不動産投資ローンの変動金利で金利上昇した場合の対策方法を解説!
2023/04/24

不動産投資ローンの変動金利で金利上昇した場合の対策方法を解説!

不動産投資ローンには「変動金利」と「固定金利」がある変動金利とは固定金利とは固定金利のメリットとデメリット不動産投資ローンで変動金利を低くおさえる方法頭金を多めに入れて自己資金割合を上げる個人属性が高い状態で審査を受ける取引実績のある金融機関に融資を打診する不動産会社の提携金融機関を利用する金利上昇リスクの対策方法5年ルール、1.25倍ルール(125%ルール)に対応してる金融機関を選ぶ繰り上げ返済をおこなうローンの借り換えをおこなう不動産投資物件を売却する不動産投資で金利が1%上昇した場合の返済額を比較まとめ

不動産投資ローンを利用するにあたって、変動金利と固定金利、どちらを選べばよいのでしょうか?どちらにもメリットとデメリットがありますが、変動金利を選ぶ場合は、金利上昇リスク対策を考えておくことをおすすめします。

今回は不動産投資の金利上昇リスク対策の方法について解説します。また変動金利と固定金利、それぞれの特徴とメリット・デメリットについても紹介しているので、これから不動産投資ローンを利用する予定の人は、ぜひ参考にしてください。


不動産投資ローンには「変動金利」と「固定金利」がある

不動産投資ローンで借入れをおこなう際、固定金利と変動金利のどちらかを選択することになります。固定金利にも変動金利にも、それぞれメリットとデメリットがあるため、どちらがよいとは一概には言えません。


ここでは変動金利と固定金利、それぞれの特徴とメリットとデメリットを解説するので、どちらが自分に適しているのか選ぶ際の参考にしてください。


変動金利とは

変動金利は、金融機関が融資する際に設定する金利タイプを言い、経済状況などに応じて一定期間ごとに利率が見直され、金利が変動するのが特徴です。

見直しにより金利の利率が変更された場合は利息額も変わるため、ローンの総返済額も変動します。


ただ変動金利には、5年間は毎月の返済額が変わらない「5年ルール」、金利が上昇した場合も前回の返済金額の125%までしか金利が上がらない「1.25倍ルール(125%ルール)」があります。

そのため、金利の見直しがおこなわれた翌月から、いきなり金利が数倍になるような状況はほぼあり得ません。


変動金利のメリットとデメリット

変動金利のメリットは、固定金利よりも金利が低く設定されることがあげられます。金利が低いときに借りれば、支払う利息が少なくて済むことから、不動産投資ローンを利用して借り入れをおこなう人の大半が変動金利を選んでいます。


とくに借入れ期間の短いローンの場合、安い金利のまま完済できるため、結果的に全体の返済額が少なくて済むのです。


一方で金利が固定されていないため、金利が上昇した場合は返済額が上がるリスクがあります。前述したように「5年ルール」や「1.25倍ルール(125%ルール)」などの規則はありますが、金利上昇が長期期間つづくと、やがて固定金利よりも金利が高くなることも十分考えられるのです。


固定金利とは

金利が変動せず、融資期間中は同額の金利を払いつづけるのが固定金利です。この固定金利には「全期間固定金利」と「当初固定金利」の2種類があります。


ローンの契約をしてから返済が終了するまでの間、金利が変動しないのが「全期間固定金利」です。それに対して「当初固定金利」は設定した期間中の金利は変わりませんが、その期間を経過した時点で変動金利と固定金利を選び直せるシステムとなっています


固定金利のメリットとデメリット

固定金利のメリットは、総返済額を固定することができ、月々のローン返済額も一定なので管理しやすく、収支計画が立てやすい点があげられます。

また返済期間中に金利が上昇しても固定金利を選んでいる場合は影響を受けないため、毎月の返済負担が増えることはありません。


デメリットとしては、変動金利よりも金利が高く設定されていることです。そのため低金利の状況がつづくと変動金利よりも総返済額が多くなってしまいます。

また大きく金利が下がった場合でも固定金利はそのままなので、高い金利で返済をつづけなければならないのもデメリットです。


不動産投資ローンで変動金利を低くおさえる方法

変動金利  家 電卓

不動産投資ローンで変動金利を選んだ場合、できるだけ低い金利で融資を受けられれば返済負担が軽くなります。ここでは、低い金利で融資を受けるためのポイントを紹介します。


