オフィスビル投資と住居用不動産投資の違いを比較!区分所有も可能
2022/09/09

オフィスビル投資と住居用不動産投資の違いを比較!区分所有も可能

オフィスビル投資と住居用不動産投資の違い立地による賃貸需要賃料単価景気によって賃料が変動しやすい金融機関の融資審査の難易度オフィスビル投資のメリットとデメリットメリットデメリットオフィスビルの区分所有とは?オフィスビルを区分所有するメリットオフィスビルを区分所有するデメリットオフィスビル投資の注意点注意点1:エリアや立地注意点2:外観や設備内容まとめ

住居用賃貸経営よりも高収益が期待できる「オフィスビル投資」ですが、住居用賃貸経営とはどのような違いがあるのでしょうか。

また少ない資金でオフィスビル投資ができることで注目されている「オフィスビルの区分所有」は、1棟オフィスビル投資とは異なるメリットが得られます。


今回はオフィスビル投資について住居用賃貸物件との違いを比較しながら、オフィスビルの区分所有について詳しく解説します。

オフィスビル投資を検討している人は、ぜひ参考にしてください。


オフィスビル投資と住居用不動産投資の違い

「不動産投資」にはさまざまな種類があり、その種類によって特徴が大きく異なるため、それぞれの特徴にあわせて投資戦略を立てたうえで物件を運用する必要があります。

ここでは、企業の事務所や店舗などのテナントを入居対象とするオフィスビル投資用物件とアパートやマンションなどの居住用賃貸用物件の違いについて解説します。


立地による賃貸需要

広い範囲に貸需要のあるアパートやマンションなどの居住用賃貸物件と比較して、オフィスビル投資の対象となる物件の賃貸需要は狭い範囲に限定される場合がほとんどです。


とくに地方都市はその傾向が顕著です。賃貸需要があるのはターミナル駅周辺に限定され、特定のエリアから少し離れてしまうだけでテナントの入居付けに大きな影響がある場合もめずらしくありません。


不動産投資の成功の可否は立地にかかっているといっても過言ではありませんが、オフィスビル投資に関しては居住用賃貸物件以上に立地選びが重要であることを留意しておきましょう。


賃料単価

居住用賃貸物件の賃料単価は、間取りが小さい方が高くなります。たとえば、同じ建物内の3LDKの賃貸物件よりも1Kのように間取りが小さな物件のほうが賃料単価は高いです。


一方、オフィスビルの賃料単価は専有面積に比例して高くなる傾向にあります。

なぜならオフィスビルの場合、ワンフロアあたりの面積が広いほどテナント属性がよくなるため、賃料単価を上げることができるのです。


また、オフィスビルの賃料単価は1坪あたりで表されるのが一般的で、内訳は「賃料+共益費(共用部の維持費用)」となります。

たとえば「賃料2.5万円+共益費0.5万円=賃料単価3万円/坪」となり、月々の賃料は「賃料単価×面積」で決定します。

そのため、テナントひとつあたりの面積を大きくすることで、より高額賃料を得られる可能性が高まるのです。


景気によって賃料が変動しやすい

住宅用賃貸物件の賃料は景気の変動に左右されることは少ないですが、オフィスビルの賃料相場は景気によって大きく変動します。オフィスビルの賃料は好景気のときには上がり、不景気のときには下がります。


なお賃料の下落だけでなく、景気の後退によってテナントの退去もめずらしくないため空室になりやすいという特徴があります。


また住居用賃貸物件の空室は、多少の賃料値下げや入居者の初期費用(敷金・礼金0円やフリーレントなど)の軽減など空室対策によって入居者を獲得できる場合も少なくありません。

しかしオフィスビルについては、少々家賃を下げても入居がつかない場合も多く、かといって入居者付けのために大幅に賃料を下げてしまうと十分な収益が得られなくなってしまうため注意が必要です。


金融機関の融資審査の難易度

オフィスビルの取得(建築・購入)費用は住居用賃貸物件同様、金融機関から融資を受けるのが一般的です。

ただし、より事業性が高いオフィスビルの融資審査は、区分マンションや一棟アパートの審査に比べてむずかしいといわれています。


オフィスビル投資用物件の融資審査では、物件の担保性はもちろん、オーナーの不動産投資実績や資金力に加えて、入居するテナント側の経営状況なども詳しく調査がおこなわれます。また審査結果が出るまで時間もかかります。


