不動産投資を始める際の平均年収はいくら?年収別利用可能な金融機関
2023/09/01

不動産投資を始める際の平均年収はいくら?年収別利用可能な金融機関

不動産投資の平均年収は?【年収別】不動産投資で利用可能な金融機関年収700万円以上で利用可能な金融機関年収500万円~700万円で利用可能な金融機関年収500万円以下で利用可能な金融機関不動産投資の融資額限度額の目安は年収の7~10倍【年収別】融資上限額からみる購入可能物件不動産投資で融資を受ける際に必要となる諸費用について不動産投資で融資を受ける際に審査される個人属性年収勤務先と勤続年数金融資産借入状況家族構成属性を上げて融資審査を有利にするポイントまとめ

不動産投資を検討中の人のなかには、「自分の年収で始めることは可能だろうか?」「平均年収がどのくらいあればよいか知りたい」と考えている人も多いでしょう。

不動産投資は金融機関から融資を受けて始めるのが一般的ですが、融資審査を通過するためには、ある程度の年収は必要です。


そこで今回は、不動産投資を始める際の平均年収や、利用可能な金融機関の種類を年収別に紹介します。また融資審査される個人属性について、審査ポイントや属性の上げかたを解説します。


不動産投資の平均年収は?

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オンライン不動産投資ローンサービス「モゲチェック不動産投資」を提供する株式会社MFSの『MFS公式調査レポート』によると、不動産投資家の平均年収は1,064万円。最多年収ゾーンは700万円台となっています。

これが、一般的に不動産投資をおこなうサラリーマンが金融機関から融資を受けられる年収ラインは700万円と言われる理由のひとつと考えられます。


【年収別】不動産投資で利用可能な金融機関

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先に述べたように、サラリーマンが不動産投資をはじめるにあたって金融機関から融資を受けられる年収ラインは700万円です。

しかし、不動産投資で融資を受けるには年収700万円が必要かというとそうではありません。


実際には年収500万円以下でも融資可能な金融機関は存在します。とはいえ、やはり年収が高いほうが融資を受けられる確率は高くなります。

年収によって金融機関が融資をおこなう割合は、以下の通りです。


【年収別 融資可能な金融機関の割合】

  • 年収1,000万円以上:80%以上
  • 年収700万円以上 :50%以上
  • 年収500万円   :30%以上

では年収によって利用可能な金融機関にはどのような種類があるのでしょうか。


年収700万円以上で利用可能な金融機関

年収700万円以上であれば、国内のほとんどの金融機関で融資を受けられる可能性があります。特に「融資最難関」である都市銀行から融資を受けられる可能性が見えてきます。

都市銀行とは、「みずほ銀行」や「三菱UFJ銀行」、「三井住友銀行」など、日本全国や海外など広いエリアで展開している銀行です。メガバンクとも呼ばれることもあります。


都市銀行の不動産投資ローンの金利相場は1%~2%台となり、ほかの金融機関に比べて低金利なのが特徴です。全国に支店があるので、どんなエリアでも利用しやすく、融資期間も長いのもメリットです。


ただし審査基準は非常に厳しいです。都市銀行によっては融資可能条件を年収1,000万円以上としているケースもありますし、年収だけでなく、ある程度の自己資金額も求められることも少なくありません。

そのため金融機関のなかでももっともハードルが高いと言われています。


年収500万円~700万円で利用可能な金融機関

年収500万円~700万円で利用できる金融機関には、地方銀行や信用金庫・信用組合などが候補にあげられます。

地方銀行は、本店のある都道府県内での営業をおもにおこないます。「千葉銀行」や「静岡銀行」、「横浜銀行」、「名古屋銀行」など地域名がつけられるケースが多いです。

地方銀行の金利相場は年1.5~4.5%程度です。


地方銀行よりも狭い地域を対象に営業をおこなうのが、信用金庫・信用組合です。「〇〇信用金庫」や「◇◇信用組合」という名称であるためわかりやすいでしょう。

信用金庫・信用組合は、営業エリア内の居住者および物件を対象に融資をおこないます。金利は年2%~3%程度が目安です。


なお、融資期間、融資限度額、金利については、地方銀行、信用金庫・信用組合によって大きく異なります。まずは、融資を受けたい物件の所在地や居住地を営業エリアにしている地方銀行や信用金庫・信用組合をピックアップしてみるとよいでしょう。


