【2023年8月】変動金利の今後はどうなる?金利上昇リスクの対策方法!
2023/09/23

【2023年8月】変動金利の今後はどうなる?金利上昇リスクの対策方法!

銀行の住宅ローン金利の種類と決まりかた2023年以降の変動金利はどうなるのか【2023年8月】変動金利の相場と今後【2023年8月】固定金利の相場と今後【2023年8月】不動産投資ローンの金利相場変動金利が上昇した場合の影響と対策方法金利が上昇するとローン返済額が増える金利上昇の対策方法まとめ

日本銀行は2022年12月の金融政策決定会合で、長期金利の変動幅の上限を0.25%から0.5%に拡大すると発表しました。それを受けて、一部の金融機関は住宅ローンの固定金利の基準金利を引き上げたことから、住宅ローンの金利上昇を心配している人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、今後の住宅ローンや不動産投資ローンの金利上昇について解説します。

また変動金利が上昇した際の懸念点と対策方法も紹介します。


銀行の住宅ローン金利の種類と決まりかた

固定金利 変動金利 シーソー

銀行の住宅ローンの金利は、変動金利と固定金利の2種類があります。

一般的に、変動金利は日銀の政策金利の影響を受ける「短期プライムレート」と連動しています。

日銀は日本国内の「今」現在の経済実態をみて政策金利を決定するため、住宅ローンの変動金利は景気に影響されやすいといえるでしょう。


一方、固定金利の指標は代表的な長期金利である「新発10年物国債の利回り」です。国債利回りは国債を取引する投資家達の動きによって決まり、投資家は将来を予測して取引をおこないます。そのため固定金利は「将来」の予測によって変動しやすい点が特徴です。


2023年以降の変動金利はどうなるのか

金利 矢印 上がったり下がったり

日本銀行は2022年12月に長期金利の変動幅の上限を0.25%から0.5%に拡大しました。それを受けて、一部の金融機関は固定金利型の住宅ローン金利を引き上げましたが、短期金利は依然としてマイナス金利がつづいています


ここでは現在(2023年8月)の住宅ローン金利をみながら、今後の金利がどうなるのか考えてみましょう。


【2023年8月】変動金利の相場と今後

2023年8月の住宅ローン変動金利の相場は0.3%程度から1.0%程度となっています。ここ数ヶ月の変動金利の推移では、おおむね横ばいといえるでしょう。


  • auじぶん銀行:0.319%
  • 三菱UFJ銀行:0.345%
  • イオン銀行:0.380%

では今後、住宅ローンの変動金利の動きはどのようになるでしょうか。

2023年4月28日におこなわれた植田新総裁就任後初めての金融政策決定会合では、引き続き金融緩和政策が表明されました。

これにより、現時点では変動金利の低金利はつづいていくことが予想されます。


2023年7月の金融政策決定会合でも、金融緩和は維持することが決定されています。


ただし日銀の動向次第では将来的には変動金利も上昇することが考えられます。


【2023年8月】固定金利の相場と今後

固定金利の相場はというと、2023年8月のフラット35の金利は以下のようになっています。


  • フラット35(借入期間21年~35年・融資率9割以下・団信有):1.720%
  • フラット35(借入期間21年~35年・融資率9割以下・団信無):1.520%

2023年になってから徐々に上昇していましたが、2023年4月に前月比-0.20%下落したものの、5月には+0.70%回復して1.83%に(団信有)。そこから3ヶ月後の8月現在では前月比-0.01%となりました。


現在は、0.5%へ変動幅の上限が引き上げられただけなので、大きな影響はみられません。しかし、ここ最近の著しい物価上昇が今後もつづく場合は、経済状況を回復するため、さらに金利に変動が生じる可能性も十分予測できると考えられます。


【2023年8月】不動産投資ローンの金利相場

ローン 家 電卓

住宅ローンの金利に比べ、そもそも不動産投資ローンの金利は高く設定されています。

下記は2023年8月時点の不動産投資ローンの金利相場(変動金利)です。


  • メガバンク(都市銀行):1.0%~1.5%
  • 地方銀行・信用金庫:1.5%~4.0%
  • ノンバンク・ネット銀行:2.5%~4.5%

今のところ不動産投資ローンの変動金利に大きな変動はありません。しかし今後、住宅ローンの金利上昇が起これば不動産投資ローンの金利にも影響が出る可能性はあるでしょう。


なお不動産投資の金利は、金融機関や融資申込者の個人属性、収益物件の収益性・資産価値によって変わります。同系列の金融機関であっても、金利に大きな差がある場合もあります。

また金融機関によって融資審査の難易度も異なります。


一般的に金利の低いメガバンクは融資審査の難易度がもっとも高く、一定額以上の年収がなければ融資を受けられないのもめずらしくありません。


一方、ノンバンクの金利は高めですが、ほかの金融機関に比べて融資審査は緩いのが特徴です。そのため他行で融資を断られてもノンバンクなら融資を受けられる可能性も十分あります。


変動金利が上昇した場合の影響と対策方法


パーセント ブロック 上向き矢印

変動金利型の基準となる短期金利については、日銀が金融緩和を継続すると表明していることから、しばらく横ばいがつづくと予想されます。しかし、日銀の動向次第では将来的には変動金利も上昇することは十分考えられます。


