不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意
2022/03/21

不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意

不動産投資のレバレッジ効果を解説!【具体例付】不動産投資のレバレッジ効果とは?具体例で説明不動産投資でレバレッジ効果がもたらすメリット不動産投資の効率が上がる万一のとき団体信用生命保険の効果が高くなる他者の資金で投資ができる不動産投資でレバレッジをかける際のデメリット!逆レバレッジとは?金利が高くなったとき利回りが下がったとき逆レバレッジの対策方法不動産投資でレバレッジ効果を活かすなら収支シミュレーションをしっかりとおこなうまとめ

不動産投資のレバレッジ効果をやさしく解説!リスクにも要注意

不動産投資の最大のメリットは「レバレッジ」を効かせた投資ができることです。

レバレッジとは、簡単に言えば「少ない資金で大きな収益を得ること」で、自己資金だけでなく、金融機関から融資を受けることで成り立ちます。


今回は不動産投資のレバレッジ効果について、その仕組みやメリット、レバレッジのリスクとなる「逆レバレッジ」についてわかりやすく解説します。


レバレッジの役割を理解することで、少ない自己資金で大きな収益を得ることも可能です。

ぜひ当記事をご一読ください。


不動産投資のレバレッジ効果を解説!【具体例付】

「レバレッジ」は不動産投資だけでなく、株式投資やFX(外国為替証拠金取引)など投資業界や金融業界で広く使われる用語です。

レバレッジ効果とは、「てこの原理」という意味で「小さな力で大きなモノを動かす」ことを指し、具体的には少額の投資で大きなリターンを得るといった意味で使われます。


不動産投資のレバレッジ効果とは?具体例で説明

不動産投資におけるレバレッジ効果とは、「少ない自己資金で大きな収益を得る」ことを指します。

具体的には、自己資金(頭金)+金融機関の融資(不動産投資ローン)によって自己資金の何倍もの投資をおこない利益を得ることです。

ここでは具体例をあげて解説しましょう。


不動産投資の融資について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人


【具体例】自己資金600万円、表面利回り8%の物件

上記のケースで、「自己資金のみで600万円の不動産」を購入し運用した場合、得られる「年間家賃収入は48万円」になります。


しかし「自己資金600万円を頭金」にして「金融機関から2,400万円を借入れて3,000万円の物件」を購入すれば、「3,000万円で利回り8%」となり、「年間家賃収入は240万円」となります。


このように同じ自己資金額・同じ利回りであっても、金融機関から融資を受けて不動産を購入し運用する「レバレッジを効かせた」ことで、自己資金のみのときと比べて年間で5倍もの家賃収入を得ることができるのです。


上記の例では借入金に対する利息の支払いは考慮していませんが、不動産投資の利益がアップすることで利息を支払ったとしてもレバレッジをかける価値は十分あると考えられます。


不動産投資でレバレッジ効果がもたらすメリット

メリット 天秤 デメリット

ここでは不動産投資におけるレバレッジ効果のメリットを紹介します。


不動産投資の効率が上がる

レバレッジ効果の最大のメリットは不動産投資の効率がよくなることです。

上記の具体例にあげたように、自己資金のみで不動産投資をおこなった場合と比較し、レバレッジを効かせれば年間家賃収入は5倍になりました。


ただし、金融機関から借入れた2,400万円には利息がかかるため、家賃収入はそのまま全額が利益にはなりません。


たとえば金利2%であれば年間48万円が利息になります。

年間家賃収入300万円から利息分48万円を差し引くと、収入は年間252万円になってしまいますが、それでもレバレッジを効かせないときと比べても4倍以上の投資効率が得られるのです。


なお不動産投資をおこなう際には、利息以外にもさまざま費用が発生しますが、ここでは割愛します。


万一のとき団体信用生命保険の効果が高くなる

不動産投資の融資を受ける際、「団体信用生命保険(団信)」への加入が融資条件になっていたり、任意で加入できるケースがあります。


団信とは、ローン契約者が死亡した場合(または高度障害が残った場合)など、万一ローンの返済ができなくなったときに残債が保険によって完済され、遺族(または本人)に物件が残される保険システムです。

保険の性質から「生命保険代わり」として、不動産投資のメリットのひとつに数えられます。


残債なしで物件が残されるため、遺族(本人)はそのまま賃貸経営をつづけて家賃収入を得てもいいですし、残債を気にすることなく物件を売却することも可能です。


このように金融機関から融資を受けて不動産を購入していれば、ローン契約者に万一があっても自己資金以上の収益物件が手元に残るため、高い保険効果を得ることができます。


他者の資金で投資ができる

レバレッジをかけた不動産投資とは、すなわり「他者(銀行からの借入金)の資金で投資をおこなう」ということです。


一般的に、投資目的でお金を借りられる例は多くありません。

たとえば、株式投資をはじめるにあたって融資をしてくれる金融機関は通常ありません。

株式投資などでは、金融機関に保証金を入れる「信用取引」としてレバレッジを効かせた投資がおこなえる場合もありますが、借入れできるのは保証金の約3.3倍までです。


一方、不動産投資の融資額はローン契約者の年収の10倍程度が上限と、非常に大きな額を借入れることが可能です。

(融資額は本人属性や物件の収益力によって異なります)


万が一、返済が滞った場合でも不動産物件を処分することでローン契約者は残債を0円にできますし、金融機関も貸し倒れを防ぐことができます。

このように不動産投資は、投資対象である不動産そのものに価値があるため、金融機関の融資を活用した投資が可能なのです。


また、不動産投資で融資を受けた場合の返済は、基本的に物件から得られる家賃収入からおこないます。

そのため、賃貸経営が順調であれば、頭金以上の自己資金を減らすことなく借入金の返済ができます。


借入金の返済が完了すれば、「少しの自己資金+大部分が他者の資金」で購入した不動産が手元に残ります。

このように不動産投資は、レバレッジ効果を存分に享受できる投資方法と言えるでしょう。


不動産投資の融資について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人


不動産投資でレバレッジをかける際のデメリット!逆レバレッジとは?

