初心者向け不動産投資の基礎知識!「やめとけ」と言われるのはなぜ?
2024/03/04

初心者向け不動産投資の基礎知識!「やめとけ」と言われるのはなぜ?

【初心者向け】不動産投資の基礎知識不動産投資の利益は2種類ある不動産投資の初期費用不動産収入と経費の種類不動産投資はレバレッジを効かせた投資がおこなえる不動産投資の利回り不動産投資の管理業務は委託できる不動産投資は「やめとけ」と言われる理由とは短期間で大きな利益を出せない不動産投資はリスクが多い高額の借金が怖い不動産投資で失敗しないためのポイント長期運用を前提に計画を立てる不動産投資用物件選びは慎重におこなうまとめ

「不動産投資って、なんだかむずかしそう」

「不動産投資はやめとけと聞くけど大丈夫?」


不動産投資に興味があっても、難易度やリスクが心配で最初の1歩を踏み出せないという人も少なくないでしょう。


そこで今回は不動産投資の初心者に向けて、不動産投資の基礎知識を詳しく解説します。

また、不動産投資は「やめとけ」といわれる理由とその対策方法も紹介しています。

不動産投資に対する疑問や不安を持っている人は、当記事を参考にして不動産投資を再検討してください。


【初心者向け】不動産投資の基礎知識

投資初心者 初心者マーク 1万円札

ここでは、これから不動産投資をはじめる人に向けて、不動産投資の基礎知識について解説します。


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不動産投資の利益は2種類ある

「不動産投資」で得られる利益は2種類あります。

ひとつ目は、所有しているマンションやアパート、戸建住宅オフィスビル、店舗、駐車場、土地などを第三者に賃貸して受け取る「賃料収入(インカムゲイン)」です。


賃料は短期間で大きな収益を得ることはできませんが、借り手や入居者さえいれば安定した賃料収入を毎月受け取ることができるでしょう。


安定した賃料を得るためには、入居者が途切れることのない物件を選ぶことが重要です。そのためには、賃貸需要が高く価値が下がりにくいエリアや立地の物件を選びましょう。


ふたつ目は、所有する不動産を購入した価格よりも高額で売却して得る「売却益(キャピタルゲイン)」です。

ただし不動産の価格は変動するため、購入時よりも安い価格で売却した場合は「売却損(キャピタルロス)」になってしまうケースもあります。


売却益を狙うためには、できるだけ地価が安いときに不動産を購入し、地価が上昇したタイミングで売却する必要があります。

しかし、購入したときよりも高値で不動産を売却するためにはタイミングを見計らう必要があり、不動産投資のプロであってもむずかしいといわれています。

そのため売却益狙いの不動産投資は初心者にはおすすめできません。


はじめて不動産投資をおこなうのであれば、賃料収入を目的とした収益物件を購入し、賃貸経営をおこないましょう。ある程度の期間、物件の運用で収益をあげたのちに不動産物件を売却し、これまでの賃料収入と売却額を合算して収益を黒字にする方法をおすすめします。


関連記事:不動産投資の利益の種類!インカムゲインとキャピタルゲインを解説


不動産投資の初期費用

不動産投資をはじめるにあたって、収益物件を購入する必要があります。その際は、物件購入費用の一部を「頭金」として自己資金で支払い、残りの額を金融機関から借入れるのが一般的です。


なお物件購入費用のほかにも、購入やローン手続きなどにかかる費用や専門家への報酬、税金などの「諸費用」が発生します。この諸費用と、先の頭金をあわせて「初期費用」といいます。


初期費用額は購入する不動産の種類や購入相手(個人か会社か)によって異なりますが、諸費用の目安は物件購入価格の8%〜10%程度です。

頭金は物件購入価格の1割~3割程度が目安ですが、頭金を多く入れることで借入額が少なくなるため、融資審査に通りやすくなるというメリットが期待できます。


諸費用には以下のような種類があります。


【おもな諸費用種類】

◦仲介手数料:物件価格の3%+6万円+消費税(上限)

◦不動産取得税:固定資産税評価額×3%(令和6年3月31日まで)

