不動産投資の手付金相場は?これだけは注意したい3つのポイント
2023/11/03

不動産投資の手付金相場は?これだけは注意したい3つのポイント

不動産投資で手付金を支払う理由は?契約手付金には3つの種類がある契約解除する場合は「手付解除期日」に要注意!不動産投資の手付金の相場は?支払いのタイミングは?手付金を支払うタイミング不動産の売買契約解除時の手付金の取り扱いについて支払った手付金は返還される?違約金が発生する条件は?不動産投資で手付金を支払う際の注意点3つ1:銀行振り込み時の注意点2:手付解除期日や違約金を決めておく3:ローン特約について定めておくまとめ

これから不動産投資をはじめる人のなかには「手付金ってどうして必要?」「いくら必要?」と疑問に思う人も多いでしょう。

不動産投資の手付金は、売買契約成立の証明として買主が売主に支払うお金のことです。また売主都合・買主都合で契約を解除する際には欠かせない大事な役割を持っています。


今回は不動産投資で物件を購入する際に必要となる「手付金」について、なぜ支払う必要があるのか、どのような役割を持つのか、また手付金相場について詳しく解説します。


不動産投資で手付金を支払う理由は?

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不動産投資の手付金は、物件の売買契約成立の証明や契約解除になった際の違約金とするために買主から売主に支払います。

万一、買主の都合で契約解除する場合は、支払った手付金を放棄しなければなりません。

逆に売主が契約解除する場合は、受け取った手付金の倍額を買主に返還する必要があります。


不動産投資の手付金と混同されやすい支出について詳しはこちら!>>不動産投資で手付金を支払う目的を解説!支払うタイミングや相場は?


契約手付金には3つの種類がある

契約時に支払う手付金には「解約手付」「証約手付」「違約手付」の3種類があります。なお不動産売買における手付金は「解約手付」を用いるのが一般的です。

それぞれの特徴をみてみましょう。


解約手付

売買契約を締結した後でも、解約理由にかかわらず契約が解除できるように支払う手付です。買主は手付金を放棄し、売主は手付の2倍の額を返還することで損害賠償を負うことなく契約解除が可能になります。


証約手付

売買契約などの成立を保証するために交付される手付です。証約手付を支払うことで買主は購入意思を示し、また契約が遂行されなかった場合は違約金としても使用されます。


違約手付

違約手付は売買契約になんらかの違約事項が発生した場合、損害賠償にあてられるお金を指します。

解約手付と似ていますが、解約手付では解約理由の関係なく契約解除に対して手付金を失うのに対し、違約手付は契約違反の違約金・罰金として手付金が没収されます。


契約解除する場合は「手付解除期日」に要注意!

手付金の授受後に売買契約を解除することは、売主側の都合でも買主側の都合でも可能です。ただし、いつでも契約解除できるわけではないため注意が必要です。


手付金の授受後に契約解除ができるのは「相手が契約の履行に着手するまで」と民法で定められています。ただし「履行に着手するまで」は明確でないため、一般的には「手付解除期日」を特約として定められていることが多いです。


手付解除したい場合は、原則その手付解除期日までに申し出ることで売主も買主も手付解除が可能ですが、定められた手付解除期日を過ぎてからの契約解約は違約金が発生する可能性もあるため注意が必要です。

なお違約金の金額についてはあらかじめ売買契約書で取り決めておくのが一般的です。


不動産投資の手付金の相場は?支払いのタイミングは?

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不動産売買で支払う一般的な手付金相場は物件価格の5%~10%程度です。たとえば売買価格が3,000万円の物件の手付金は150万円~300万円程度必要になります。

なお不動産会社が売主の場合は売買価格の20%が上限と定められています。


手付金をいくらにするかは売主と買主のあいだで交渉が可能です。提示された額が相場よりも高いと感じたら減額交渉をしてみるのもよいでしょう。


ただし手付金が安いと契約解除されやすくなってしまいますし、高すぎると契約解除ができなくなってしまうため、手付金額の取り決めは慎重に設定することをおすすめします。


また本来の手付金は、売買代金の支払いの際にいったん買主へ返還されますが、契約書に「手付金は、残代金支払いのときに売買代金の一部として充当する」と記載するのが一般的となっています。


売買代金の一部となった場合は、引き渡し後の精算時に売買代金から手付金の金額を引いた残金を買主が支払うことになるため、事前に確認しておきましょう。


手付金を支払うタイミング

不動産投資で物件を購入する際に手付金を支払うタイミングは、基本的に不動産売買契約締結時です。下記の「不動産投資始め方」の流れに沿ってみてみましょう。


【不動産投資始め方の流れ】


1:不動産投資用物件を決め、金融機関へ融資の事前審査を申し込む

購入したい不動産投資用物件が決まったら、金融機関へ融資の事前審査を申し込みます。

融資を受ける金融機関は、自分自身で見つけてもよいですが、不動産会社から提携している金融機関を紹介してもらうと審査手続きなどがスムーズです。


なお融資審査基準は金融機関によってさまざまです。できるだけ融資を受けられる可能性を上げるためにも、複数の金融機関に融資相談することをおすすめします。


またこのタイミングで売主に物件の買付申し込みをおこないましょう。


不動産投資で融資を受けられる年収について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資で年収の最低ラインを解説!500万円以下でも可能?


