一棟アパート投資を成功させるための注意ポイント!特徴やメリットも
不動産投資の物件にはいろいろな種類があり、それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なります。そのため不動産投資を検討中の人の中には、どんな種類の物件に投資すればよいか迷っている人も多いでしょう。
そこで今回は、不動産投資物件の中でも人気の高い一棟アパート投資を中心に、区分マンション投資と一棟マンション投資、それぞれのメリットやデメリットを比較してみました。
また一棟アパート投資で成功するための注意ポイントを解説します。


一棟アパート投資の特徴やメリットをそのほかの収益物件投資と比較

不動産投資の対象となる収益物件の種類はたくさんあり、それぞれの収益物件ごとにメリットが異なります。
ここでは一棟アパート投資のとくちょうやメリットについて、そのほかの収益物件投資との違いを解説します。
一棟アパート投資の特徴・メリット
「一棟アパート投資」とは、その名称通りアパートを一棟丸ごと購入または建築し、第三者に部屋を貸して賃料収入を得る不動産投資手法のひとつです。
マンションを1室のみ所有する「区分マンション投資」に比べると高額の資金が必要ですが、貸し出す部屋数が多い分、大きなリターンを得られる可能性が高くなるのが大きな特徴です。
一棟アパート投資の主なメリットは以下のようになります。
◦利回りが高い
◦分散投資になる
◦修繕やリフォームなどを自由におこなえる
それぞれについて詳しく解説します。
一棟アパート投資のメリット①:利回りが高い
一棟アパート投資は、区分マンション投資や一棟マンション投資と比較して利回りが高い傾向が強いです。
『健美家 収益物件市場動向 四半期レポート2025年1月~3月期』によると、収益物件別の利回り平均は以下のようになります。
【全国 物件種類別利回り平均(表面利回り)】
◦一棟アパート:8.12%
◦区分マンション:6.70%
◦一棟マンション:7.69%
参考:『健美家 収益物件市場動向 四半期レポート2025年1月~3月期』
一棟アパートの全国平均利回りは8.12%となり、区分マンションや一棟マンションよりも高い数値であることがわかります。
ただし利回りは、収益物件の種類だけでなく、地域や物件の築年数によって変動します。
また上記の「表面利回り」は年間家賃収入額を収益物件の購入金額で割った数字であり、購入時の諸経費や運用時のローン返済や修繕費などランニングコスト、空室率などを反映していません。
そのため、実際の運用利回りは表面利回りより低くなるのが一般的です。
表面利回りの高さだけで物件を購入してしまうと、想定外の修繕費が発生したり、空室率が高かったり、想定した収益が得られないといったケースもあるため注意が必要です。
一棟アパート投資のメリット②:分散投資になる
複数の部屋を賃貸できるため、家賃収入がゼロになりにくいのも一棟アパート投資のメリットです。
区分マンション投資のように所有する収益物件が1室のみの場合、入居者がいないと家賃収入はゼロとなってしまいます。
しかし家賃収入がゼロでも、月々のローン返済や管理委託手数料などの支払いはおこなわなければなりません。この場合、貯蓄やそのほかの収入(給与など)から「持ち出し」が必要になります。
一棟アパート投資であれば、1室が空室でもほかの部屋の家賃収入で支出をカバーできるため赤字になりにくいという特徴があるのです。
一棟アパート投資のメリット③:修繕やリフォームなどを自由におこなえる
一棟アパート投資の場合、修繕スケジュールやリノベーションのタイミングなどを所有者自身で決定することができます。
区分マンション投資のように建物の専有部のみしか所有していない場合、建物に関する大規模修繕工事の実施などを区分所有者各自で決めることはできません。
また専有部についてもマンション規約によっては自由に改築などができないケースもあります。
しかし一棟アパート投資であれば、大規模修繕工事やリノベーション工事などを必要に応じて施工することで空室対策や物件価値の維持することが可能になるのです。
区分マンション投資の特徴・メリット
「区分マンション投資」とは、マンションの部屋を1室単位で購入してオーナーとなり、部屋を第三者に賃貸して賃料収入を得る不動産投資手法のひとつです。
一棟アパート投資や一棟マンション投資と比較すると少ない費用で物件を購入できるため、自己資金が少ない人でも始めやすいのが特徴です。
区分マンション投資の主なメリットは以下のようになります。
◦少ない自己資金で始められる
◦間取りを選びやすい
◦売却しやすい
それぞれについて詳しく解説します。