また店舗やオフィス用のテナント物件は価格が高額なことも多いです。そのためオフィスビル投資は、不動産投資初心者のサラリーマンがおこなうには、運用面だけでなく融資面でもハードルが高いと考えられます。


オフィスビル投資のメリットとデメリット

メリット デメリット 矢印

ここではオフィスビル投資のメリットとデメリットについて解説します。


メリット

オフィスビル投資物件には住居用賃貸物件と比べて次のようなメリットがあります。


・高利回りなので高収入が期待できる

・定期借家契約が一般的


高利回りなので高収益が期待できる

物件の立地エリアにもよりますが、同じ面積であれば、住居用賃貸物件よりもオフィスビル物件のほうが高利回りで運用できるため、収入も大きくなります。


ただし、収入が大きくなるのは、あくまでもオフィスの賃料単価が住居用賃貸物件の賃料単価よりも高いエリアです。そもそも郊外などのオフィス需要が少ないエリアでは、住居用賃貸物件のほうが収益性は高くなるので、オフィスビル投資用物件の立地を決める際はオフィスの賃貸需要に留意しましょう。


定期借家契約が一般的

住居用賃貸物件の賃貸借契約は通常「普通借家契約」ですが、これは2年ごとなどに自動更新がおこなわれ、オーナーからの解約や更新の拒絶は「正当事由」がない限りできないものと定められています。


対してオフィスビル投資用物件は、契約期間に定めがある「定期借家契約」が一般的です。定期借家契約とは、その名称通り一定の契約期間が経過することで借家契約が終了する契約を指します。なお双方が合意すれば再契約も可能です。


定期借家契約をむすぶことでオーナーには以下のようなメリットがあります。


・賃料増額交渉がおこないやすい

住居用賃貸物件の賃料の増減額交渉は、オーナー・入居者共に請求することが認められていますが、双方が納得する必要があるため、現実的にはむずかしいのが実情です。


とくに賃料増額については入居者に納得してもらわねばならず、要求を拒絶された場合でも強制退去などの措置をとることはできません。そのため、賃料を増額する場合は現入居者が退去して新規入居者募集時に対応することになります。


しかしオフィスビルの場合は、ビジネスとして賃料増減額交渉は一般的におこなわれています。ただし、賃料は景気に左右されやすいため、好景気であれば増額交渉がおこないやすい反面、不景気時にはテナントから賃料の減額要求があることも留意しておきましょう。


・賃料滞納リスクなどトラブルの軽減につながる

借主の権利が守られている普通借家契約では、入居者の家賃滞納や入居者トラブル(騒音やゴミ放置など)があっても、「正当事由」と認められて部屋を明け渡してもらうまでは時間や費用を要します。


しかし、定期借家契約が一般化しているオフィスビル投資用物件では、賃料滞納や関連会社の同居(共同使用)・転貸などのリスクを最低限におさえることが可能です。


デメリット

オフィスビル投資物件には、以下のようなデメリットもあります。


・空室リスクが高い

・物件価格が高額

・固定資産税の軽減措置は対象外


空室リスクが高い

前述したように、オフィスビル投資は景気に左右されやすいため、住居用賃貸物件に比べて賃料が変動しやすく、空室リスクも高いのがデメリットです。


住居用賃貸物件は景気が悪くなってもすぐに引っ越すことはありませんし、賃料が短期間で急激に下落することもほぼありません。


しかし、オフィスビル投資では経営状況の悪化による店舗やオフィスの閉店・移転はめずらしくありませんし、複数のテナントが一斉に退去してしまうこともありうることです。少々家賃を下げても入居がつかない場合も多いため、オフィスビル投資用物件を選ぶ際は住居用賃貸物件以上に賃貸需要が高いエリアなど、立地に注意する必要があります。


物件価格が高額

オフィスビル投資用物件は、ビルの規模や立地によって物件価格が高額になります。とくに人気エリアに位置し、駅からも近い一棟オフィスビル物件は億単位の超高額となることもめずらしくないでしょう。


