サラリーマンが不動産投資で副収入を得るのは副業禁止になる?
2022/10/03

サラリーマンが不動産投資で副収入を得るのは副業禁止になる?

副業禁止でもサラリーマンが不動産投資で副収入を得ることは可能?企業が副業を制限できるケースとは?不動産投資が副業とみなされない理由とは?相続などで不動産を所有する可能性があるため情報漏洩リスクが低い本業に支障が出にくい不動産投資は副業でなく資産運用だからサラリーマンが不動産投資で副収入を得るのに向いている理由金融機関の融資を受けやすい管理委託できるので本業の支障になりにくい安定した副収入を得られる第二の収入源になるサラリーマンが不動産投資で副収入を得る際の注意点勤め先の企業に確認を取る本業に支障が出ないよう心掛ける投資規模が大きくなりすぎないよう気をつける不動産所得が20万円を超えたら確定申告をおこなう住民税を普通徴収に変更するまとめ

「毎月の給与以外に副収入が欲しい」「老後を考えて資産を増やしたい」など、資産運用を考えているサラリーマンのかたにおすすめなのが不動産投資です。

しかも、副業が禁止されている企業でも「不動産投資であれば副業にあたらない」とされる可能性が非常に高いです。


今回は、不動産投資が副業とみなされない理由と不動産投資で副収入を得る際の注意点を解説します。

なんらかの手段で副収入を得ようと考えているサラリーマンのかたは、ぜひ参考にしてください。


副業禁止でもサラリーマンが不動産投資で副収入を得ることは可能?

副業が禁止されている会社であっても、「不動産投資は副業にあたらない」とする場合が多いようです。ここでは不動産投資の家賃収入が副業にあたらない理由について解説します。


企業が副業を制限できるケースとは?

副業を認める企業が増えつつあるものの、副業を認めていない企業はまだまだ多いです。

しかし、本来は日本国憲法で「職業選択の自由」が保障されています。

ただし、厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン』では、以下のケースに該当する場合は企業が副業を制限できるとされています。


・副業に時間や労力をかけることで本業に支障が出る懸念がある場合

・同一業種先での副業や、その他の副業先で自社の情報が漏えいする懸念がある場合

・副業することで自社のイメージや信用が落ちることが懸念される場合

参考:厚生労働省『副業・兼業の促進に関するガイドライン


不動産投資が副業とみなされない理由とは?

不動産投資が副業にあたらないとされる理由は、おもに以下のようになります。


相続などで不動産を所有する可能性があるため

家賃収入という「副収入」が得られる不動産投資ですが、副業あつかいにならない理由のひとつは、社員が「賃貸アパートやマンションなどを相続した」などの事情で不動産投資をおこなうケースが考えられるためです。また、転勤などで一時的に自宅を賃貸する場合もありうることです。


このように、なんらかの事情で社員が家賃収入を得るケースが想定できることから「不動産投資は副業あつかいにしていない(できない)」と判断する企業が多いようです。


情報漏洩リスクが低い

企業が社員の副業を制限できるケースのひとつが「自社の情報が漏えいする懸念」です。しかし、第三者に雇用されることのない不動産投資は情報漏えいリスクがきわめて低いです。

ただし、業種によっては情報漏えいに関してきびしい企業もあるため、その場合はあらかじめ担当部署などに確認をしましょう。


本業に支障が出にくい

「本業への支障が出る懸念」も、企業が副業禁止にしている理由のひとつです。サラリーマンの副業は、本業の終業後や休日におこなわれることがほとんどです。本来であれば休養を取るべき時間を副業の労働に充てるため、時間的余裕がなくなったり、疲労やストレスが貯まったり、本業に支障が出る可能性も考えられます。


