新築アパート投資と中古アパート投資のメリット・デメリットを比較
2025/06/13

新築アパート投資と中古アパート投資のメリット・デメリットを比較

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人気の一棟アパート投資ですが、新築アパートと中古アパートではメリットやデメリットがそれぞれ異なります。

たとえば新築アパート投資は所得費用が高額ですが、その代わり家賃を相場よりも高くすることが可能です。一方、中古アパート投資は物件価格が安いため、高利回りが期待できます。


今回は新築アパート投資と中古アパート投資について、利回りやメリット・デメリットの違いを比較しました。

一棟アパート投資を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


新築アパートと中古アパートの平均利回りは?

茶色のタイル張り 新築マンション 3階建て

アパート投資は新築アパート投資と中古アパート投資の2種類があります。

新築アパート投資は、新築アパートを購入する、または所有している土地にアパートを建築し、各部屋を第三者に賃貸することで入居者から家賃収入を得る不動産投資方法のひとつです。


中古アパートと比較して取得費用は高額になりますが、新築物件は入居者から選ばれやすく、また新築プレミアムとして相場よりも家賃を高く設定できるなどのメリットがあります。


一方、中古アパート投資は新築以外の一棟アパートを購入して各部屋を第三者に賃貸して入居者から家賃収入を得ます。

中古アパートは新築に比べて価格が安いため、少ない初期費用で物件を購入でき、また高利回りが期待できるなどのメリットがあります。


アパート投資の利回りは築年数が経過するにしたがって価格が安くなるため、利回りは高くなるのが一般的です。


【全国 築年数別一棟アパート利回り平均(表面利回り)】


◦~築10年:6.35%

◦築10年~:7.19%

◦築20年~:9.37%


参考:『健美家 収益物件市場動向 四半期レポート2025年1月~3月期


関連記事:アパート経営の最低の利回りラインは?選ぶべき高利回り物件を解説


築10年までの物件と築20年以上の物件の利回りを比較してみると、約2%も違いがあります。では築20年以上のアパート物件のほうが儲かるかというと、そうではありません。

上記の利回りは、物件取得時の諸経費や運用時のランニングコストを反映していない「表面利回り」です。


アパートの建物は経年とともに劣化するため、新築や築浅アパートに比べると修繕費が増加する傾向があります。そのため修繕費の額によっては、利回りが大きく下がる可能性があることを覚えておく必要があります。


なお、賃貸物件の利回りは地域や構造によっても異なることも念頭に置いたうえで、新築・中古どちらのアパートを選ぶべきか十分検討しましょう。


新築アパート投資のメリットとデメリット

新築アパート 4つ並んだドア 茶色の木製ドア


ここでは新築アパート投資の主なメリットとデメリットを解説します。


新築アパート投資のメリット

まず、新築アパート投資のメリットを紹介します。


賃貸経営に有利な立地を選びやすい

新たに土地を購入してアパートを建築する場合、今後のアパート経営を有利にすすめるために賃貸需要が高い立地を選ぶことが可能です。


新築・中古ともにアパート経営の成否は物件の立地で決まると言っても過言ではありません。

しかし、賃貸物件の賃貸需要は周辺環境の変化によって変動する可能性もあるため、現時点での賃貸ニーズの高さだけでなく、将来的な賃貸ニーズも考慮したうえで立地を選ぶことがアパート経営の成功につながります。


中古アパートでも立地を選ぶことはできますが、新築アパート投資は土地そのものを選ぶことができるため、より有利にアパート経営をすすめることができるでしょう。


空室リスクを抑えられる

新築アパートは入居者に人気なため入居が決まりやすく、空室リスクを抑えることができます。


新築アパートは外観が美しく、内装も新品です。加えて最新の設備やセキュリティが導入されているなど、快適で安全に暮らせる環境が整っているため、多少家賃が高くても新築アパートを選ぶ人は意外と多いのです。


特に人気エリアの新築物件は竣工前から入居予約で空室が埋まるケースもあり、中古アパートよりも高い入居率が期待できます。


関連記事:アパート投資の空室リスクの原因と効果的な空室対策方法を解説!

