家賃収入の確定申告はするべき!やり方や経費にできるものを解説
2022/03/02

家賃収入の確定申告はするべき!やり方や経費にできるものを解説

サラリーマン大家さんで確定申告が必要なケースは?家賃収入の確定申告が必要なケース家賃収入の確定申告をしなくてもよいケース確定申告をしないときはペナルティがあるので要注意!家賃収入があるときの確定申告の種類青色申告白色申告確定申告で経費計上できるもの・できないもの経費として認められるもの経費として認められないもの経費計上する際のヒント家賃収入があるときの確定申告のやり方提出する書類を揃える確定申告書を作成する申告書を提出し納税する(または還付を受け取る)2021年(令和3年)分の家賃収入の確定申告提出期限はいつ?延長できる?まとめ

家賃収入の多い少ないにかかわらず、不動産投資で家賃収入を得た場合は基本的に確定申告が必要です。

家賃収入があるにもかかわらず確定申告をおこなわずにいると、ペナルティを課せられることもあるため注意しましょう。

しかし、条件によっては確定申告が不要な場合もあるのです。


そこで今回は、家賃収入のあるサラリーマン大家さんに向けて、確定申告が必要なケース、不要なケースについて解説します。

また、確定申告で必要経費にできる費用や確定申告のやり方についても紹介します。


「手間がかかる」「やり方がわからない」など苦手意識を持つ人も多い確定申告ですが、特別むずかしい手続きではありません。

ぜひ、当記事を参考に確定申告について理解を深めてください。


サラリーマン大家さんで確定申告が必要なケースは?

不動産投資で家賃収入がある場合、基本的に確定申告をおこなう必要があります。

ただし、年間の不動産所得によっては確定申告が不要な場合もあるのです。

ここでは確定申告が必要なケースと不要なケースについて解説します。


家賃収入の確定申告が必要なケース

サラリーマンでも不動産所得が20万円を超える場合は、確定申告をしなければなりません。

不動産所得とは、不動産投資で得た収入から必要経費を差し引いた額を指します。


不動産所得 = 家賃収入などの不動産収入 ― 必要経費


ただし、不動産所得が20万円以下の場合であっても「給与所得以外の所得」が20万円を超えている場合は確定申告が必要になります。

たとえば、不動産所得が15万円、雑所得が10万円の場合、給与所得以外の所得が合計で20万円以上になるため確定申告が必要です。


不動産投資で収入になるもの

不動産投資の収入は家賃収入だけではありません。

おもな不動産収入として以下のものが対象になります。


・毎月の家賃

・入居時に支払われる礼金

・更新時に支払われる更新料

・共益費(徴収している場合)

・自動販売機の収入(設置している場合)


家賃収入の確定申告をしなくてもよいケース

不動産所得が20万円以下の場合、確定申告の義務はありません。

ただし、不動産所得が赤字で本業の所得(サラリーマンの給与所得など)がある場合は「損益通算」することで、納税額が少なくなる可能性があります。


損益通算とは、不動産投資の赤字分を本業の所得から差し引くことです。

赤字(マイナス)分を本業の所得から差し引くことで本業の課税対象額が減るため、結果的に節税につながります。


確定申告をしないときはペナルティがあるので要注意!

確定申告が必要なのにもかかわらず期限内に申告しなかった場合は、「無申告加算税」や「重加算税」などのペナルティが課されます。

また脱税が刑事事件に発展する可能性もあり、懲役や罰金(またはその両方)が科されてしまうこともあるため注意が必要です。


万一、申告期限を過ぎてしまった場合でも、自分から税務署に修正申告おこなえば延滞金の支払いで済むため、できるだけ速やかに申告することをおすすめします。


家賃収入があるときの確定申告の種類

確定申告 青色申告承認申請書 ペン

家賃収入がある場合の確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類が選べます。

それぞれの特徴を解説します。


青色申告

青色申告は、白色申告に比べてさまざまなメリットがあります。

【青色申告のメリット】

・青色申告特別控除(最高65万円)が受けられる

・赤字の繰越可能(3年間)