しかし、賃貸物件の管理を管理会社などに委託できる不動産投資は、大家さん自身で賃貸物件の管理(自主管理)をせずにすむため、本業への支障はほとんどありません。


不動産投資は副業でなく資産運用だから

副業が禁止されている企業でも、株式投資や投資信託などの「資産運用」は副業にあたらないとされる場合がほとんどです。

不動産投資も株式投資などと同様、資産運用とみなしてもらうことで副業ではないと判断されると言えます。


ただし不動産投資が「事業的規模」とみなされた場合は、副業とみなされる可能性が高まります。

具体的には、所有する物件が「5棟10室(戸建て5棟以上、またはアパート10室以上」の賃貸経営の場合は事業的規模とみなされます。また、年間家賃収入が500万円を超えた場合も副業とみなされることも多いため注意しましょう。


サラリーマンが不動産投資で副収入を得るのに向いている理由

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本業以外で会社員が副収入を得るには、株式投資や投資信託など多くの手段がありますが、それらのなかでも不動産投資はサラリーマンにおすすめです。

・金融機関の融資を受けやすい

・管理委託できるので本業の支障になりにくい

・安定した副収入を得られる

・第二の収入源になる


金融機関の融資を受けやすい

不動産投資をはじめるにあたって物件購入する際、全額自己資金でまかなうのではなく、金融機関から融資を受けるのが一般的です。


融資を受けるには融資審査に通過する必要がありますが、毎月安定した収入があるサラリーマンは金融機関からローンの返済能力が高いと評価されやすく、審査に有利な傾向があります。


なぜなら金融機関の融資審査では、「返済できる能力があるか」をきびしく審査します。そのため、「貸し倒れになる可能性の少ない人=毎月、安定した給与をもらえる会社の正社員」に融資することで、金融機関は貸し倒れのリスクを最小限におさえるのです。


なお、会社の正社員の場合でも、勤めている企業の安定性や年収、勤続年数などによって左右されます。一般的に、倒産しにくい上場企業など大企業に勤務している人・勤続年数が長い人・年収が高い人は、より融資審査が通りやすくなります。


融資審査について詳しくはこちら!>>不動産投資の融資の可否はどう決まる?審査に通りやすいのはこんな人


管理委託できるので本業の支障になりにくい

不動産投資は、賃貸物件管理を管理会社に業務委託できるため、大家さん自身の手間が少なくてすむため本業の支障になりにくいです。賃貸物件の管理業務には以下のようなものがあります。


・建物の管理(清掃や修繕、手配など)

・入居者管理(賃貸借契約の締結や解約・更新などの手続き、クレーム処理など)

・家賃管理(賃料の集金など)


また、株式投資やFXなどのように就業時間中も頻繁に相場の動向をチェックする必要もないため本業に専念できます。


安定した副収入を得られる

不動産投資は入居者さえいれば安定した家賃を毎月受け取れます。

また不動産投資は長期間にわたっておこなう投資方法です。物件のメンテナンスをしっかりおこなうことで、長期にわたって家賃収入を得られるでしょう。


第二の収入源になる

サラリーマンは、病気やケガなどで給与収入が減少したり途絶えたりするリスクがあります。しかし、不動産投資で得られる副収入を「第二の収入源」としておけば万一の事態になっても安心できます。


サラリーマンが不動産投資で副収入を得る際の注意点

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会社勤めのサラリーマンが不動産投資をはじめる際は、副業可・不可にかぎらず、以下の点に注意することをおすすめします。

勤め先の企業に確認を取る

一般的には副業にはあたらないと言われる不動産投資ですが、最終的な判断を下すのは勤務先の企業です。

不動産投資をはじめる際は、念のために就業規則上の問題はないか事前に確認しておきましょう。


また前述したように「事業的規模(5棟10室)」や「年間家賃収入が500万円以上」など、一定の基準を超えた場合は勤務先の担当者に相談し、必要な手続きをおこないましょう。


公務員や金融・証券会社はとくに注意を!