区分マンション投資のメリット①:少ない自己資金で始められる
アパートなどの一棟物件に比べると区分マンションの価格は安価です。
立地や築年数にもよりますが、ワンルームの区分マンションであれば数百万~数千万円で購入できるため、自己資金が少なくても始めやすいのがメリットとなります。
一般的な不動産投資に必要な自己資金の目安は、初期費用(頭金と諸費用)を合わせて物件価格の20%〜30%程度です。
たとえば、1,000万円のワンルーム区分マンションを購入する場合に必要な初期費用は200万円~300万円となります。
また投資額が少ないため、万が一投資に失敗したときの損失が少なくて済むため、不動産投資初心者にとってハードルの低い物件と言えるでしょう。
区分マンション投資のメリット②:好条件の部屋を選べる
賃貸物件は、同じ建物内でも入居者に選ばれやすい部屋が異なります。
たとえば、部屋の2面に窓がある角部屋が人気だったり、同じ間取りでも上層階の部屋の方が選ばれやすかったりさまざまです。
区分マンション投資では購入時に入居者に好まれやすい条件を満たす部屋を選ぶことで、空室リスクを抑えたり、賃料を高く設定できたり、賃貸経営を有利におこなうことも可能です。
区分マンション投資のメリット③:売却しやすい
一般的に投資用不動産は売却しにくいという特徴があります。特に一棟アパートや一棟マンションなどは高額なため、買手が見つかりにくく、売却までに時間がかかります。
しかし一棟物件に比べて区分マンションは安価なため、投資用不動産のなかでは比較的売却しやすいのがメリットになります。特に駅から近い築浅物件であれば買い手が見つかる可能性も高いです。
一棟マンション投資の特徴・メリット
一棟マンション投資とは、マンションの建物を丸ごと購入・建築し、第三者に部屋を賃貸して賃料収入を得る不動産投資手法のひとつです。
なお、マンションのアパートの違いには明確な定義がありません。一般的には、建物の構造と階数で区別をつけるケースが多いです。具体的な例は以下のようになります。
◦アパート:1~3階建ての木造の建物
◦マンション:3~4階建て以上の鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の建物
一棟アパートに比べると構造や規模の違いで価格は高くなりますが、その分家賃設定も高くできるため、高額の家賃収入が期待できます。
一棟マンション投資の主なメリットは以下のようになります。
◦多額の家賃収入を得られる
◦防音性が高い
それぞれについて詳しく解説します。
一棟マンション投資のメリット①:多額の家賃収入を得られる
同じ一棟投資でも、アパートに比べるとマンションの方が家賃を高く設定できます。またアパートよりもマンションは部屋数も多いため、毎月多額の家賃を得られる可能性があります。
ただし、構造によってはマンションの取得費用も高額になるため、利回りや収支シミュレーションなどをしっかりと確認することが必須となります。
一棟マンション投資のメリット②:防音性が高い
一般的に、アパートに比べてマンションの方が防音性に優れているケースが多いです。
アパートやマンションなどの騒音に関する入居者トラブルは非常に多く、決して楽観視はできません。そのため静かに生活したい人に選ばれやすく、また入居者の満足度が高まれば長期入居につながりやすく、安定した賃貸経営がおこなえるでしょう。。
ただし、マンションであっても構造や工法によっては差があるため、防音性の高い一棟マンションを建築・購入する場合は複数の物件を比較したり、口コミなどを参考したりすることをおすすめします。
一棟アパート投資のデメリットをそのほかの収益物件投資と比較

収益物件の種類によってさまざまなメリットがある一方で、デメリットもあります。ここでは物件の種類ごとに注意すべきデメリットについて解説します。
一棟アパート投資のデメリット
一棟アパート投資で注意したいデメリットは以下のようになります。
◦ランニングコストがかかる
◦災害リスクがある
それぞれについて詳しく解説します。
一棟アパート投資のデメリット①:ランニングコストがかかる
区分マンション投資に比べて、一棟アパートは各部屋だけでなく建物や庭などの維持管理が必要になるため、ランニングコストが高額になりやすいです。
特にアパートの管理を不動産管理会社に管理委託する場合は、「管理委託手数料」が必要になります。管理会社によって管理委託手数料は異なりますが、一般的な目安は家賃の5%~8%となるため、アパートの規模が大きければ大きいほど、管理委託手数料も高額になります。
また、一棟アパート投資で無視できないのが修繕費です。
特に10年~15年周期でおこなわれる屋根の葺き替えや外壁塗装などの大規模修繕費用は高額です。