・青色事業専従者給与を経費計上できる

・減価償却資産(30万円未満)は一括で経費計上できる


なお、青色申告をおこなう際には以下の条件があります。

【青色申告の条件】

・あらかじめ「開業届」と「青色申告承認申請書」の届け出が必要

・事業規模(室数10室以上または5棟)の不動産貸付がおこなわれている

・複式簿記で帳簿をつける


確定申告の青色申告について詳しくはこちら!>>不動産投資は青色申告で賢く節税!計上できる経費や提出の流れを解説


白色申告

上記の青色申告の承認を受けていない人は、自動的に白色申告になります。

青色申告のような特別控除などは受けられませんが、小規模な不動産投資をおこなっている人や複式簿記で帳簿を付けるのが苦手な人は、手間がかからない白色申告で確定申告をおこなうとよいでしょう。


確定申告で経費計上できるもの・できないもの

家賃収入がある場合、確定申告の際には1年間に支払った費用を経費として計上することができます。

ここでは必要経費にできるものとできないものを紹介します。


経費として認められるもの

経費にできる項目を把握したうえでしっかりと準備しておけば、申請できる経費の金額を最大化でき、結果的に節税につながります。

経費として認められるものは以下のようなものがあります。


・各種税金:固定資産税・都市計画税、登録免許税、不動産取得税など

・減価償却費:建物の構造などによって異なる

・管理費:管理会社への業務委託料など

・修繕費:故障や劣化した際の修繕費用や退去後の原状回復にかかった費用など

・水道光熱費:共有部分にかかる水道代や電気代など

・損害保険料:火災保険・地震保険など、所有する不動産投資物件に支払った保険料

・消耗品費:不動産投資に必要な備品や消耗品などの購入費用

・交通費:不動産投資のために支払った運賃やガソリン代など

・通信費:不動産投資に関する電話代やインターネット料金など

・図書・新聞費:不動産投資に関連した書籍購入費や新聞代など

・ローン返済金のうち利息分:不動産投資物件取得時の借入をおこなった際の金利部分

・専門家への報酬:税理士や司法書士への報酬など

・青色事業専従者の給与:青色専従者へ支払った給与(青色申告者のみ)


不動産投資の経費について詳しくはこちら!>>不動産投資で経費はどこまで認められる?正しく計上して節税を!


経費として認められないもの

支払った費用のなかには、経費計上できない項目もあるため注意が必要です。

経費計上できない、おもな項目は以下のようになります。


・ローン返済金のうち元本分:不動産投資物件取得時に借入をおこなった際の元本部分

・不動産投資に関係のない支出:プライベートで使用した交際費、交通費や通信費など

・所得税・住民税:不動産投資に関係なく発生する税金


経費計上する際のヒント

ここでは費用を経費計上するうえでの注意ポイントをまとめました。


領収書やレシートがない場合は経費計上できない?

経費として支払った費用の領収書やレシートを紛失してしまったり、もらうのを忘れたりした場合は下記のような対処方法が考えられます。

ただし、領収書がない場合は税務署からの指摘が入る場合もあるため注意が必要です。


・領収書を再発行してもらう

相手側に購入履歴が残っている場合は領収書を再発行してもらえる可能性があるため、費用を支払った店舗などに領収書の再発行をお願いしてみましょう。

ただし、少額の買い物や普段取引がない店舗の場合は再発行がむずかしいこともあります。


・クレジットカード払いなら明細から拾い出す

クレジットカードで費用の支払いをおこなった場合は、利用明細書から経費分の支払いを拾い出してみましょう。


もし利用明細を紛失しても、オンラインで過去の明細書をダウンロードできる場合があるため、確認してみることをおすすめします。


・領収書に代わるメモなどが認められる場合もある

そもそも領収書が発行されない費用(電車代、不動産投資に関連する香典や祝儀など)については、費用として支払った旨のメモなどを保存しておきましょう。

その際は、招待状や香典返し専用の挨拶状なども一緒に保存しておくとよいでしょう。


過度な経費計上は節税につながらない

経費として計上できる額が増えれば課税対象額が減るため節税につながります。

しかし、過度に経費を使ってしまうと結果的に収入が少なくなるため「収益の少ない物件」として物件の価値が低くなってしまう恐れがあります。


今後の健全な不動産投資のためにも、費用についてしっかりと理解したうえで、確定申告時には適度な額の経費を計上しましょう。


経費計上で迷ったら税理士などプロに相談する

不動産投資をおこなううえで経費計上は節税に欠かせません。

もし、経費処理で判断に迷う場合は、あらかじめ税理士など専門家に相談し判断してもらうことをおすすめします。


家賃収入があるときの確定申告のやり方

税務署 看板 外観

ここでは、家賃収入がある場合の確定申告のやり方について解説します。


提出する書類を揃える

まず、確定申告書を作成するにあたって、必要な書類を揃えましょう。

ここでは書類の入手先を紹介します。


自分自身で用意・作成する書類

・確定申告書B

・青色申告決算書(白色申告の場合は収支内訳書)


