投機とは?投資の違いとそれぞれのメリット・デメリットを解説
2023/09/04

投機とは?投資の違いとそれぞれのメリット・デメリットを解説

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終身雇用の崩壊や少子高齢化による老後の資金不足がクローズアップされるなか、なんらかの手段で自己資金を増やそうと考えている人は多いのではないでしょうか。

資産を増やす手段としてよく耳にする「投資」と「投機」。どちらも「お金を増やす手段」ではありますが、投機とは短期間で利益を得る投資手法であるのに対して、投資は中長期にわたって少しずつお金を増やしていきます。


今回は投資と投機の違いについて、またそれぞれのメリットとデメリットについて解説します。


投資とは?投機とは?違いを解説

積まれたコイン 木 資産運用

「投資」と「投機」。似たような意味合いで使用されるケースもありますが、実は「目的」と「期間」が異なります。


投資は、中長期にわたって少しずつお金を増やしていきますが、投機は短期間で大きな利益を得ようとするものを指します。ここでは投資と投機について解説します。


投資とは

投資とは、投資対象の将来的な成長に期待して中長期的に出資することです。

投資のおもな利益は、資産を保有することで得られるインカムゲインと保有資産を売却することで得るキャピタルゲインです。

おもな投資には以下のような種類があります。


おもな投資の種類:投資信託

投資信託とは、複数の投資家から資金を募り、運用のプロ(ファンドマネージャー)が国内外の株式や債券、不動産に投資する金融商品です。それによって得た利益を投資した金額に応じて投資家に分配する仕組みです。


商品を選んだ後は自分で運用をおこなう必要がないため、本業に忙しくて投資情報をチェックする時間が取れない人におすすめの投資手法です。


おもな投資の種類:株式

株式とは、株式会社が事業をおこなうために必要な資金を集める手段として、出資者に対して発行する有価証券です。


出資者(株主)は将来性が期待できる企業の株式を保有し、リターンを狙います。保有株式の割合に応じた経営参加ができ、利益が出たときには保有株式数に応じて配当(インカムゲイン)がもらえます。加えて株主優待などの特典を得られるケースがあります。

また、企業が成長し株式の価値(株価)が上がったときには、所有する株式を売却して利益(キャピタルゲイン)を得ることができます。


株式投資の長期運用では、キャピタルゲインよりも株を保有することで継続的に得られる配当金や株主優待のほうが利益を実感しやすいのが特徴です。


おもな投資の種類:不動産

不動産投資とは、アパートやマンションなどの収益物件を購入して第三者に賃貸することで家賃収入を得る投資方法です。入居者の需要が見込める物件を購入できれば、長期にわたって安定した家賃収入を得られます。また将来的に売却してキャピタルゲイン(売却益)を得ることも可能です。


不動産投資をおこなうためには、不動産を購入する必要がありますが、購入資金の大部分を金融機関の融資で賄うのが一般的です。その際はまとまった自己資金(頭金)が求められるます。


加えて不動産投資には、空室によって家賃収入が減る空室リスクや、家賃を滞納されて収入が減少する家賃滞納リスクなど、不動産投資ならではのリスクがあります。

ただし不動産投資のリスクの多くは対策が取りやすいため、あらかじめリスクを把握し対策をおこなうことでリスクを最小におさえることも可能です。


不動産投資のリスクについて詳しくはこちら!>>不動産投資のおもな8つのリスクの対策方法をわかりやすく解説!


なお、不動産に特化した投資信託を「REIT(リート):Real Estate Investment Trust」といいます。日本では海外のREITと区別するために「J-REIT」と呼びます。

投資家から集めた資金で不動産投資の専門家がオフィスやマンションなどの不動産を購入し、購入した不動産を賃貸し、その賃料収入や売却益から費用を差し引いた残りの収益を投資家に分配します。


J-REITは少額から投資がおこなえ、その多くは金融商品取引所に上場しているため通常の株式と同じように市場において、いつでも売買が可能なのが特徴です。


J-REITについて詳しくはこちら!>>少額で不動産投資ができるREIT(リート)のメリット・デメリットを解説!


投機とは

投機とは、資産の価格変動を予測し、短期間の売買によって利益を狙う取引を指します。長くて数週間、早ければ翌日に利益を得られるケースもあります。

一方で、短期間で利益を出すために変動の大きい商品に投資するため、短期間で大きな損失を被ってしまう可能性があるため注意が必要です。

よって投機はハイリスク・ハイリターンなのが特徴といえるでしょう。


投機の代表格にはFXや仮想通貨の売買があげられます。また1日のうちに売買をおこなう株式のデイトレードなども投機といえるでしょう。


投機はギャンブル?

