不動産投資で赤字になる典型的なケースと失敗を防ぐ対策
2025/09/03

不動産投資で赤字になる典型的なケースと失敗を防ぐ対策

不動産投資が赤字になる典型的なケース赤字を防ぐための対策まとめ

不動産投資は安定した不動産所得が期待できる資産運用の手法として、多くの人から注目されています。しかし、実際には収支が赤字となり、思い描いた成果を得られないケースも少なくありません。不動産投資の失敗には一定の共通点があり、事前に理解しておくことでリスクを回避できます。本記事では、赤字になる典型的なパターンと、その対策方法について詳しく解説します。



不動産投資が赤字になる典型的なケース

1. 空室リスクを過小評価している




不動産投資における代表的な失敗要因は、入居率の低下です。物件選びの際に「立地が良いから必ず入居者が付く」と楽観視してしまうと、予想外に空室が長期化することがあります。

例:
家賃6万円のワンルームを購入し、年間72万円の賃料収入を想定していたが、入居率が80%に落ち込んだ場合、実際の収入は約57万円となり、ローン返済や管理費を賄えなくなることがあります。

2. 想定外の修繕費・管理費の増加


築年数が経過した物件では、大規模修繕や設備更新が必要となります。購入時に修繕費を十分に見積もっていない場合、想定外の支出が赤字を招く原因になります。


築20年のアパートで外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕を行う場合、数百万円規模の費用が発生することもあります。

3. 高金利ローンの利用


物件の収益力を十分に検討せず、高金利のローンを組んでしまうと、毎月の返済額が賃料収入を超えるリスクがあります。特に初心者は「審査に通ったから大丈夫」と考えてしまいがちですが、収支シミュレーションが重要です。


同じ3000万円のローンでも、金利1.5%と3.0%では毎月の返済額に数万円の差が生じます。

4. 相場を無視した家賃設定

周辺の家賃相場を調査せずに高めに設定すると入居者が集まらず、逆に安すぎると収益性が下がります。家賃は収益の根幹であり、精緻な相場調査が必要です。


周辺相場が6万円のエリアで7万円に設定すると空室率が上がり、結局収益が減少するなど、リスクを考慮しましょう。

5. 節税効果を過大評価する

減価償却や経費計上による節税効果に過度に依存してしまうと、本業の利益を食いつぶし、キャッシュフローが赤字になる場合があります。節税は副次的なメリットであり、主目的は安定収益にあると認識すべきです。

赤字を防ぐための対策

1. 精度の高い収支シミュレーションを行う


購入前に「満室想定収入」だけでなく、空室率や修繕費を織り込んだシミュレーションを実施することが重要です。複数パターンの収支予測を立てるとリスク把握につながります。

2. エリア・物件選びを慎重に


需要の高い立地を選ぶことが空室リスク低減の基本です。また、築浅で修繕リスクが低い物件、管理体制が整った物件を優先することで安定性が増します。

3. 長期的な修繕計画を立てる

物件のライフサイクルに応じた修繕計画を事前に立て、積立金を確保しておくことが望ましいです。これにより大規模修繕時の急な出費にも対応できます。

4. 金利変動への備え

変動金利を利用する場合は、将来の金利上昇リスクを考慮する必要があります。金利が上昇しても返済が可能な余裕を残すか、固定金利ローンを選択するのも一案です。

5. 専門家の活用



不動産会社、税理士、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、多角的な視点で投資判断を行うことが、失敗防止につながります。

まとめ

不動産投資は安定した収益が見込める一方で、誤った判断をすると赤字に陥るリスクがあります。典型的な失敗要因は、空室リスク、修繕費の過小評価、高金利ローン、相場無視の家賃設定、節税過信などです。これらを防ぐためには、綿密な収支シミュレーション、需要の高いエリア選定、修繕計画、金利リスク管理、専門家の活用が欠かせません。

「赤字を避けるための準備をどこまで徹底できるか」が、不動産投資の成否を分けます。リスクを正しく理解し、堅実な投資を進めていくことが、長期的な安定収益につながるのです。

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岩崎 雅

2020年7月1日〜
当サイトのライターとしてコラム作成業務を開始
プロフィール
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。不動産以外のジャンルも含めると500本以上の執筆経験あり。