頭金を多めに入れて自己資金割合を上げる

ローン借入時に自己資金(頭金)を多く入れることで借入額が減るため、融資審査に有利にはたらき、結果的に低い金利で融資を受けられる可能性が高くなります。

預貯金に余裕がある人は、物件価格に対して自己資金を多く投入することも検討してみましょう。


ただし不動産投資では、急に資金が必要になるケースもあるため、手元にある程度の資金を残しておくことをおすすめします。好条件で融資を受けたいからといって、手持ち資金の大部分を頭金にしてしまっては、いざというときに資金が足りなくなってしまう可能性があるため注意が必要です。


個人属性が高い状態で審査を受ける

不動産投資ローンの審査では、「貸したお金をきちんと返してくれる人かどうか」の判断基準として「個人属性」が評価されます。

個人属性とは、年齢・勤務先・勤続年数・年収・保有資産などを指し、「高属性」の人ほど、融資審査に通りやすく、また好条件で融資を受けられます。


一般的に「高属性」とみなされるのは、次のようなケースに該当する人です。


属性について詳しくはこちら!>>不動産投資に向いている人の特徴を性格面と属性面から徹底解説!


融資審査について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人


安定した勤務先や職業で安定収入がある

上場企業や有名企業などの正社員、公務員、医師や弁護士などの国家資格の専門職に就いている人で、毎月安定した収入のある人が該当します。


どんなに収入が高くても歩合給などで収入にばらつきがある場合や、上場企業に勤務していても勤続年数が3年未満の人は収入が安定していないとみなされ、融資審査に不利になる可能性があります。


よって、転職や独立を計画している場合は、会社員のうちに融資審査を受けておくことをおすすめします。


預貯金や有価証券などの保有資産が多い人

金融機関は貸し倒れを嫌います。不動産投資ではローンの返済原資は家賃収入であるため、収支計画通りの家賃収入が得られなくなった場合、手持ちの資金からローン返済をおこなう必要も出てきます。


そのためローンの返済にあてられる資産を持っている人は高属性とみなされ、審査に有利になります。


取引実績のある金融機関に融資を打診する

取引実績がある金融機関があれば、まずその金融機関に融資の打診をおこないましょう。これまでの取引実績が信頼につながるので金利交渉もスムーズに運ぶはずです。


また金融機関としても取引のある顧客が、ほかの金融機関で融資を受けることは避けたいという一面があるため、融資条件がよくなったり、審査の時間が短くなったり、低金利で融資を受けられる可能性が高くなります。


不動産会社の提携金融機関を利用する

物件を取得する不動産会社に提携する金融機関があれば、低金利で融資を受けられる可能性があります。利用する不動産会社に提携金融機関があるかどうか、低金利で融資を受けられる可能性の有無などを確認してみましょう。