投機の説明を聞いて「ギャンブルのようだ」と感じる人も多いでしょう。たしかに短期間で高額収入を得られる可能性がある、運要素が強いという点で投機はギャンブルに似ていますが、目的や利益を得るための方法が違います。


ギャンブルが投機と大きく異なるのは、「主催者(運営者)」がいる点です。ギャンブルは主催者が利益を得るために、参加者に賭け金から手数料を差し引いた金額を勝敗に応じて支払います。主催者には手数料が残るため損をしないシステムになっているのが特徴です。


参加者は、大きく利益をあげる人もいれば大きく損をする人もいますが、あくまで「娯楽」として楽しむケースが多いです。


おもな投機の種類:FX

FX(Foreign Exchange)は外国為替証拠金取引といわれており、為替レートの変動を予想し、通貨を売買して利益を狙う方法です。

FXでは実際の資金の25倍の金額まで取引をすることができ、少ない資金でも大きな利益を狙うことができるのが特徴です。しかしその分、大きく損をする可能性もあり、追加で証拠金の入金が必要となる場合がありますし、最悪の場合は大きな借金を背負うおそれもあります。


ギャンブル性が高くハイリスク・ハイリターンなため、取り引きをおこなう際はリスクを十分理解したうえでおこないましょう。


おもな投機の種類:仮想通貨

仮想通貨の値動きを予測して売買することで利益を狙う方法です。仮想通貨でもっとも有名なのはビットコインですが、仮想通貨の種類は全部で21,000種類以上存在しています。そのうち国内取引所に上場している仮想通貨は30種類ほどです。


仮想通貨は24時間365日いつでもどこからでも取引が可能なため、銀行や取引所の営業時間などに関係なく取引ができます。また最小注文数量が数十円~数百円と安価で取引が開始できるため、自己資金が少ない人や高額取引をおこなうのが不安な人におすすめです。


一方で仮想通貨は値動きが激しく、運がよければ大きな利益を得ることができますが、反対に大きく損をする可能性も考えられるため注意が必要です。

加えてハッキングによる盗難リスクもあります。仮想通貨そのもののセキュリティは盤石ですが、取引所がハッキングされて暗号資産が流出するリスクがあるため、セキュリティ対策が整った取引所を選択することをおすすめします。


投資のメリットとデメリット


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投機に比べるとリスクは低めの投資ですが、もちろんデメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットも理解したうえで投資をおこないましょう。

ここでは投資のメリットとデメリットについて解説します。


投資のメリット

長期保有で複利効果が狙える

複利とは、運用で得た収益を当初の元本にプラスして再び投資することです。取引期間が長い投資は、これを繰り返すことで、利益が利益を生み、元金で得られる収益よりもさらに大きな収益を得られるのです。

一方、「投資元本」に対して利子がつくことを「単利」と呼びます。


たとえば、100万円を年利回り5%で5年運用した場合、単利で運用した場合、毎年5万円ずつ利子を受け取るため、元本100万円と利子25万円(利子5万円×5年)で合計は125万円になります。


これを複利で運用した場合、毎年の利子を元本に加えて運用します。利子に対しても利子がつくため、5年運用した場合の元本の合計は127.6万円となり、単利よりも2.6万円多くなります。


このように複利では毎回受け取る利子の金額は年々増えていくことになり、長期運用することで単利と複利では年々利益の差が開き、複利の効果が大きくなるのです。


リスクを軽減できる

長期にわたっておこなう投資は、短期投資に比べ収益の増減の幅が小さくなり安定した収益を得られます。なんらかの理由で一時的に収益が減っても、長期間保有していれば収益が安定していく可能性が高いです。


また分散投資することで投資先の一部の収益が下がっても、全体としての利益の平均化が可能です。

分散投資の方法は、株式・投資信託・不動産投資など複数の分野に投資先を振り分ける「資産の分散」、複数の銘柄に投資する「銘柄の分散」、投資のタイミングをずらす「時間の分散」などがあります。


売買コストをおさえやすい

投資や投機では、売買時に手数料などのコストが発生することがほとんどです。投機のように短期間で売買すると、そのたびに手数料が発生し、その分の利益が減ってしまいます。


その点、購入後長期間保有する投資は取引回数が少ない分、手数料をおさえられ、手元に残るお金も増えるのです。


少額でできるので初心者に向いている

投資対象となる金融商品にはさまざまな種類がありますが、少額から購入できる商品も多いです。そのため、手持ちの資金が少ない人や投資初心者でもリスクをおさえながら無理なくはじめることができます。