アパートの規模にもよりますが数百万円以上かかるケースも少なくないため、あらかじめ大規模修繕計画を立てたうえで必要な費用を積み立てておくと良いでしょう。
そのほかにも、日常的な不具合箇所を修繕するための費用や退去時のリフォーム費用(原状回復費用)なども必要です。
一般的に修繕費は、建物の経年とともに増加する傾向です。そのため一棟アパート経営をおこなう場合は、築年数にあわせて必要となる修繕費を綿密に計算したうえで、収支シミュレーションをおこないましょう。
修繕費以外にも損害保険(火災保険・地震保険など)の保険料や水道光熱費などのランニングコストも発生することを覚えておきましょう。
一棟アパート投資のデメリット②:災害リスクがある
不動産投資をおこなううえで災害リスク対策は必須です。
特に木造の一棟アパートは、鉄筋コンクリート造などのマンションと比較すると被害が大きくなる可能性があるため注意が必要です。
建物の損壊や倒壊などで、多額の修繕費が発生したり、最悪の場合はアパート経営を継続できなくなったりするおそれがあります。
万が一に備えて、火災保険や地震保険にはかならず加入しておきましょう。
またアパート物件を購入・建築する際は、対象地域のハザードマップを確認し、できるだけ被災の可能性が少ないエリアを選ぶことで、災害リスクを軽減することにつながります。
区分マンション投資のデメリット
区分投資で注意したいデメリットは以下のようになります。
◦家賃収入がゼロになる可能性がある
◦収益を大きくすることがむずかしい
それぞれについて詳しく解説します。
区分マンション投資のデメリット①:家賃収入がゼロになる可能性がある
区分マンション投資の場合、入居者がいないと家賃が得られず、収入がゼロになってしまいます。
一棟アパート投資のように複数の部屋を賃貸する場合は、1室が空室になってもほかの部屋の家賃収入で支出をカバーできます。
しかし区分マンションの場合、空室=家賃収入はゼロなため、ローンの返済やランニングコストなどの支出はすべて自己資金や給与などから補填しなくてはなりません。
空室が長引けば長引くほど持ち出しが多くなり、手元の資金が尽きてしまいローンの返済ができなくなると物件を差し押さえられるおそれもあるため注意が必要です。
区分マンション投資にかぎらず、不動産投資では物件の立地は非常に重要です。その中でも特に区分マンション投資をおこなう場合は、長期にわたって安定して家賃を得られる賃貸需要の高い物件を選ぶことが必須となります。
区分マンション投資のデメリット②:収益を大きくすることがむずかしい
区分マンション投資は、少ない自己資金で始めることができ、比較的リスクが低いというメリットがある反面、大きな収益を得るのがむずかしいです。
前述したように区分マンションは入居者がいないと家賃収入はゼロになるため、空室期間が長くなるとそれだけ利回りは下がってしまいます。
安定した賃貸需要の見込める物件は価格が高くなります。しかし、区分マンションにかぎらず、賃貸物件の家賃は周辺物件の家賃相場を考慮する必要があります。
そのため物件価格をそのまま家賃に反映させると周辺相場よりも家賃が高くなってしまい、空室対策に結びつかないおそれも考えられるのです。
このように区分マンション投資は空室リスクが高く、高利回りを狙って家賃設定を高額にできないのがデメリットとなります。
一棟マンション投資のデメリット
一棟マンション投資で注意したいデメリットは以下のようになります。
◦初期費用やランニングコストが高額
◦売却しにくい
それぞれについて解説します。
一棟マンション投資のデメリット①:初期費用やランニングコストが高額
一棟アパートに比べて、一棟マンションの価格は非常に高額です。そのため初期費用も高額になりやすいです。
前述したように、収益物件を購入する際に必要となる初期費用(頭金と諸費用)の目安は物件価格の20%〜30%程度です。
一棟マンションの規模や築年数にもよりますが、価格帯は最低でも1億円以上となるでしょう。
たとえば2億円の一棟マンション購入時に必要となる初期費用は、4,000万円~6,000万円となり、一般的なサラリーマンの不動産投資初心者には非常にハードルが高いと言わざるをえません。
また運用後も多額のランニングコストが必要になります。特に大規模修繕費用は高額になることが予測できます。
加えて突発的な出費が発生することもあるため、余裕を持った資金計画を立てることが非常に重要です。
資金計画が不十分だと経営破綻するリスクが高くなります。投資額が高額なため、経営に失敗すると大きな損失につながるため注意しましょう。
一棟アパート投資で成功するための注意ポイント!