入手先は税務署(または国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナー)や会計ソフトを使用して作成したものを印刷して使用します。


勤務先から入手する書類

・源泉徴収票


サラリーマンなどで給与所得がある場合は、確定申告時に所得税額や収入額を記載します。

一般的に源泉徴収票は年末調整後に配付されます。


不動産会社から入手する書類

・不動産売買契約書

・売渡精算書

・譲渡対価証明書

・家賃送金明細書

・賃貸契約書


不動産の売買契約や賃貸借契約、家賃の入金明細などの書類は、売買契約をおこなった不動産会社や入退去管理をおこなっている不動産会社から入手します。


融資を受けた金融機関などから入手する書類

・借入金の返済予定表


金融機関から融資を受けて不動産投資物件を購入した場合は、上記の書類を受け取っておきましょう。


その他の書類

そのほかにも、行政から送付される「固定資産税通知書」や保険会社から加入している損害保険などの「証券」も確定申告に必要です。

修繕をおこなった場合は工事会社からの「修繕の見積書」や「請求書(領収書)」など必要に応じて入手・保管しておきましょう。


確定申告書を作成する

確定申告書の作成は、e-Tax(国税電子申告・納税システム)または紙媒体で提出します。手書きで申請する場合は、最寄りの税務署で確定申告書を入手するか、または国税庁のホームページから確定申告書式をダウンロードして記載するとよいでしょう。


申告書を提出し納税する(または還付を受け取る)

作成した確定申告書と必要書類を最寄りの税務署に提出します。

ここでは提出方法と注意点を解説します。


【確定申告書の提出方法】

・最寄りの税務署に送付する(郵便物または信書便)

・最寄りの税務署の時間外収受箱への投函する

・最寄りの税務署または確定申告会場で直接提出する

・パソコンやスマホからe-Tax(オンライン電子申告システム)で提出する


提出時の注意点

確定申告書を送付する場合は宅配便などでは受け付けられないため、かならず郵便物(第一種郵便物)または信書便で送付しましょう。

確定申告期限日の消印が押されていれば期限内提出として受理されます。

期限最終日に郵便ポストに投函したとしても、時間によっては翌日の消印になってしまうこともあるため注意が必要です。


税務署に備え付けの時間外収受箱は、税務署が開庁している時間帯には利用できません。

なお、時間外収受箱は提出期限日の深夜でも投函でき、夜に投函した書類は基本的に翌開庁日の朝に回収されるため、手渡しや郵送が間に合わない場合の最終手段として覚えておくとよいでしょう。



2021年(令和3年)分の家賃収入の確定申告提出期限はいつ?延長できる?

確定申告は、原則としての1月1日から12月31日までの所得について、その翌年の2月1日から3月15日までに必要書類を整えて税務署に提出し、申告します。


ただし2021年(令和3年)分の申告に関しては、新型コロナのオミクロン株の急拡大の影響から、4月15日まで期限の延長を国税庁が発表しました。


申告期限の延長をおこなうには、申告が可能となった時点で、申告書の余白などに「新型コロナウイルスの影響により延長を申請する」旨を記載し送付・送信します。(特別な申請書の提出は不要)

延長を希望する場合は、下記の記載例を参照してください。









参照・画像引用:国税庁「【所得税等の確定申告について】」


まとめ

家賃収入があり年間の不動産所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

不動産所得が20万円以下であっても本業の給与所得がある場合は損益通算することで所得税が還付される可能性もあるため、確定申告をおこなうことをおすすめまします。


確定申告を苦手とする人も多いですが、家賃収入を含めた不動産収入と必要経費をしっかりと理解し、きちんと計上することで節税につながります。

ぜひ当記事を参考に損をしないよう、しっかりと確定申告をおこなってください。

一覧に戻る