また積立投資もおこなえます。少額をコツコツと積み立てて、やがて大きな資産をつくることも可能なのです。


投資のデメリット

利益を上げるまでに時間がかかることがある

投資の多くは中長期かけて利益を得ます。そのため選んだ商品によっては利益を上げるまでには時間がかかるのが一般的です。また、想定以上の時間がかかる場合もあります。

このように投資は、すぐに利益が発生しづらく、投資先の長期的な成長を待つ手法であることを理解しておきましょう。


将来の予測を立てるのがむずかしい

投資先の長期的な予想を立てるのがむずかしいのが投資のデメリットです。現況は順調でも、将来的には思ったほど利益が出なかったり、利益が大きく下落したりする可能性があるので注意が必要です。


特に株式投資の場合、企業が倒産してしまうと株の価値がゼロになってしまい、損失だけが残ってしまいます。倒産までいかなくても業績の悪化で元本割れする危険性があることを覚えておきましょう。投資信託においても、プロの運用であっても損失が発生する可能性はあるため注意が必要です。


投機のメリットとデメリット

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リスクは高いですが、短期間で大きな利益を得られる可能性がある投機には、以下のようなメリットとデメリットがあります。

投機のメリット

短期間で大きな利益を上げることができる

投機はリスクが高い代わりに、値動きが大きい資産に投資することで、短期間で利益を得られる可能性があるのが最大のメリットです。

短期投資のデイトレードでは、数分で利益を得られることもあります。FXや株式取引の信用取引を利用することで、元手資金の数倍の取引ができるため、短期間でも大きな利益が狙えるでしょう。


投資はリスクをおさえるために分散投資をおこなうのが一般的です。また利益を出すためには時間がかかります。安心して投資できる反面、その分だけ短期間で利益を得ることがむずかしくなってしまいます。


含み損を抱えずに済む

投機は一般的に、大きな損失を被ってしまうリスクが高い投資手法ですが、あらかじめ損切りのルールやタイミングを決めておくことで含み損を抱えずに済むのもメリットの1つです。


適切な損切りをおこなうことができれば、致命的なリスクは回避でき、大きな含み損を避けることにつながります。


投機のデメリット

取引の回数が多くなり、コストが大きくなることがある

投機で利益を出すためには、頻繁に売買をおこなう必要があります。そのため、取引回数分の手数料などのコストがかかるのがデメリットです。

取引が多いデイトレーダーの中には、1日に数十回から数百回の取引を繰り返す人もいます。取引回数が多くなれば、その分だけコストも大きくなるため注意が必要です。


コスト対策として、1日単位で定額プランを扱っていたり月額制で提供してくれたり、短期投資に合った証券会社で口座開設することをおすすめします。


大きく元本割れするリスクがある

短期間で大きな利益を得られる可能性を持つ投機ですが、その一方で大きな損失を被ってしまうことも考えられます。特にFXなど手元資金以上の取引ができる金融商品では、大きな損失につながる可能性があるため注意が必要です。


「株価が上がる」と思って株式を購入しても、投資した直後に下落することもあります。特に投機初心者が利益を出しつづけるのは簡単ではないでしょう。


こまめな価格変動の確認が必要なので手間や時間がかかる

短期投資で結果を出すには、つねに相場をチェックして売買タイミングを判断する必要があるため時間や手間がかかります。目を離した瞬間に大きな損失が生じる可能性もあります。基本ポジションを保有している間は目を離さないほうがよいでしょう。


そのため本業がサラリーマンの人などは、就業時間中に相場をチェックしつづけるのはむずかしいでしょう。


ストレスがかかる

株価の変動を常にチェックしたり、値上がり値下がりを受けて一喜一憂したりすることを一日中つづけていると思った以上にストレスがかかります。特に短期間で大きくマイナスになるのを実際に経験すると大きな精神的負担につながるでしょう。


冷静に投機をおこなうためには自分でルールを作り、それを越えたときに損切りする心の強さも必要になります。


まとめ

中長期にわたって少しずつお金を増やしていく「投資」は、リスクは低めですが、まとまった資産形成には時間がかかります。対して「投機」は短期間で大きな利益を得ることが可能ですが、反面大きな損失を被る可能性もある、ハイリスク・ハイリターンの投資手法です。


どちらも魅力的なメリットを持ちますが、投資である以上リスクは存在しています。それぞれのメリットとデメリットを比較したうえで、自分にあった資産運用方法を選びましょう。

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