金利上昇リスクの対策方法

超低金利時代がつづくなか、2022年12月、日本銀行は金融緩和政策を修正し、長期金利の変動許容幅を0.25%程度から0.5%に拡大すると発表しました。


これによって、不動産投資ローンの金利上昇が懸念されていますが、実際に金利が上昇した場合、リスク対策としてどのような方法があるのでしょうか。

ここでは、金利上昇リスクの対策方法について解説します。


5年ルール、1.25倍ルール(125%ルール)に対応してる金融機関を選ぶ

前述したように、金利が上昇しても5年ルール、1.25倍ルール(125%ルール)に適用している場合、5年間は返済額が変わりません。

また1.25倍ルール(125%ルール)により、5年ごとの見直しで返済額が上昇する場合でも前回の返済額の1.25倍(125%)までしか返済額は上昇しません。


たとえば年間の返済額が10万円だった場合、金利がいくら上がっても、年間の返済額は12.5万円より増加しないのです。


この5年ルールと1.25倍ルール(125%ルール)は多くの金融機関で採用されていますが、なかには対応していない金融機関もあります。

金利上昇リスク対策として、5年ルールと1.25倍ルール(125%ルール)に対応している金融機関から融資を受けるとよいでしょう。


繰り上げ返済をおこなう

もしも金利が上昇しキャッシュフローの悪化が懸念される場合は、繰り上げ返済をおこなうことでリスク対策になります。


繰り上げ返済には次の2種類があります。

  • 期間短縮型:月々のローン返済額はそのままで、ローンの期間を短くする
  • 返済額軽減型:ローンの返済期間は変えずに月々のローン返済額を減らす

どちらの方法でも、当初の返済計画よりも早期に元金が減るため、金利が上昇しても利息額の増加をおさえることができ、結果的に金利上昇リスクの対策になります。


なお、繰り上げ返済は資金がないとおこなえません。手元に資金を残しておくことで、金利上昇リスクに限らず、さまざまなリスクに対処することが可能です。


たとえば空室によって家賃収入が減少した場合や、設備の故障で予期せず修繕費が発生したなど、一時的に収支が悪化した際にも手元に資金があれば不足分を補填することができるでしょう。


またリスク対策だけでなく、収益物件を増やす際も、手元に資金があれば安心です。


繰り上げ返済について詳しくはこちら!>>不動産投資の繰り上げ返済の種類を紹介!メリット・デメリットを解説


ローンの借り換えをおこなう

より低い金利の金融機関にローンの借り換えをおこなうのも、金利上昇リスク対策方法のひとつです。ローンを借り換えたことで金利が下がれば、キャッシュフローに余裕ができる可能性が高くなります。


ただし、借り換えをおこなうことで、借り換え前の金融機関からの印象が悪くなり、今後の融資が望めなくなってしまうケースもあるため注意が必要です。とくに借り換え前の金融機関と今後も取引をつづけたいと考えている場合は、安易に他行への借り換えはおこなわないほうがよいでしょう。


ローンの借り換えについて詳しくはこちら!>>不動産投資ローン借り換えに適したタイミングやメリット・デメリット

不動産投資物件を売却する

ローンを返済中の不動産投資物件を売却し、売却代金でローンを完済するのもひとつの方法です。金利が上昇しているときは、インフレによる物価上昇に伴い物件価格も上昇している可能性が高いため、金利対策にかかわらず、投資用物件の売却も視野に入れておくと対策の選択肢が広がります。


ローン残債がある物件の売却ついてはこちら!>>不動産投資でローン残債がある物件も売却可能!注意点や流れを解説


物件の売却時に発生する税金についてはこちら!>>不動産投資で物件売却時に発生する税金の種類を解説!計算方法も


不動産投資で金利が1%上昇した場合の返済額を比較

グラフ 電卓 ビジネスマン

不動産投資で変動金利を選んだあとに、金利が1%上昇したら、総返済額や月々のローン返済額はどう変わるのかシミュレーションしてみました。


【返済シミュレーション】

  • 借入れ額:3,000万円
  • 借入れ期間:30年

〇金利5%の場合の返済額

  • 毎月の返済額:103,536 円
  • 総返済額  :37,272,960円
  • 金利総額  :7,272,960円

〇金利5%の場合の返済額

  • 毎月の返済額:118,536 円
  • 総返済額  :42,672,960円
  • 金利総額  :12,672,960円

上記は、借入れ額3,000万円、借入期間30年、1%違う金利で計算した返済シミュレーションの結果です。毎月の返済額の差は約15,000円、金利総額の差はなんと540万円になりました。


金利が1%違うだけでこれだけ差が出てしまうのですから、さらに金利が上昇する可能性を考えると金利上昇リスクへの備えが欠かせないのは間違いないでしょう。


まとめ

不動産投資ローンで変動金利を選んだ場合、たった1%の金利の違いで総返済額は何百万円も違うことがわかりました。不動産投資家にとって金利上昇リスクは見過ごせない問題であることは間違いありません。


現実にどのくらい金利が上昇するのか未知数ではありますが、金利上昇を想定したうえでしっかりと対策をおこなうことで、ある程度のリスクをおさえることにつながるでしょう。

一覧に戻る