ここでは金利が上昇するとどのようなことが起きるのか、また金利が上昇した場合の対策方法について解説します。


金利が上昇するとローン返済額が増える

変動金利は、固定金利よりも金利が低く設定されており、金利が低いときに借りれば支払う利息が少なくて済むのがメリットです。

特に不動産投資ローンを利用して借り入れをおこなう人の大半は変動金利を選んでいます。

しかし変動金利の場合、ローン金利が上昇すると返済額が増えてしまうのがデメリットです。


不動産は高額なため、金利が1%序章上昇しただけで、返済が困難になるおそれもあるため注意が必要です。

「5年ルール」や「1.25倍ルール(125%ルール)」などの規則はありますが、金利上昇が長期期間つづくと、やがて固定金利よりも金利が高くなることも十分考えられるでしょう。


「5年ルール」「1.25倍ルール(125%ルール)」とは

変動金利は、半年ごとに利率が見直されるのが特徴です。金融機関によって異なる場合もありますが、多くは4月と10月に見直しがおこなわれ、翌々月から適用されます。


5年ルールとは、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらないというルールです。

さらに、5年経過後の6年目からの毎月の返済額は、今までの返済額に対して125%の金額までしか上げることができないというルールも定められています。


これらのルールにより、金利見直しで金利が上昇しても、翌月からいきなり金利が数倍になるといった事態を避けることができるのです。

ただし、5年ルール、125%ルールの適用がない銀行もあります。ローンを申し込む際に確認しましょう。


金利上昇の対策方法

ここでは金利上昇のリスクをおさえるための対策方法を解説します。


頭金を多めに入れて総借入額を減らす

ローン借入時に頭金を多く入れることで、借入額を減らしましょう。借入額が少なくなれば、それだけ金利上昇の影響を受けにくくなります。

ただし傷病などで働けなくなった時に備えて、しばらくのあいだ生活できるだけの預貯金を手元に残しておくことをおすすめします。


繰り上げ返済資金を貯めておく

金利が上昇し、月々のローン返済がキャッシュフローを圧迫する場合は、繰り上げ返済を検討しましょう。


繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」、2種類があります。

期間短縮型:月々のローン返済額はそのままで、ローンの期間を短くする

返済額軽減型:ローンの返済期間は変えずに月々のローン返済額を減らす


どちらの方法でも当初の返済計画よりも早期に元金を減らすことができるため、金利が上昇する際に利息の増加をおさえることができます。


ただし、繰り上げ返済をおこなうためには、ある程度の資金を貯めておく必要があります。変動金利を選択する際は、念のために手元資金を貯めておきましょう。


繰り上げ返済について詳しくはこちら!>>不動産投資の繰り上げ返済の種類を紹介!メリット・デメリットを解説


ローンの借り換えをおこなう

金利上昇のタイミングで、ローンの借り換えを検討するのもひとつの手段です。ローンを借り換えることで、より低い金利でローンを組み直すなど有利な条件で借り入れし直すことができればローン返済の負担軽減につながります。


ただし、物件の収益性や資産価値によっては、借り換えができない可能性もあるため注意しましょう。

デメリットは、一括返済手数料などの費用や手間がかかることです。また、金利が上昇している局面では、たとえ借り換えをしても思うように金利が下がらない場合もあるでしょう。


ローンの借り換えも金利上昇リスク対策方法のひとつです。ローンの借り換えで金利が下がれば、キャッシュフローに余裕ができる可能性が高くなります。



ローンの借り換えについて詳しくはこちら!>>不動産投資ローン借り換えに適したタイミングやメリット・デメリット


固定金利に切り替える

金利上昇が予想される時点で固定金利に切り替えることで金利上昇リスクを回避できます。ただし、固定金利は変動金利と比べて金利が高くなるため、固定金利への切り替えやそのタイミングは慎重に検討する必要があるでしょう。


特に金利上昇が予想される場合、変動金利よりも先に固定金利のほうが高く設定されてしまうこともあります。

その状態で固定金利に切り替えてしまうと、結果としてより多く利息を支払ってしまう結果になるため注意が必要です。


不動産を売却する

ローン返済が負担になった場合の最終手段として考えられるのは、不動産投資物件を売却し、売却代金でローンを完済するのもひとつの方法です。


金利が上昇しているときは、インフレによる物価上昇に伴い物件価格も上昇している可能性が高いため、金利対策にかかわらず、投資用物件の売却も視野に入れておくと対策の選択肢が広がります。


ただし、売却価格が残債よりも少ない場合は自己資金を持ち出す必要があります。また、不動産は現金化するまでに時間がかかることが多いです。仲介業者に依頼した場合、買手が見つかり売買契約が結ばれるまでに3ヶ月~1年程度かかる場合もあります。


ローン残債がある物件の売却ついてはこちら!>>不動産投資でローン残債がある物件も売却可能!注意点や流れを解説


物件の売却時に発生する税金についてはこちら!>>不動産投資で物件売却時に発生する税金の種類を解説!計算方法も


まとめ

2023年8月時点の住宅ローンの金利は、変動金利の相場で0.3%~1.0%、固定金利の相場は1%~2%程度と、大きな変化はみられませんでした。しかし、一部の金融機関では固定金利の引き上げをおこなっています。そのため、今後は変動金利の上昇も十分ありうることと考えられます。


これから住宅ローンや不動産投資ローンを利用しようと考えている人は、今後の市況の変化や住宅市場の動向に注意し、変動金利が上昇した際に備えたうえで、慎重に検討することをおすすめします。

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