◦印紙税:物件価格によって異なる

◦登録免許税:土地、建物の1.5%

◦専門家への報酬:10万円~15万円程度

◦融資事務手数料:借入金額の1~3%程度

◦融資保証料:借入額の2%程度(一括で支払う場合)


上記のほかに、損害保険料(火災保険や地震保険など)や清算金(固定資産税など)が必要になるケースもあります。


また仲介業者を通さず、売り主や不動産会社から直接物件を購入する場合は仲介手数料が発生しません。できるだけ諸費用をおさえたいときは、仲介手数料が不要の物件を購入するとよいでしょう。


不動産収入と経費の種類

ここでは、不動産投資をおこなうことで得られる収入(不動産収入)と運用時に発生する支出(経費)について紹介します。


不動産収入の種類

不動産投資ではメインの収入源となる賃料をはじめ、以下のような収入が得られます。


◦賃料収入

◦共益費、管理費

◦礼金(新規入居者から支払われる謝礼金)

◦更新料(既存の入居者から更新時に支払われる)

◦その他の収入(物件の敷地内にある自動販売機の売上金など)


敷金とは異なり、礼金や更新料は入居者に返還する必要がないため、不動産収入に含めることが可能です。


不動産投資の支出(経費)

収益物件の運用時には、さまざまな経費が発生します。ここでは代表的な経費の項目を紹介します。なお経費の目安は家賃収入の20~25%程度です。


◦借入金の利息部分

◦修繕費

◦税金(固定資産税など)

◦損害保険料(火災保険料、地震保険料など)

◦管理委託費、管理費

◦専門家(司法書士や税理士など)への報酬

◦減価償却費

◦雑費(交通費、通信費、新聞図書費、接待交際費、消耗品費、その他の雑費)


関連記事:不動産投資で経費はどこまで認められる?正しく計上して節税を!


関連記事:不動産投資の雑費計上時の注意点!高額すぎると税務調査の可能性も


不動産投資はレバレッジを効かせた投資がおこなえる

不動産は高額なため、不動産投資には「多額の資金が必要」と考えられがちです。しかし不動産投資をおこなう人のほとんどは金融機関から融資(不動産投資ローン)を受けるため、実際に必要となる自己資金は物件購入費用の1割~3割程度となります。


このように自己資金(頭金)+金融機関の融資によって、自己資金の何倍もの不動産を所有し運用をおこなうことで、より多くの利益を得られるのが不動産投資の特徴です。

なおこれを「レバレッジ(てこの原理)」といいます。


関連記事:不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意


不動産投資の利回り

不動産投資における利回りは、収益物件を購入する際に「どの程度の収益を得られるか判断するための指標」という重要な役割を持ちます。

不動産投資でよく使う利回りは「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。


表面利回り

投資額(物件の購入価格)に対する1年間で得られる家賃収入の割合を指します。


【表面利回りの計算式】

表面利回り(%)= 年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格 × 100


表面利回りの計算には運用時における諸費用(ランニングコスト)は反映されていません。また表面利回りは満室時を想定しています。

しかし実際には月々のローン返済をはじめ、各種維持費用(ランニングコスト)が発生しますし、空室期間も生まれるでしょう。


そのため実際の利回りは表面利回りよりも低くなるのが一般的です。表面利回りの数字だけで物件を選んでしまうと想定したキャッシュフローが得られない可能性が高いため注意が必要です。


実質利回り

物件購入時の諸経費や年間の諸費用(ランニングコスト)を反映させて計算したのが実質利回りです。そのため表面利回りより、実際の運用時に近い利回りを確認することができます。


【実質利回りの計算方法】


実質利回り(%)=(年間の家賃収入-年間の経費)÷(物件購入価格+購入時の諸経費)×100


ただし実質利回りについても、計算に使用する経費は想定した金額です。

あくまでも利回りは参考数値であり、実際に運用をはじめてみると想定した利回り通りの収益が得られないケースもあるため注意しましょう。


収益物件を比較検討するときは利回りだけを過信せず、空室率や家賃下落率などの数字を加味したうえで、さまざまな角度から収支シミュレーションをおこないましょう。


関連記事:不動産投資の実質利回りと表面利回りの違いは?シミュレーション比較


関連記事:不動産投資の利回り最低ラインを物件種類別に紹介!加味すべき点も


不動産投資の管理業務は委託できる

不動産投資では、収益物件の管理(建物の修繕・メンテナンス、清掃など)や賃貸管理(入居者募集、入退去管理、入居者のクレーム対応など)を必要に応じておこなわなければなりません。


