、返済計画をしっかりと立てたり、返済比率を確認したうえで余裕のある返済を心がけましょう。


自由業者が事業資金の融資を受ける方法

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これまで、自由業者が不動産投資ローンを利用する場合について解説してきましたが、ここからは自由業者が「事業資金」として融資を受ける方法について解説します。


事業資金とは、創業資金、開業資金、設備資金、運転資金などに使用できる資金を指し、不動産投資でも設備の導入やリフォーム・リノベーションなどに利用することも可能です。

どうしても必要な資金が足りない場合や、急にお金が必要になった際のために覚えておくと便利です。


自由業者に事業資金を融資してくれる金融機関には以下のようなものがあります。


日本政策金融公庫

前述したように、日本公庫では小規模事業の投資支援をおこなっています。

申し込みから融資までにかかる平均日数は2週間程度です。緊急性が低く、低金利で借入れしたい場合に検討するとよいでしょう。


日本政策金融公庫について詳しくはこちら!>>日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?


ビジネスローン

個人事業主の資金調達方法のひとつにビジネスローンがあります。ビジネスローンとは銀行、信販会社・消費者金融などのノンバンク系でも取り扱っている、事業資金に特化した金融商品です。


ビジネスローンは、申し込み即日~1週間程度で融資を受けられるため、急に資金が必要な人にとって大きなメリットになります。

一方でビジネスローンは、通常の融資に比べて金利が非常に高いのがデメリットです。


融資審査は金融機関によって異なりますが、銀行が提供するビジネスローンは融資審査がきびしく、独自審査をおこなうノンバンク系のビジネスローンの審査はゆるいといえるでしょう。


【ビジネスローンの金利・借入限度額】

・三菱UFJ銀行「ビジネスローン」

金利:2.125%~9.0%

借入限度額:1億円以内


・アイフルビジネスファイナンス「ビジネスローン」

金利:3.1%~18.0%

借入限度額:50万円~1,000万円


・オリコ事業融資ビジネスローン「CREST for Biz」

金利:6.0%~18.0%

 借入限度額:300万円


とくにノンバンク系のビジネスローンの金利は高額なため、利息の負担は大きいです。よって、ビジネスローンの継続的な利用は資金繰りを却って悪化させる恐れがあるため注意が必要です。


ビジネスローンを利用する際は、緊急性の高い場合のみにかぎり、返済の目途がたっていることを前提に短期間かつ必要な金額だけを借りるとよいでしょう。


また融資実行が早いのがメリットのビジネスローンですが、申し込み時に必要な書類に不備がある場合は、融資が遅れてしまいます。とくに即日融資を利用する場合は、必要な書類が揃っているかしっかり確認したうえで申し込みましょう。


カードローン

金融機関によっては、事業資金用の事業者向けカードローンをあつかっている場合があります。ただし、ビズネスローンよりも金利が高額な場合もあるため、利用にはより注意が必要です。


【事業者向けカードローン】

・アコム「ビジネスサポートカードローン」

 金利:12.0~18.0%

 借入限度額:300万円


・東京スター銀行「スタービジネスカードローン」

金利:4.5~14.5%

 借入限度額:1,000万円


・セゾンファンディックス「カードローン(個人事業主専用)」

 金利:6.5~17.8%

 借入限度額:500万円(開業資金を除く)


自治体の制度融資を利用する

制度融資とは、中小企業や小規模事業者の資金調達サポートを目的とし、地方自治体・金融機関・信用保証組合が連携して融資をおこなう制度です。


長期かつ低金利で借入ができ、信用保証協会が保証人なので金融機関へ直接申し込むよりも融資される確率が高くなります。また自治体が金利や保証料の一部を負担してくれるというメリットがあります。


一方、制度融資は事業をおこなう自治体でしか利用できないのがデメリットです。加えて自治体によって制度の内容が異なるため、利用時には条件などをしっかり確認したうえで申し込みましょう。


まとめ

収入が不安定にみられがちなため低属性とみなされやすい自由業者は、サラリーマンや公務員に比べて不動産投資ローンの審査に苦労するかもしれません。

しかし、頭金を多く入れたり、融資審査に通りやすい金融機関を選んだり、審査に通過するための対策方法はいくつかあります。


収入が安定しない自由業者だからこそ、不動産投資で安定収入を得ることで信用性をも得ることにつながるのです。

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