また年収500万円~700万円の場合、後述する「日本政策金融公庫」の利用もできますが、長期融資や高額の融資を受けたい場合は地方銀行、信用金庫・信用組合などのほうがおすすめです。


年収500万円以下で利用可能な金融機関

年収500万円以下で利用可能な金融機関は、「日本政策金融公庫」や「ノンバンク系金融機関」が候補になります。


日本政策金融公庫

日本政策金融公庫(日本公庫とも)は日本政府が100%出資した金融機関です。利益を追求せず、民間金融機関から融資を受けにくい中小企業や個人事業者、低年収層、若年層・女性・シニア層などへの融資を積極的におこないます。

そのため年収に関係なく、不動産貸付業として「事業性」が認められれば融資を受けられる可能性があります。


また基準利率は1.08%~2.35%と、民間金融機関よりも低いのがメリットです。ただし、借入期間は最長で20年、融資限度額も上限で4,800万円と民間金融機関の融資よりも短期間であり、上限額も低いため注意が必要です。


参考:日本政策金融公庫


日本政策金融公庫について詳しくはこちら!>>日本政策金融公庫で不動産投資の融資を受ける方法とは?


ノンバンク系金融機関

消費者金融や信販会社、クレジットカード会社などの会社が業務をおこなっている銀行以外の金融機関を「ノンバンク系金融機関」と呼びます。「アイフル」や「アコム」、「セゾンファンデックス」などがノンバンク系金融機関に該当します。

一般的な銀行とノンバンク系金融機関の最大の違いは預金業務の有無です。ノンバンクは預金業務をおこなっておらず、貸付のみをおこないます。


ノンバンク系金融機関の特徴は、融資審査が比較的緩い点があげられます。そのため、ほかの金融機関から融資を断られても、ノンバンク系なら融資を受けられる可能性が高いです。また審査期間も一般的な銀行よりも短く、最短3日で終了する会社もあります。


金利は会社によって異なりますが、一般的な銀行に比べて金利は3%台~5%台と高めに設定されています。そのため、借入れをおこなう際は、毎月のキャッシュフローがきちんと確保できるかどうか念入りなシミュレーションは必須です。


不動産投資の融資額限度額の目安は年収の7~10倍

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不動産投資をはじめる人の多くは、不動産物件価格の一部を頭金として自己資金で支払い、残りは金融機関の不動産投資ローンを利用し融資を受けるのが一般的です。

その際、融資額限度額の目安は年収の7~10倍と言われています。


たとえば年収500万円の人が借入れできる限度額は、3,500万円~5,000万円が目安となります。


ただし金融機関によって融資上限額は異なります。加えて融資の可否は融資申込者の個人属性や融資対象物件の収益力や資産価値によって増減するのが一般的です。


また、先に述べたように金融機関によっては「年収1,000万円以下の人はお断り」というケースもあります。よって年収によって融資を検討してもらえる金融機関の種類は、ある程度決まると考えられるでしょう。


【年収別】融資上限額からみる購入可能物件

先に述べたように、融資額限度額の目安は年収の7~10倍となり、年収によって購入できる物件価格が異なります。実際、年収によってどのような物件の購入が検討できるのか紹介します。