しかし、すべての業務を大家さんだけでおこなうには負担が大きいです。

とくにサラリーマン大家さんのように本業を持っている場合は、管理する時間を取れないことも少なくありません。


そこで大家さんの負担を軽減するために賃貸物件の管理業務全般を管理会社に業務委託することをおすすめします。


不動産会社は管理業務のノウハウや法律に関する知識が豊富なため、管理業務慣れない大家さんが自主管理するよりも質の高い管理が期待でき、物件の価値の下落を防いだり、入居者の満足度の向上につながったり、賃貸経営にとってプラスの効果につながるでしょう。


なお、管理業務を不動産管理会社に委託する場合は、家賃の5%~8%/月程度の委託手数料の支払いが必要です。


関連記事:不動産投資を成功させる不動産管理会社の選び方!管理業務内容を解説


不動産投資は「やめとけ」と言われる理由とは

3軒の家 吹き出し クエスチョンマーク


「不動産投資」をキーワードにインターネット検索をしてみると、検索結果には「やめておけ」というワードが表示されることがあります。


しかし不動産投資は、サラリーマンやパート主婦など、多くの人がおこなっている人気の投資方法のひとつです。

なぜ不動産投資は「やめとけ」と言われてるのでしょうか?ここでは、その理由を解説します。


関連記事:不動産投資の初期費用の種類と目安額!できるだけ安くする方法は?


短期間で大きな利益を出せない

不動産投資は基本的に所有する不動産を他者に貸すことで毎月受け取る賃料が収入になります。そのため株式などとは異なり、短期間で賃料が大きく値上がりすることはまずありません。


そもそも不動産投資は、長期的な投資をおこなうことで利益をこつこつと積み上げていく投資方法です。


そのため短期間で大きな利益を得る可能性のある株式投資やFX投資と比較すると「儲けが少ない」と考えている人も多く、それが「不動産投資はやめとけ」という理由のひとつにつながるのです。


なお不動産投資でも所有する不動産を売却して利益(売却益)を得ることは可能です。

ただし現物不動産は流動性が低く、売りたいときに希望する価格でかならず売れるとはかぎりません。物件の立地や建物の状態によっては、売却損になってしまうリスクもあります。


また買い手の融資審査の結果を待つ必要などもあるため、売却までに時間がかかるのが一般的です。

こういった流動性の低さも、「やめとけ」言われる一因であると考えられます。


不動産投資はリスクが多い

不動産投資も投資である以上、注意すべきリスクがいくつかあります。

ただし、不動産投資におけるリスクは予測しやすく対策を立てやすいという特徴があります。


たとえば、不動産投資の最大のリスクのひとつが「空室リスク」です。不動産投資は第三者に物件を賃貸して受け取る家賃が収入となります。そのため入居者がいないと家賃収入を得ることができません。


空室対策として、賃貸需要が高い利便性がよい立地の物件を選び、必要に応じてリフォームや設備投資をおこなうことで、空室リスクを軽減することが可能です。


また家賃滞納も不動産投資によくあるリスクのひとつですが、昨今では「家賃保証会社との契約」を入居条件とすることも増えています。


家賃保証会社は、万が一入居者が家賃を滞納した場合、入居者に代わって大家さんに家賃を支払ってくれます。家賃を滞納した入居者への督促なども保証会社がおこなってくれるため、大家さんが金銭的な損害を受けずに済み、手間や時間を取られることもありません。


不動産投資のリスクはほかにもありますが、いずれもリスク対策をすることは可能です。


しかし、こういったリスク対策方法を知らない人は、不動産投資は「リスクが多くて危ない」と考えるため、その結果「不動産投資はやめとけ」といわれる理由につながるのです。


高額の借金が怖い

不動産投資をおこなうには高額な投資用不動産物件を購入する必要がありますが、前述したように不動産投資は物件購入費用の一部を自己資金でまかない、残りの額は金融機関から融資を受けてはじめるのが一般的です。