予算的に一棟オフィスビル物件の取得がむずかしい場合は、後述するビル内の一部やフロアで購入する「区分所有」できるオフィスビル物件もあるので、予算にあわせて検討するとよいでしょう。


固定資産税の軽減措置は対象外

マンションやアパートなど住居用賃貸物件は「住宅用地」として、固定資産税・都市計画税の軽減措置が受けられます。しかし、オフィスビルは住宅用地ではないため、軽減措置の対象外となります。


ただし、ビル内にテナント物件と住居用物件が混在する「住居併用タイプ物件(1階がテナント用物件で、上階が住居用賃貸のマンションなど)」であれば、要件を満たせば住宅用地として軽減措置が受けられます。


住居併用タイプ物件について詳しくはこちら!>>不動産投資でテナント(店舗・オフィス)物件を選ぶ際の注意点を解説!


オフィスビルの区分所有とは?

一棟オフィスビルを所有するには高額な費用がかかります。そのため、自己資金や不動産投資の実績が少ない人には非常にハードルの高い不動産投資です。


そこで、オフィスビル投資初心者の人におすすめしたいのが、オフィスビル(建物)の一部(テナント単位やフロア単位)を小分けして所有・運用する「オフィスビルの区分物件」です。

ここでは、オフィスビルの区分所有についてメリットとデメリットを解説します。


オフィスビルを区分所有するメリット

まず、オフィスビルを区分所有することで以下のようなメリットが得られます。


・少額でオフィスビル投資ができる

・一棟オフィスビル物件に比べて流動性が高い

・売却益が期待できる

・管理の手間がかからない


メリット1:少額でオフィスビル投資ができる

一棟オフィスビルを購入するのにくらべて、少額でオフィスビル投資がおこなえます。一棟ビルを購入するだけの自己資金が用意できない場合や融資審査通過がむずかしい人でも、オフィスビルの区分所有であれば取得できる可能性が高まります。


また同額の自己資金であっても、立地や設備のランクが落ちる一棟オフィスビル物件を所有するよりも、好立地で高品質のオフィスビルを区分所有することで安定した収入につながるでしょう。


メリット2:一棟オフィスビル物件に比べて流動性が高い

オフィスビル物件にかかわらず一棟不動産物件の流動性は低いです。

しかし、現況では流通量が少ないオフィスビルの区分所有物件は、注目度の高さもあり、買手がつきやすい=流動性の高さがメリットのひとつになります。


メリット3:売却益が期待できる

区分所有のオフィスビルであっても出口戦略は非常に重要です。

不動産投資の成功の可否は、物件を売却するまで決定しません。なかにはインカムゲイン(賃料収入)は赤字でも、キャピタルゲイン(売却益)が高額であればトータルで黒字となる場合もあり、その不動産投資は成功だったことになります。


区分所有のオフィスビル物件は大都市圏の中心部に位置するものが多いですが、それらは賃貸需要が高く、価値が落ちにくいです。また、先に述べたように区分所有のオフィスビル物件自体も少ないため、物件選びを間違えなければ好条件で売却でき、多額の売却益を得られる可能性も高くなります。


メリット4:管理の手間がかからない

一棟オフィスビル物件の管理は、専門の管理会社に管理委託するのが一般的です。しかし、区分所有でオフィスビルオーナーになった場合は、毎月の共益費(管理費)を支払うだけで管理全般を任せることができるので管理の手間が最低限で済みます。


オフィスビルを区分所有するデメリット

オフィスビルを区分所有する場合のデメリットには以下のようなものがあります。


・流通量が少なく購入できない場合がある

・希望通りの区分を所有できない場合もある

・改築や建替えなどは自由にできない

・稼働率0%のリスクがある


デメリット1:流通量が少なく購入できない場合がある

「オフィスビル投資=一棟オフィスビル」という取引が一般的だった背景から、区分所有のオフィスビル物件の流通量はまだまだ少ないのが現状です。また大都市圏の好立地物件の区分物件のオフィスビルは、市場に出てもすぐに買手がつく場合が多いです。


