収益性の高い物件を見極める。不動産投資の成否を分ける利回りの本質
2025/05/20

収益性の高い物件を見極める。不動産投資の成否を分ける利回りの本質

不動産投資における「利回り」の基本を押さえる利回りが高くても収益性が低い物件の特徴収益性の高い物件の共通点キャッシュフローをチェックしよう将来の資産価値と出口戦略金融機関の評価と融資戦略

表面利回りだけでは見抜けない“落とし穴”

「利回り8%超の優良物件あります」 こんな広告を見て、チャンスだと思ったことはありませんか?

でも、利回りの数字だけを鵜呑みにして投資判断をすると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。

不動産投資において「利回り」はとても重要な指標ですが、見た目の数字が高ければ良いというものではありません。その裏には空室リスクや修繕費など、見逃せない要素が隠れています。

この記事では、「利回り」の見方を正しく理解し、本当に収益性の高い物件を選ぶための具体的なポイントを、できるだけわかりやすく解説します。


不動産投資における「利回り」の基本を押さえる

表面利回りと実質利回りの違い

  • 表面利回り(グロス利回り):年間の家賃収入を物件価格で割って100をかけたもの。

例)年間家賃120万円、物件価格1,500万円 → 表面利回り8%

  • 実質利回り(ネット利回り):家賃収入から管理費や修繕費などの費用を引き、さらに購入時の諸経費も考慮して計算。

例)上記の物件で運営費20万円、諸経費100万円 → 実質利回り約6.7%

実質利回りは「実際にどれだけ儲かるか」を示す指標です。投資判断の際にはこちらを重視するようにしましょう。


利回りが高くても収益性が低い物件の特徴

空室リスクが高いエリア


地方や人口が減少しているエリアでは、家賃が安定しなかったり、空室が長引くリスクがあります。見かけの利回りが高くても、実際には入居者がつかず収入が下がってしまうことも。


築年数が古く修繕リスクが高い

古い物件は一見安くて利回りが高そうに見えますが、設備の修繕や外壁補修など思わぬコストがかかることもあります。これが利益を圧迫する要因になります。


収益性の高い物件の共通点

1. 入居者のニーズがある立地

  • 駅から近い(徒歩10分圏内)
  • 学校、病院、スーパーなどが近くにある
  • 単身者・ファミリーなどターゲット層に合った地域

2. 家賃と物件価格のバランスが適正

利回りは「収入÷コスト」で決まります。家賃が高すぎると借り手がつきにくく、低すぎても利益が出ません。地域の相場と照らし合わせて、妥当な家賃設定かを確認しましょう。

3. 管理体制がしっかりしている

  • 清掃や修繕対応がスムーズ
  • 空室対策として広告や内装リフォームを行っている
  • オーナーと密に連携できる管理会社

ケーススタディ:A物件 vs B物件

表面利回りではA物件が魅力的に見えますが、実際の管理や空室リスクを加味すると、B物件の方が安定した収益が期待できます。

キャッシュフローをチェックしよう

キャッシュフローとは?

実際に手元に残る「お金の流れ」を意味します。

計算式は以下の通り:

キャッシュフロー = 家賃収入 − ローン返済 − 諸経費


黒字であれば安定した運用が可能ですが、毎月の返済が重いと赤字になることも。

  • ・A物件:利回り6%、ローン返済が少額の場合 → 年間を通しを通して黒字
  • ・B物件:利回り8%、ローン返済が多額の場合 → 家賃が少し下がると赤字に

収益性だけでなく、「無理のない返済計画」も重要なチェックポイントです。


イールドギャップを意識する

「イールドギャップ」とは、不動産投資の利回り(=表面利回り)と、長期金利との差を指す指標です。不動産投資の収益性を評価するために使われ、次のように算出されます


物件の利回り − 借入金利 = イールドギャップ


この差が大きいほど、投資効率は高くなります。


目安と注意点

  • ・2%以上あると収益性が見込める
  • ・1%を下回ると、金利が少し上がっただけで収益が吹き飛ぶ可能性も

投資前に、金融機関の金利と合わせて確認するようにしましょう。


将来の資産価値と出口戦略

資産価値が保たれやすい条件

  • ・駅近・人気エリア
  • ・地価が安定している地域
  • ・建物の構造や管理状況が良好

出口戦略とは?


投資の最終的な「出口(売却など)」をどう設計するかという視点です。

  • ・長期間保有して家賃収入を得る
  • ・価値が上がったタイミングで売却する
  • ・リノベーション後に高値で売る

収益性の高い物件は、将来の選択肢も豊富です。


金融機関の評価と融資戦略

金融機関が好む条件

  • ・駅から近く、浸水リスクが少ない場所
  • ・耐震性の高い構造(RC造など)
  • ・管理が行き届いている
  • ・築年数20年以内(目安)

融資を有利に進めるために

  • ・法人名義での借入や節税効果の検討
  • ・金利交渉や団体信用生命保険の活用
  • ・長期固定金利で金利上昇リスクに備える

まとめ:高利回り=高収益とは限らない

不動産投資で失敗しないためには、「数字の裏側を見る力」が欠かせません。

本当に収益性の高い物件は、


  • ・実質利回りが安定している
  • ・入居ニーズが高いエリアにある
  • ・管理や修繕がしっかりしている
  • ・融資条件や将来性も考慮されている

といった複数の要素をバランスよく備えています。


投資判断のチェックポイント:

  • ・表面ではなく「実質利回り」と「キャッシュフロー」に注目
  • ・イールドギャップは2%以上を目安に
  • ・空室・修繕などのリスクを冷静に見積もる
  • ・売却・保有などの出口戦略も視野に入れる

「利回りの数字」だけに惑わされず、本質を見抜いてこそ、不動産投資は成功への道を切り開きます。

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