公務員や銀行員は、一般企業に比べて副業や投資の規定がこまかく決められている場合が多く、より注意が必要です。


公務員の場合、基本的に副業は禁止です。ただし、不動産投資に関しては一般企業と同様に副業にはあたらないとされています。

ただし、前述のように「事業的規模でないこと」「家賃収入が年間500万円以下であること」に加えて、「管理業務を委託する」ことが条件になります。


なお、公務員の副業に関するルールは国家公務員か地方公務員かによっても異なります。不動産投資をおこなう前に、かならず担当者に確認しましょう。


公務員の不動産投資について詳しくはこちら!>>公務員が不動産投資で副収入を得る方法!メリットや注意点を解説


銀行員や証券会社勤務の場合、「インサイダー情報」に触れる機会が多いため、投資に関する規制が詳細に決められています。株式投資やFXは禁止されている、または事前の届け出が必要など、規定が定められている場合がほとんどです。

規定を破ってしまうと職務上インサイダー取引と見なされる可能性があるので注意しましょう。


不動産投資の副業が同じように制限されているかは企業によって異なります。しかし、投資全般を禁止している企業もあるので、担当部署に事前に確認しておくことをおすすめします。


本業に支障が出ないよう心掛ける

前述したように、企業が副業を制限している理由のひとつが「本業に支障が出てしまう」ことが懸念されるためです。

不動産投資の物件管理は多岐にわたるため、それらすべてを自主管理しようとすると時間も労力もかかります。


とくにクレーム処理は迅速な対応が必要なため、平日の日中の対応がむずかしいサラリーマン大家さんには大きな負担となるでしょう。

物件の管理を管理会社に委託すると管理委託料が発生しますが、本業に支障をきたさないことを第一に考えると管理会社への管理委託をおすすめします。


投資規模が大きくなりすぎないよう気をつける

前述したように、不動産投資が事業的な規模とみなされる、年間家賃収入が500万円を超えた場合は、副業あつかいとする企業も少なくありません。


副業禁止の企業の場合、不動産投資で副収入を得る際は規模が大きくなり過ぎないようにしましょう。とくに公務員は規定がきびしいので注意が必要です。


不動産所得が20万円を超えたら確定申告をおこなう

本業以外で得た所得が20万円を超える場合は確定申告をおこなう必要があります。

そのため、不動産投資で得た不動産所得が20万円を超える場合は確定申告をしなければなりません。


不動産所得とは不動産投資で得た収入から必要経費を差し引いた額を指します。

不動産所得 = 家賃収入などの不動産収入 ― 必要経費


ただし、不動産所得が20万円以下の場合であっても「給与所得以外の所得の合計」が20万円を超えている場合は確定申告が必要になります。

たとえば、不動産所得が11万円、雑所得が10万円の場合、給与所得以外の所得が合計で20万円を超えるため確定申告が必要です。


なお、確定申告をしないと無申告課税や延滞税などのペナルティが課されますし、脱税が刑事事件に発展する可能性もあります。不動産所得が20万円を超えているのであれば、かならず確定申告をおこないましょう。


家賃収入の確定申告について詳しくはこちら!>>家賃収入の確定申告はするべき!やり方や経費にできるものを解説


不動産投資の経費について詳しくはこちら!>>不動産投資で経費はどこまで認められる?正しく計上して節税を!


住民税を普通徴収に変更する

住民税の納付方法は、給与から天引きされる「特別徴収」と、自分で納付する「普通徴収」の2種類があります。住民税の額は前年の所得で決まるため、住民税額から前年の年収をある程度推察することができます。

そのため、不動産投資で副収入を得ていることを会社に知られたくない場合は、住民税の支払いを普通徴収に変更しましょう。


まとめ

不動産投資は、いわゆる会社が一般的に定める副業にあたらないとされる場合がほとんどです。ただし年間の家賃収入が500万円を超えたり、所有物件が5棟または10室以上になったりすると「事業的規模」とみなされた場合は就業規則の副業禁止規定に抵触する可能性が高まるため注意が必要です。


ただし、不動産投資が副業か否かを最終的に判断するのは勤務先の企業です。念のためにも、不動産投資をおこなう前には担当部署などに確認しておきましょう。


給与という安定した収入のあるサラリーマンは、金融機関の融資審査に有利にはたらきます。これから、なんらかの手段で副収入を得ようと考えているサラリーマンのかたは、ぜひ不動産投資を検討してください。

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