そのため、オフィスビルの区分所有をしたくても売却物件が市場に少なく「欲しくても買えない」場合も少なくありません。


デメリット2:希望通りの区分を所有できない場合もある

複数のオーナーが混在する区分所有用のオフィスビル物件では、たとえば複数のフロアを同一オフィスビル内で区分所有したいと考えた場合、連続したフロアでの所有ができない場合もあります。


そのため、複数の階にまたがって入居したいテナントがあった場合、フロアごとに区分所有するオーナーが異なることで契約関係が複雑になってしまい、テナントに敬遠される可能性が考えられます。


デメリット3:改築や建替えなどは自由にできない

区分マンションにもあてはまることですが、区分所有オーナーとはいえ、ビル全体の改築や建替えなどを自由におこなうことはできません。


投資対象物件が築浅の場合は問題が少ないと考えられますが、築年数の経った物件や長期所有を検討している場合は、大規模修繕なども含めた中長期的な運用計画を立てたうえで物件を購入しましょう。


デメリット4:稼働率0%のリスクがある

オフィスビル投資が住居用賃貸物件よりも空室リスクが高いことは先に述べましたが、オフィスビルを区分所有する場合は、さらに空室リスクが高くなるため注意が必要です。

区分所有するフロア面積にもよりますが1フロアにひとつのテナントのみを入居させる場合、テナントがいれば稼働率は100%ですが、テナントが退去すると稼働率は0%となり賃料収入もゼロ円になってしまいます。


オフィスビルを区分所有する場合は物件の立地やエリアに加えて、入居するテナント選びも重要になります。なるべく長期間入居してくれる業種や業績が安定した企業を選びましょう。


オフィスビル投資の注意点


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ここでは一棟物件・区分所有にかかわらず、オフィスビル投資をおこなう際の注意点を解説します。


注意点1:エリアや立地

前述のように不動産投資の成功の可否は、物件選びにかかっているといっても過言ではなく、これはオフィスビル投資も例外ではありません。


オフィスビル投資に向くエリアは、テナントの性質上、事業に適している立地であるかが非常に重要なポイントです。最寄りの駅からの距離、周辺に銀行や郵便局、公共機関、コンビニや飲食店などの有無といった利便性のある立地が望まれます。


また業種によっては特定の施設の近隣が好まれます。代表的な例では、弁護士や司法書士などの法曹関係であれば、裁判所や法務局などから近いオフィスビルが選ばれやすいでしょう。


なお、幅広い業種でテナントを募集する場合でもターゲット業種を絞る場合でも、賃貸需要が安定しているエリアを対象に物件を探しましょう。


注意点2:外観や設備内容

オフィスビルに入居するテナントは企業や事務所などが対象です。そのため、テナントとなる企業の「顔」にあたる部分である建物の外観やエントランスなどの共用部はテナント企業の、メージに直結するため、とくに注意が必要です。


まず外観が古ぼけた印象のビルや、劣化や汚れが目立つビルは投資対象に適していません。築年数が経った物件であってもきちんとメンテナンスがされていて古さを感じさせない、清潔感のある建物を選ぶとよいでしょう。


また最近のオフィス事情に適した設備が導入されているかどうかも重要なポイントです。


・個別空調の有無

・ヘビーデューティーゾーンの有無(床荷重)

・電気容量や光インターネット回線

・エレベーターやトイレの数

・喫煙所の有無


オフィスビルのテナントになる企業は、上記のようなポイントをチェックしたうえで入居の是非を決定します。できるだけ多くの設備を備えた物件を選ぶことで、さまざまな業種の企業や事務所を入居対象にできるでしょう。


オフィスビルの選び方について詳しくはこちら!>>不動産投資でビルオーナーになる方法!ビルの選び方や注意点を解説


まとめ

住居用賃貸物件よりも高収益が期待できるオフィスビル投資ですが、景気によって賃料の変動や空室リスクが左右されます。そのため、オフィスビル投資で成功するには、住居用賃貸物件以上にエリアや立地選びが重要です。


また、高額な一棟オフィスビル投資がむずかしい場合は、少額でおこなえる「オフィスビルの区分所有」も検討するとよいでしょう。


一棟、区分所有にかかわらず、オフィスビル投資用物件を選ぶ際は会社の「顔」となる外観がよく、またテナントに好まれる設備を備えた建物を選びましょう。

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