ベトナムでおこなう不動産投資の規制やリスク!都市とエリアはどこ?
2024/02/12

ベトナムでおこなう不動産投資の規制やリスク!都市とエリアはどこ?

ベトナム不動産投資で知っておきたい6つの規制規制①外国人の所有期間は50年規制②所有できるのは建物のみ規制③法人名義で購入した物件は社宅になる規制④原則として外国人は中古不動産を購入できない規制⑤1棟あたりで外国人が購入できる戸数に制限がある規制⑥コンドテルの土地所有権を得られないベトナムで不動産投資をおこなうメリット人口は依然として増加傾向にある不動産価格が安く高利回りが期待できる税負担が少ないベトナムで不動産投資をおこなうリスクと注意点規制や制度が変更になる可能性があるベトナムの金融機関でローンを組むのはむずかしい物件の完成が遅れることがある日本へ海外送金するための手続きが煩雑現地調査や翻訳に費用が発生する海外不動産投資詐欺の可能性があるベトナムの不動産投資でおすすめの都市ホーチミンハノイまとめ

2015年7月に外国人所有権が解禁されて以来、外国人不動産投資家に注目されているのがベトナムの不動産投資物件です。

しかし海外不動産投資をおこなう場合、気をつけておきたい点がいくつかあります。またベトナムでおこなう不動産投資ならではの規制やリスクも存在します。


今回はベトナムでおこなう不動産投資の規制やリスク、注意点、おすすめの都市について解説します。

これからベトナムで海外不動産投資を検討する人は、ぜひ参考にしてください。


ベトナム不動産投資で知っておきたい6つの規制

ベトナム ハノイ ホーチミン博物館


ベトナムで不動産投資をおこなう前に、まずこれだけは知っておきたい6つの規制を紹介します。

これらを知らずにベトナムで不動産を購入すると思わぬ失敗につながることもあるため注意しましょう。


規制①外国人の所有期間は50年

外国人がベトナムで不動産を購入し所有できる期間は50年間が基本となっています。ただし1回限り、50年間の延長が認められています。

よってベトナムの不動産を外国人が所有できる期間は最長で100年間までとなります。


規制②所有できるのは建物のみ

ベトナムの不動産のうち、土地については「土地は全人民の公財産であり、国が所有者を代表して統一管理する」と規定されているため、自国民であれ外国人であれ、土地の所有権は認められていません。

よって所有できる不動産は建物のみとなります。


規制③法人名義で購入した物件は社宅になる

ベトナムの不動産を法人名義で購入した場合、使用目的が当該企業の社宅に限定されます。一般的な賃貸物件のように第三者に賃貸することが認められていないため注意が必要です。

賃貸目的でベトナムの不動産を購入する際は、かならず個人名義で購入しましょう。


規制④原則として外国人は中古不動産を購入できない

原則として、ベトナムの不動産で外国人が購入できるのは新築物件になり、中古の不動産は購入できません。ただし、外国人が所有している物件であれば、中古物件として購入できます。


なお外国人から中古の不動産を購入する場合、所有期間は前の所有者の経過期間を引き継ぎます。たとえば、前の所有者が新築で購入して10年間所有した不動産であれば、新しい所有者が所有できる期間は40年(延長すれば90年)になります。


規制⑤1棟あたりで外国人が購入できる戸数に制限がある

ベトナムでは1棟買いなどの買い占め防止のため、外国人が購入できる戸数には制限があります。

外国人が所有できるのは、コンドミニアムやマンションなどの集合住宅の場合は全戸数/1棟の30%まで、一戸建て住宅の場合は1町村につき250戸までと定められています。


規制⑥コンドテルの土地所有権を得られない

自国民であれ外国人であれ、個人が商業用途となるコンドテル(コンドミニアムホテルの略称で、所有するコンドミニアムをホテル運営者に貸し、利益の4割~8割程度をオーナーが受け取る仕組み)の土地所有権を取得することはできません。


個人がコンドテルに投資する場合、所有権者については開発会社などを設立し、契約書において購入者の実質的な所有権を担保する形になるのが一般的です。


ベトナムで不動産投資をおこなうメリット

メモ メリット ペン

ここではベトナムで不動産投資をおこなうメリットについて解説します。


人口は依然として増加傾向にある

ベトナムの人口は、9747万 (2021年時点)と、2000年から2020年にかけて年間で平均1.0%の割合で人口が増加しつづけています。


若い世代が全人口の70%を占め、今後の経済成長に有利な状況です。人口が増え、経済の発展・活発化することで不動産価格の上昇が期待できます。

不動産価格が上昇すれば賃料相場も上がるため、より大きなインカムゲインを得るチャンスにつながるでしょう。


不動産価格が安く高利回りが期待できる

下記は、一般財団法人 日本不動産研究所がおこなった『第21回「国際不動産価格賃料指数」(2023年10月現在)の調査結果』にて発表された、各国のマンションや高級住宅(ハイエンドクラス)の価格水準をグラフにしたものです。