一棟アパート投資は、一棟マンションよりも少ない自己資金で始めることができ、区分マンション投資よりも大きな収益が期待できます。
ただし、一棟アパート投資であってもリスクは存在します。
ここでは、一棟アパート投資で成功するための注意ポイントを解説します。
利回りだけで選ばない
不動産投資における利回りは、収益率を計る際に用いる重要な指標です。利回りは、数字が大きければ大きいほど収益率が高くなりますが、利回りの高さだけで物件を選ぶのは非常に危険です。
特に物件広告に記載されている利回りは、購入時の諸費用やランニングコスト、空室率が反映されていない「表面利回り」です。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件購入価格×100
ここで注意したいのが、「利回りとは、実際の収益を保証する数字ではない」ことです。
たとえば、賃貸需要の低いアパートを相場よりも大幅に安い価格で売りに出している場合、利回りは高くなります。
高利回りに惹かれて物件を購入してみたら空室だらけで大赤字だったというケースもめずらしくありません。
そのほかにも、手入れが不十分な築古物件で購入してから多額の修繕費が必要になるケースや、購入直後に大規模修繕が必要な物件など、利回りが高いからと選んでしまい、実際には利益につながらないというパターンも多いです。
このような「ハズレ物件」を選ばないためにも、利回りの数字だけみるのではなく、実際に現地で物件を確認したり、レントロールで入居状況を確認したりすることが、優良な一棟アパート物件を選ぶ際の重要なポイントになります。
賃貸需要が高く競合物件が少ないエリアを選ぶ
一棟アパート投資をはじめ、賃貸経営にはいくつかリスクがありますが、中でももっとも注意したいのが「空室リスク」です。
賃貸経営の主な収入源は入居者が支払う家賃です。そのため、入居者がいない空室が増えると収入が減ってしまいます。
そこで空室リスクを抑えて安定した家賃収入を得るためには、賃貸需要が高いエリアの物件を選ぶことが重要なポイントになります。
ただし賃貸需要が高くても、そのエリアに競合物件が多い場合は入居者の確保のために家賃の引き下げを余儀なくされるケースがあるため注意が必要です。
家賃を引き下げることで入居者を確保できても収入が減少するため、キャッシュフローが悪化する可能性があります。
空室リスクを最小限に抑えるためにも、競合物件が少なく、安定した賃貸需要を見込めるエリアの物件を選びましょう。
自己資金が少ないときは中古の一棟アパートという選択肢も
一棟アパート投資を検討する際、新築アパートと中古アパートのどちらを選ぶべきか迷う人も多いです。
新築・中古、どちらのアパートにもメリットとデメリットがあるため一概には決めることはむずかしいですが、自己資金が少ないのであれば中古の一棟アパートがおすすめです。
中古アパートは新築よりも価格が安いため初期費用も少なくて済みますし、高利回りが期待できます。
また、すでに入居者がいるため「オーナーチェンジ物件」として、アパート取得後すぐに家賃収入を得られるのもメリットです。
その一方で、築年数や建物や設備の管理状態によっては、物件購入後に高額の修繕費がかかるケースもあるため注意が必要です。
加えて、アパートの取得費用を金融機関から融資を受ける場合、築年数によっては融資を受けるのがむずかしくなります。融資額が希望額に満たない場合は、頭金を増やすなどの対象が必要になるケースもあることを覚えておきましょう。
まとめ
一棟アパート投資を中心に、区分マンション・一棟マンション、それぞれのメリットとデメリットを解説しました。
同じ不動産投資でありながら、物件の種類によって投資額やリスク、運用の自由度度などが大きく異なります。
少ない投資額で不動産投資をおこないたいのであれば区分マンション投資がおすすめです。
高額投資が可能で大きなリターンを狙いたい場合は一棟マンション投資が視野に入るでしょう。
一棟アパート投資は、区分マンションに比べて空室リスクを抑えることができ、一棟マンション投資よりも少ない自己資金で始めることが可能です。
いずれの不動産投資物件も一長一短があるため、不動産投資の目的や目標、用意できる自己資金額などから、どの種類の収益物件に投資すればよいか見極めたうえで、しっかりと資金計画を立てることが賃貸経営の成功につながります。