そのため不動産投資をはじめるには「高額の借金をしなくてはならない」というネガティブなイメージを持つ人も多く、それが「不動産投資はやめとけ」と言われる理由のひとつにつながります。


不動産投資は金融機関からの多額の借入れをおこないますが、前述したようにローンを利用することで自己資金以上の資産の入手ができます。

またレバレッジを効かせた投資をおこなえるので、資産形成のスピードを早めることができるのも不動産投資のメリットです。


また月々のローン返済は、基本的に家賃収入からおこないます。そのため想定した家賃収入を得られれば月々のローンの返済がおこなっても、しっかりと手元にキャッシュフローを確保することは可能なのです。


しかし一方で、月々のローン返済ができなくなるケースがあることも事実です。

その原因として、返済シミュレーションやリスク対策が不十分な場合が考えられます。


とくに借入額が大きい場合、毎月の収支がぎりぎりになりがちです。すると、空室で家賃収入が減ったり、設備などの故障で想定外の出費が出たり、収支のバランスが崩れることで、ローン返済が困難になるケースはめずらしくありません。


安定したキャッシュフローを維持するためには、月々の家賃収入とローン返済額や維持費用(ランニングコスト)などしっかり考慮したうえで綿密な収支シミュレーションが欠かせません。

収支シミュレーションの結果から、無理のなく返済できる範囲で借入れ額を決めるとよいでしょう。


関連記事:不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意


不動産投資で失敗しないためのポイント

虫眼鏡 ポイント ノート

「やめとけ」といわれる不動産投資ですが、実際には状況に応じた対策をおこなうことで、しっかりと収益を得ることが可能です。


しかし投資である以上、リスクはゼロではありません。では、不動産投資で失敗する確率を下げることはできるのでしょうか。

ここでは不動産投資で失敗しないためのポイントを紹介します。


長期運用を前提に計画を立てる

前述したように不動産投資のおもな収入源は、入居者が毎月支払う家賃です。家賃収入は短期間で大きな収益にはなりませんが、長期的に安定した収入が見込めるのがメリットです。

そのため不動産投資をはじめる場合は、できるだけ長期運用を前提に計画を立てる必要があります。


とくに10年~15年周期でおこなう大規模修繕工事や築古になった物件の間取り変更などのリノベーション工事は、収益物件を長期運用するうえで欠かせません。

しかし、大規模修繕やリノベーション工事には高額の費用が必要です。いざというときに「工事費用が足りない」ということがないように、毎月一定額を修繕費用として積み立てておくと安心です。


また不動産投資をはじめると同時に出口戦略や、投資規模の拡大などについても検討しておきましょう。

何年後に売却するのか、その売却した資金の使い道(新規の物件を購入するのか、プールしておくのかなど)はどうするのかなどを考えておくことで、今後の不動産投資の方向が定まりやすくなるでしょう。


不動産投資用物件選びは慎重におこなう

不動産投資において物件選びは非常に重要です。不動産は高額ですし、売りたいときに売りたい値段で買い手がつかない場合も多いため、買い直すことは非常にむずかしいでしょう。

そのため物件を選ぶ際は、立地はもちろん、建物の状態や周辺環境なども念入りに調査することが大切です。


また物件を検討する際は、かならず現地を訪れ、物件や周辺を実際に確認することをおすすめします。画像や資料からは見えない部分が、不動産投資の成功の可否に大きく関わることもあるでしょう。


物件を選んだあとで「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも物件選びは、くれぐれも慎重におこないましょう。


まとめ

不動産投資の基礎知識や「やめとけ」といわれる理由について解説しました。

不動産投資には、さまざまなリスクがあるため不安を感じる人もいるでしょう。

しかし不動産投資は、リスクの内容を把握しやすく、適切なリスク対策をおこなうことでリスクを軽減しながら長期的に安定した収入を得ることも可能です。


また管理業務を不動産管理会社に業務委託できるため、忙しいサラリーマンでも賃貸経営をおこないやすいのが特徴です。


不動産投資は、融資を受けることで自己資金以上の不動産を所有でき、さらにレバレッジを効かせた投資がおこなえるため、スピード感のある資産形成をおこなえます。

ぜひ当記事を参考に不動産投資を検討してください。

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