不動産投資ではレバレッジをかけることで高い収益を得ることが可能な反面、損失のリスクが高まる可能性についても注意する必要があります。

それが、逆レバレッジです。


逆レバレッジとは、その名前通り、レバレッジがマイナスに働いてしまうことを言います。

逆レバレッジは、借入額が多ければ多いほど損失も大きくなるため注意しましょう。

不動産投資で逆レバレッジになるのは、以下のような状況が考えられます。


金利が高くなったとき

逆レバレッジは金利が上昇することで起こります。

前述の具体例と同じ条件(利回り8%、自己資金600万円、借入額2,400万円、金利2%)で不動産を購入したあとで金利が変動し8.5%まで上昇したとすると、年間の支払い利息は204万円となります。


利回りは8%なので年間家賃収入は240万円です。

240万円-204万円となり、この場合の収益は34万円となります。

これは、融資を受けずに自己資金のみで不動産を購入し運用した場合に得られる収益「46万円」のほうが、効率がよいことになります。


加えて、融資を受けた2,400万円に対して金利2%、年間48万円が利息の支払いをしなくてはなりませんが、収益は34万円なのでローン返済だけでなく費用の支払いもできません。


この場合、ほかの収入や自己資金から費用の支払いを捻出しなければならず、最悪の場合ローン返済ができず物件を差し押さえられる危険性も考えられます。


実際に金利が8.5%を超えることは、ほぼ考えられませんが、金利が上昇する可能性は十分ありうることです。

そのため金利の上昇を想定したうえで、毎月の家賃収入に対して月々のローン返済金額は余裕を持っておこなうことを心がけましょう。


利回りが下がったとき

利回りが下がった場合も逆レバレッジの危険性があります。

どのような状況なのか、前述の具体例(利回り8%、自己資金600万円、借入額2,400万円、金利2%)をもとにシミュレーションしてみましょう。


ここでは利回りが3%になった場合を想定します。

すると年間家賃収入は240万円だったのが90万円になり、48万円のローン返済をすると残りは42万円。

これもまた、融資を受けずに自己資金のみで不動産を購入し運用した場合に得られる収益「46万円」のほうが、効率がよいことになります。


利回りの低下は、老朽化や周辺環境の変化によって空室が増えれば、十分起こりうることです。

特に区分マンションは、入居者がいない場合の家賃収入は0円です。

最悪の場合、ローン返済などの費用全額を自己資金から持ち出さねばならない状況も考えられるため注意が必要です。


逆レバレッジの対策方法

逆レバレッジでの失敗を防ぐためには「イールドギャップ」を意識した不動産投資をおこなうことが重要です。

また負債を補填できるよう自己資金を残しておくことも有効な方法のひとつです。


イールドギャップを意識する

イールドギャップとは、「物件の利回 - 金利」の数値を指します。

前述の具体例でいえば「物件の利回り8%、金利2%」なので、イールドギャップは6%になります。


レバレッジを効かせた不動産投資をおこなう場合のイールドギャップの目安は、中古物件で6%以上、新築物件で5%以上と言われています。


ただし、イールドギャップが高くても、ローン返済期間によっては手元にお金が残らないこともあるため注意が必要です。

ローンの返済期間が短い場合、月々のローン返済額は高額になる場合が多く、そのため手元に残るお金が少なくなってしまいます。


不動産投資でレバレッジを効かせた投資をおこなう際は、イールドギャップだけでなく、毎月手元にいくら現金が残るか「キャッシュフロー」も意識することが大切です。


資金をプールしておく

逆レバレッジによって、月々のローン返済がきびしくなった場合でも、手元に資金(現金)があれば損失を補填することが可能です。

前述のようにレバレッジを多くかけているほど、損失が大きくなる可能性があります。

一定額の現金を保有しておくこととで急場をしのぐ助けになるでしょう。


不動産投資でレバレッジ効果を活かすなら収支シミュレーションをしっかりとおこなう

グラフ 電卓 虫眼鏡

前述のように、不動産投資は金融機関から融資を受けることで、レバレッジ効果を得られる投資方法です。

しかし、空室リスクや金利上昇リスクなどの不確定要素次第では、せっかくのレバレッジ効果が得られないばかりかマイナスになる場合もあるのです。


不動産投資で成功するためには、人口減少や賃貸需要が落ちない好立地物件を選んだうえで、さまざまなケースを想定した収支シミュレーションをおこない、最悪のケースの対策を考えておくことが重要です。


不動産投資にはリスクがありますが、それらリスクをしっかりと理解することこそが最大のリスク対策につながるのです。

不動産投資をはじめる前には綿密なシミュレーションをおこない、リスクにあわせた対策をおこなったうえで、レバレッジをかけることが大切です。


まとめ

レバレッジは、不動産投資をおこなううえで大きな収益を上げるために欠かせない要素のひとつです。

不動産投資でレバレッジ効果をうまく活用することで、少ない自己資金で大きな利益を得ることも可能になります。


ただし、金利上昇や利回りの低下によっては逆レバレッジを起こし大きな損失を出してしまう危険性もあります。

レバレッジを利用するときはキャッシュフローを意識し、借入額や月々のローン返済額など、無理のない範囲で設定するなど、事前の収支シミュレーションをしっかりとおこないましょう。

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