関連記事:不動産投資で理想の空室率は何%?計算方法や効果的な対策方法を紹介


相場よりも高い家賃を設定できる

新築アパート物件は「新築プレミアム」として、相場よりも高く家賃を設定することができます。

通常、賃貸物件の家賃は、周辺の家賃相場を考慮したうえで設定されます。中古物件の場合、相場よりも高く家賃設定をしてしまうと入居者が決まりにくく、空室の原因になることも少なくありません。


しかし、前述したように新築物件は人気があるため相場よりも10%~30%程度家賃を上乗せできます。

そのため新築プレミアムで入居した場合、相場よりも多く家賃収入を得ることができるのです。


ただし新築プレミアムは、あくまで新築時の入居が対象です。入居者が入れ替わってしまうと新築プレミアムの家賃設定では入居が付きにくくなるため、その後は相場の家賃で入居募集をおこないます。

すると家賃収入が減少してしまうため、キャッシュフローが悪化するケースもあります。


新築プレミアムは永遠に続くわけではないことを念頭においたうえで、無理のない収支計画を立てておくことが重要になります。


修繕費を抑えやすい

新築アパートは建物や設備が新品なため、中古物件に比べて故障や修繕などが発生しにくいです。万が一故障や不具合が見つかっても、保証期間内であれば無償で修理・修繕をしてもらえる可能性もあります。

そのため修繕費を抑えられ、キャッシュフローに余裕ができるというメリットがあります。


関連記事:アパート投資にかかる修繕費の種類と目安を解説!費用を抑えるには?


金融機関の融資を受けやすい

アパートの取得費用は高額なため、金融機関から融資を受けるのが一般的です。

この場合、新築アパートは物件の資産価値や収益性が高いとみなされるため、融資を受けやすい傾向があります。


加えて、建築後10年~15年周期でおこなわれる大規模修繕までも時間があるため、資金面でも安定しやすいという点もあり、有利な条件で融資を受けられる可能性が高くなります。


関連記事:アパート経営で融資を受ける流れや融資審査の重視ポイントを解説!

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新築アパート投資のデメリット

新築アパートには魅力的なメリットが多い一方で、新築ならではのデメリットもあるため注意が必要です。


取得費用が高額

新築アパートは、中古アパートに比べて取得費が高額になるケースが多いです。

物件の取得費用の大部分を金融機関から借り入れるのが一般的ですが、借入額が多くなれば、その分月々のローン返済額も大きくなります。

そのため、ローン返済やランニングコストなどが無理なくおこなえるよう資金計画を立てておく必要があります。


なお、金融機関から融資を受ける場合、物件価格の20%~30%を初期費用(頭金と諸費用)として自己資金から支払うのが一般的です。

物件価格が高くなると初期費用として用意する自己資金も増えます。初期費用が支払えないと融資を受けることができないため、あらかじめ取得するアパートの価格を想定したうえで、必要な額を用意しておきましょう。


関連記事:不動産投資の予算を解説!物件別初期費用と年収別借入上限額を解説

投資回収するまでの期間が長い

新築アパート投資は収益化するまでの期間が長くなるのが一般的です。

新築アパートを運用するためには、アパートを購入または建築して入居者を募集する必要があるため、家賃収入を得るまで最低でも数か月間かかります。


またローンの返済期間が長く、投資したお金を回収するまで長い時間がかかり、経年とともに修繕費の増加や家賃下落といったリスクが生じます。また金利上昇や災害などのリスクが発生する可能性に備えて自己資金を貯めたり、保険へ加入したりといった支出を余儀なくされるでしょう。


投資したお金を早く回収するためには、物件の売却などを検討するケースもあります。

ただし一棟アパートは価格が高額なため買い手が見つかりにくく、希望の価格で売却できない場合もあるため注意が必要です。


関連記事:不動産投資でローン残債がある物件も売却可能!注意点や流れを解説

関連記事:不動産投資物件の売却に最適なタイミングと有利にする方法!