ただし、物件の所在地や築年数、設備や状態などによって物件価格には幅があるため、あくまで参考としてください。


年収1,000万円以上で検討可能な物件

融資上限額7,000万円~1億円の物件が目安になります。区分マンションであれば中古物件はもちろん、都心部で好立地の新築物件の購入も視野に入るでしょう。また新築の木造一棟アパートのほか、エリアや築年数によってはRC一棟マンションも購入できる可能性があります。


年収700万円程度

融資上限額4,900万円~7,000万円の物件を目安に検討できます。新築・中古の区分マンションのほか、木造一棟アパートも中古だけでなくエリアによっては新築物件も視野に入るでしょう。


年収500万円程度

融資上限額3,500万円~5,000万円の物件を目安に検討が可能です。新築・中古の区分マンション、中古の木造一棟アパートの購入も可能です。


年収500万円以下

年収によっては4,000万円程度までの物件を購入できる可能性があります。新築・中古区分マンションや中古の木造一棟アパートのほか、賃貸用の戸建て住宅も視野に入るでしょう。


物件を現金一括購入するなら年収は関係ない

不動産投資を始めるにあたって金融機関から融資を受けるのが一般的ですが、ローンを組まず現金一括で物件を購入するケースもあります。


属性が低くローンを組めない場合や、法定耐用年数を過ぎた築古物件や立て直しができない「再建築不可物件」など、利回りはよいが金融機関の融資がつかないという物件を購入したいのであれば有効な手段です。


ただし当然ですが、物件購入資金全額を現金で用意する必要があるため資金を貯めるのに時間がかかり、結果的に不動産投資を開始するのが遅くなってしまいます。

また不動産投資で最大のメリットのひとつである、融資を受けることで得られる「レバレッジ効果」の恩恵は受けられないのがデメリットになります。


物件を現金一括で購入する場合について詳しくはこちら!>>不動産投資で現金一括購入のメリットとデメリット!ローンと徹底比較


不動産投資で融資を受ける際に必要となる諸費用について

前述したように不動産投資では、物件を購入するにあたって金融機関から融資を受けるのが一般的ですが、その際、物件価格とは別に手続きにかかる手数料や税金などの「諸費用」が発生します。


諸費用の目安は、新築物件の場合で物件価格の5%前後、中古物件で8%前後です。おもな諸費用には以下のようなものがあります。


不動産仲介手数料

不動産仲介会社を通して不動産物件の売買が成約した際、不動産仲介会社に支払う成功報酬です。


不動産投資ローン事務手数料

不動産投資ローンの手続きをおこなう際に発生する手数料です。


不動産投資ローン保証料

融資を受けた場合、ローン保証会社に支払います。


火災保険料

火災や地震などの災害などのリスク対策として加入する場合に支払います。


印紙税

10万円以上の不動産売買契約書を紙媒体で交わす場合に発生します。税額は物件価格によって変動します。


登録免許税

不動産の売買にあたり、所有権や抵当権などの登記にかかる税金です。


司法書士報酬

登記を司法書士に依頼した場合に支払う報酬です。


不動産取得税

不動産を購入した場合に発生する税金です。


清算金(固定資産税など)

買主が売主に支払う、日割りした税金や管理費、修繕積立金などです。


不動産投資の初期費用についてはこちら!>>不動産投資の初期費用の種類と目安額!できるだけ安くする方法は?


不動産投資で融資を受ける際に審査される個人属性

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金融機関にとってもっとも重要なのは、「貸したお金が滞りなく返済される」ことです。

そこで金融機関は、融資申込者の返済能力の有無を判断したうえで融資の可否や融資条件を決定します。

その判断材料となるのが、年収や勤務先情報などの「個人属性」です。


ただし個人属性の判断基準は金融機関によって異なります。一般的な個人属性とされる項目について解説します。


年収

返済能力を判断するひとつの指標として、一定額以上の安定した収入の有無が審査されます。ここで注意したいのが年収の高さだけでなく、「安定した収入」を得ているかどうかです。