不動産投資の融資審査について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人


2:不動産売買契約を締結し、手付金を支払う

金融機関の融資事前審査に通過したら、不動産売買契約を締結し、同時に手付金を支払います。また金融機関に融資の本審査を申し込みましょう。


なお事前審査に通過していても本審査で落ちる可能性もあります。本審査に落ちてしまった場合に契約が解除できる「ローン特約」を契約書に盛り込んでおくとよいでしょう。

ローン特約について詳しくは、後述の『不動産投資で手付金を支払う際の注意点』をご覧ください。


3:決済、物件の引き渡し

融資の本審査に通過したら売買代金の残代金を売主に支払い、物件の引き渡し、不動産の所有権移転登記の手続きをします。


不動産の売買契約解除時の手付金の取り扱いについて

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前述したように、不動産の売買契約時の手付金の授受は「解約手付」のケースが多いです。

ここでは、解約手付の支払い後に不動産物件の売買契約が解除になった場合の手付金の取り扱いについて解説します。


支払った手付金は返還される?

手付解除期日内に売主の都合で売買契約が解除になった場合は、支払った手付金の2倍の額が買主に返還されます。

逆に買主の都合で契約を解除した場合は、手付金は没収されてしまいます。


たとえば、売買価格2,000万円の物件で手付金として、買主が売主に200万円支払った場合、売主の都合で契約を解除すると200万円×2=400万円を買主に返還しなくてはなりません。


同じように買主の都合で売買契約を解除した場合、支払った200万円はそのまま買主の者となります。


ただし、買主がローン審査に通らなかった場合で契約書に「ローン特約」が盛り込まれている場合は買主都合の契約解除とはみなされず、手付金は全額返還されます。


違約金が発生する条件は?

前述のように手付解除期日内であれば、売主都合・買主都合の契約解除であっても手付金の没収・または手付金の2倍額の変換がおこなわれるため違約金は発生しません。


ただし、手付解除期日が過ぎてから売買契約を解除した場合は、取り決めた額の違約金が発生する可能性があるため注意が必要です。


たとえば買主の都合で手付解除期日以降に契約解除する場合は、買主は手付金を放棄するとともに違約金との差額を支払います。手付金が200万円で違約金が400万円だった場合、買主は手付金200万円を放棄するとともに違約金と手付金の差額200万円を売主に支払わなくてはなりません。


不動産は価格が高額なため、手付金も高額になりがちです。そのため締結した契約を破棄することで大きな損失につながります。物件探しは慎重におこない、十分吟味したうえで売買契約をおこないましょう。


不動産投資で手付金を支払う際の注意点3つ

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ここでは不動産売買で手付金を支払う際に注意したいポイントを3つ紹介します。


1:銀行振り込み時の注意点

前述したように、不動産投資で物件を購入する際に手付金を支払うタイミングは不動産売買契約締結時ですが、その際は現金で支払うのが一般的です。


しかし不動産売買契約は売主と買主の双方が立ち会う必要があるため、金融機関の営業時間外の休日におこなわれることが多くみられます。その場合、売買契約をおこなう前日までに金融機関から指定の口座へ手付金を振り込んでおくことも可能です。


ただし売買契約を締結する前に手付金を支払ってしまうと、その後に売主である不動産会社が倒産してしまう可能性があるため注意が必要です。その場合、購入した物件が引き渡されなくなるばかりか手付金も返還されなくなるおそれがあります。


このようなリスクを避けるためにも、手付金を事前に振込む場合は、売買契約締結日の前日に振込むことをおすすめします。


2:手付解除期日や違約金を決めておく

手付金の金額や手付解除期日を決める際は、手付解除期日以降に契約解除した場合の違約金の支払いについても売主・買主の合意のうえ、契約書に記載しておきましょう。


万が一、手付解除期日以降の違約金をあいまいにしておくとトラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。

なお違約金の金額については「売買代金の20%」とするケースが一般的です。


3:ローン特約について定めておく

手付金の設定をする際には、ローン特約についても定めておきましょう。

不動産投資で物件を購入する場合、不動産投資ローンを利用するのが一般的です。しかし、

買主が融資審査に通るかどうかは事前には判断できません。


不動産売買契約締結後に金融機関の本審査に落ちてしまった場合、その不動産を購入することはほぼ不可能なため、契約解除せざるをえません。


そうなった場合でもローン特約をつけておけば、買主が支払った手付金は全額返還され、違約金も発生しません。ローン特約をつけていない場合、売買契約締結時に支払った手付金は返還されません。

手付金の全額契約を解除する場合には、買主が安心して契約をする無条件で解除できるローン特約をかならず盛り込んでおきましょう。


まとめ

不動産投資における手付金は、買主が売主に支払うお金です。手付金の額に決まりはありませんが、安すぎず高すぎず、手付金相場である物件売買価格の5%~10%を目安に売主と買主でよく話し合って決めるとよいでしょう。


なお契約書に記載された「手付解除期日」内であれば、買主は支払った手付金を放棄することで、売主は受け取った手付金の2倍額を買主に返還することで契約解除が可能です。手付解除期日を過ぎてから契約を解除した場合、違約金が発生する場合もあるため注意が必要です。


売買価格が高額な不動産物件は手付金も高額になります。不動産の売買においては契約の内容をしっかりと確認し、手付金を支払う際は手付金の役割を充分に理解することが重要です。

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