新築プレミアムが過ぎると家賃が下落する

前述したように、新築の賃貸物件は「新築プレミアム」として、相場より高めの家賃を設定できます。

ただし、新築プレミアムの家賃を適用できるのは新築で入居した場合のみであり、入居者が退去してしまえばその後の家賃は相場通りの設定となります。


新築プレミアムの家賃設定は任意ですが、一般的には家賃相場よりも10%~30%程度上乗せされるケースが多いようです。

そのため、新築プレミアムが終了してしまうと家賃が10%~30%下落してしまうため、通常の家賃の下落幅よりも大きくなるため注意が必要です。


中古アパート投資のメリットとデメリット

中古アパート 白い壁 青い階段


ここでは中古アパート投資の主なメリットとデメリットを解説します。


中古アパート投資のメリット

まず、中古アパート投資のメリットを紹介します。


高利回りが期待できる

中古アパートは新築アパートに比べて物件価格が安いため、高利回りが期待できるのがメリットです。

また物件価格が安いため必要な初期費用も少なくてすむため、自己資金が少ない人でも始めやすいのが特徴です。


ただし、利回りの高さだけで中古アパートを購入してしまうと、購入後に多額の修繕費が発生するなど、なんらかの不備によって利回りが下がる可能性もあるため注意しましょう。


取得直後から家賃収入を得られる

中古アパートの場合、入居状況はレントロールなどで確認できるため、あらかじめ入居率を調べたうえでアパートを購入するかどうかの判断ができるのがメリットです。


中古アパートに入居者がいる状態で物件を取得する場合、「オーナーチェンジ物件」として取得直後から家賃収入を得ることができます。

満室であれば改めて入居募集をおこなう必要もないため、手間や時間がかからず、費用を抑えることにつながります。


資産価値が下がりにくい

中古アパートは、新築アパートに比べて物件の価格が下がりにくいです。

前述したように新築アパートは、新築プレミアムとして相場よりも高い家賃を設定できますが、新築プレミアムが終了することで家賃は大幅に下落するため、資産価値も下がります。ます。


しかし中古アパートは築年数に従って建物の資産価値が下がった状態です。その後も資産価値は緩やかに下がりますが、大幅に下落することはありません、


またアパートなどの不動産は、預金や株式などほかの金融資産と比べてインフレの影響を受けにくいため、インフレ時にも資産価値が下がりにくいという特徴があります。


中古アパート投資のデメリット

中古アパートにはさまざまなメリットがありますが、デメリットもあるため注意しましょう。


空室リスクが高い

賃貸アパートは築年数の経過とともに老朽化がすすむのが一般的です。そのため外観や共用部が古びたり、間取りや設備が現在のニーズと合わなくなったり、人気が低下して空室リスクが高くなりやすいです。

特に近隣に新築や築浅の競合物件が多い場合、入居付けがむずかしくなります。


老朽化による空室リスクを抑えるためには、大規模修繕工事で外壁を塗り直したり、人気の間取りにリノベーションしたりといった対策が必要になります。


修繕費が増加しやすい

中古アパートは経年とともに老朽化がすすみ、建物の不具合や設備の故障などが発生しやすくなるため修繕費用が増加する傾向が強くなります。

空室リスクをおさえるためにも修繕工事は欠かせません。特に建物の資産価値を維持するために大規模修繕工事は非常に重要です。


大規模修繕工事は、修繕箇所にもよりますが数百万円の費用が発生する場合もあります。あらかじめ修繕計画を立てておき、毎月の家賃収入から大規模修繕費用を積み立てておくと安心です。


売却しにくい

中古アパートは、築古になると金融機関の融資が付きにくくなるため売買がむずかしくなる傾向があります。

特に築年数が法定耐用年数を過ぎてしまうと建物の資産価値がなくなるため、ローン審査がとおりにくくなったり、融資期間が短くなったりするため買い手がつきにくくなります。


そのため、中古アパートの売却を検討する場合はできる早いタイミングで売却を検討しましょう。


なお、どうしても市場で売却できないときは、「買取」という形で不動産会社に直接売却することも可能です。売買契約を不動産会社と直接結ぶため仲介手数料は不要ですが、市場価格よりも安く買い取られるのが一般的です。


まとめ

同じアパート投資でも、新築アパートと中古アパートでは、メリットもデメリットも異なります。

どちらのアパートを選ぶかは、土地所有の有無や用意できる自己資金額、投資回収に要する期間などをよく検討したうえで、自分に合った投資物件を選ぶことが大事です。


新築アパートと中古アパートのどちらを選ぶ場合でも最重要なのは立地です。

アパート経営は長期に渡っておこなうため、現在だけでなく、将来的な賃貸需要を見据えたうえで物件を選びましょう。

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岩崎 雅

2020年7月1日〜
当サイトのライターとしてコラム作成業務を開始
プロフィール
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。不動産以外のジャンルも含めると500本以上の執筆経験あり。