たとえ年収が高くても歩合制など月によって収入が増減する場合は、「収入が安定しない」とみなされ、審査に不利になるケースもあります。

なお個人事業主や自営業者の場合は事業実績が審査されます。


勤務先と勤続年数

勤務先の情報も融資審査で重視されるポイントです。勤務先が大手企業の正社員や公務員の場合、経営状態が安定している・倒産リスクが低いと評価されやすいです。またいわゆる「士業(医師や弁護士など)」の人は属性が高いと評価され、融資審査に有利にはたらきます。


また勤続年数が長ければ長いほど評価が高くなります。反対に転職の回数が多い人や転職して間もない人は、年収が高くても収入が安定していないとみなされ、金融機関からの評価が低くなるケースもあるため注意が必要です。


なお勤務先が変わりやすい派遣社員や事業実績にばらつきが出やすい自営業者などは、金融機関からの評価が低くなりやすいです。


金融資産

不動産投資の収益が思ったように得られない場合でも、毎月のローン返済はおこなう必要があります。そのため、万が一返済が滞った場合、返済にあてられる資金力の有無も審査されます。

預貯金が多い人や、複数の不動産を所有しているなどの場合は審査に有利になりやすいです。


また収入に対する貯蓄の割合なども審査対象です。収入に比べて預貯金が極端に少ない場合は悪い評価となるケースもあるため注意が必要です。


借入状況

カーローンや住宅ローンなど借入れがある場合は、残債や今後の返済計画も審査されます。ローン残債が多い場合、新たな不動産投資ローンを組むことで返済額が増加し、返済リスクが高くなると判断される可能性が考えられます。


家族構成

配偶者の有無や子供の人数なども審査対象です。配偶者の収入や、子供にかかる教育費などの費用がローンの返済能力に関係するため、家族構成も判断材料とされます。


属性を上げて融資審査を有利にするポイント

残念ながら、「属性が低くて融資が通らない」というケースもありうることです。その場合、個人属性を上げることで融資額が高まる可能性があります。

ここでは属性を上げ、融資審査を有利にするポイントを解説します。


クレジットカードを整理する

クレジットカードを複数枚もっている場合、年会費やキャッシング枠も借入額に相当するため、クレジットカードの限度額が高いほど属性を下げる要因となります。年収が低い場合、使用していないクレジットカードを解約したり、限度額を下げたりするとよいでしょう。

また遅延履歴は信用情報に残り、融資審査時にマイナス要因になるため注意が必要です。


既存のローンを見直す

返済中の住宅ローンや不動産投資ローンがある場合は、ローンの見直しや繰り上げ返済、借り換えを検討しましょう。ローンの見直しなどで返済比率(毎月の返済額が収入に対して占める割合)を下げることができれば、融資審査についても有利となります。


また消費者金融や信販系クレジットカードのキャッシングなどのローンがある場合も、与信のマイナス要因となります。可能な限り返済することで与信枠に余裕が生まれ、審査に有利になるでしょう。


頭金を多くする

融資申込時に入れる頭金を多めに用意することで借入額が減り、返済リスクが下がるため融資審査に通過しやすくなります。

頭金の目安は物件価格の1割~3割程度が一般的ですが、用意できる頭金が多いほど、融資審査に有利になるでしょう。


まとめ

不動産投資家の平均年収は約1,000万円とかなり高額であることがわかりました。しかし、最多年収ゾーンは700万円台であり、金融機関から融資を受けられる年収の目安のひとつと考えられます。


しかし年収が700万円以下では不動産投資はおこなえないかというと、かならずしもそうではありません。年収500万円以下であっても融資をおこなう金融機関は複数存在しているため、属性次第では融資を受けられる可能性は十分あります。


年収によって利用可能な金融機関はほぼ絞られます。まずは、自分の年収に見合った金融機関を選ぶことが重要です。

そのうえで属性を上げる工夫をすることで、より融資審査を通過できる可能性が高まるでしょう。

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