引用:一般財団法人 日本不動産研究所

第21回「国際不動産価格賃料指数」(2023年10月現在)の調査結果


これは、東京港区元麻布所在の高級住宅(ハイエンドクラス)のマンション価格を 100.0 とした場合の各都市との比較指数です。

これによるとベトナムのホーチミン市は13.4とかなり低く、バンコクやクアラルンプールなど、ほかのアジアの都市と比べても不動産価格が安いことがわかります。


その一方で、外国人投資家が購入するベトナムの不動産のほとんどが外国人向け賃貸物件であり、賃料はそれなりに高額です。

低価格で購入した不動産を高値で賃貸できるため、高利回りが期待できます。


税負担が少ない

ベトナムの不動産には、日本の固定資産税にあたる税金がないため、税負担が軽いのがメリットです。

ベトナムで不動産投資をおこなった際に課される税金の種類には、以下のようなものがあります。


【不動産の購入時に課せられる税金】

◦付加価値税(VAT):税率10%(不動産購入時の支払いに含まれる)

◦不動産登記税:物件価格の0.5%


【不動産の保有時に課せられる税金】

◦所得税:所得税5% + 付加価値税5% = 10%(ベトナム非居住者の外国人は一律)

◦営業許可税:年間の賃料収入によって異なる(30万ドン、50万ドン、100万ドンのいずれか)


【不動産の売却時に課せられる税金】

◦譲渡税:売却価格の2%

◦印紙税:売却価格の0.5%


税金ではありませんが、物件購入時に修繕積立金として物件価格の2%(原則として一括払い)を支払います。また不動産を所有中に管理費がかかる物件もあります。

修繕積立金や管理費の有無、金額は物件によって異なるため、購入前に確認しておくとよいでしょう。


ベトナムで不動産投資をおこなうリスクと注意点

リスク 黒板 イーゼル



ここではベトナムの不動産投資における、リスクと注意点について解説します。


規制や制度が変更になる可能性がある

外国人がベトナムの不動産を所得する際は、ベトナム側の定めた規制や制度に従う必要があります。しかし、それらの規制や制度が急に変更される可能性もゼロではありません。


ひとたび規制などが変わってしまうと、想定通りの収益を上げられない可能性もあるため注意が必要です。

ベトナムの不動産や法律などの情報に精通した現地のエージェントと連絡を密にしておき、規制や制度の変更があればすぐに教えてもらえるようにしておくと安心です。


ベトナムの金融機関でローンを組むのはむずかしい

日本の不動産投資は、金融機関から融資を受けてはじめるのが一般的です。ローンを組むことで、少ない自己資金でレバレッジを効かせた投資をおこなえるのが、不動産投資最大のメリットといえるでしょう。


しかし、ベトナムでは金融機関から融資を受けて不動産を購入するのは一般的ではないようです。金利も8%~10%程度と非常に高く、レバレッジを効かせた投資もできないため、ローンを利用するメリットが少ないのが現状です。



また外国人がベトナムの現地金融機関で融資を受けるためには、交渉や手続きをする際の言葉の壁があるため非常にハードルが高く、高金利と相まって融資を受けるのは現実的ではありません。そのため、購入資金は全額自己資金対応となることが多いです。


もしベトナム現地の金融機関を利用する場合は、融資をおこなっている金融機関や融資基準、融資実績などをあらかじめ確認しておきましょう。


物件の完成が遅れることがある

ベトナムでは、資金不足やプロジェクトの採算性などを理由に建築プロジェクトが凍結されるケースが多数存在します。


もしプロジェクトが中断してしまった場合、物件が引き渡されないだけでなく、支払ったお金が返ってこない可能性も高いです。


そういった自体を避けるためにも、新築物件を購入する際は、プロジェクトに関わっている会社の信頼度や、プロジェクトが実現できるかどうかなどをしっかりリサーチすることをおすすめします。


日本へ海外送金するための手続きが煩雑

ベトナムから日本へ海外送金する際の手続きには、納税証明書や賃貸許可証など多くの書類が必要となり、それらを準備しなくてはなりません。また送金理由についても4明確に記入する必要があります。


ベトナムの大手銀行の場合は比較的スムーズに送金できますが、それでも日本から海外送金するよりも手続きが煩雑です。

ようやく手続きを終えても、着金までに時間がかかるケースもあるため、ベトナムから日本へ送金する場合は、日数に余裕を持って手続きをしましょう。


現地調査や翻訳に費用が発生する

ベトナムをはじめ、海外の不動産投資を検討する際には、コンサルタント会社に依頼したり、現地調査に赴いたりすることもあるでしょう。


その場合、「コンサルタントフィー」をコンサルティング会社に支払う必要があります。また実際にベトナムで現地調査をおこなう場合は、飛行機代やホテル代、食事代などがかかります。

それ以外にも、売買契約の締結時に契約書の日本語翻訳版を依頼すると翻訳料が発生します。


こういった費用が必要になるケースもあるということも、注意点として覚えておきましょう。


海外不動産投資詐欺の可能性がある

海外不動産投資物件に関する詐欺行為にも注意が必要です。

海外不動産は現地調査がしにくいこともあり、実際の物件価格よりも高い値段で海外不動産を販売したり、実態のない不動産を売買し、代金を持ち逃げしたりといった悪質な詐欺もめずらしくありません。


こういった海外不動産投資詐欺を避けるには、現地のエージェントに調査を依頼するか、自分自身で現地確認をおこなう必要があります。

また、信頼できる日本の不動産投資会社を利用することで、安心して海外不動産の売買がおこなえるでしょう。


海外不動産にかぎらず詐欺の多くは、メリットばかりを強調したり、しきりに契約を急かしたりする傾向があります。

詐欺被害にあわないためには、とにかく安易に契約を交わさないことが大事です。


納得できるまで質問し、どうしても納得できないときは「一度考えます」とその場を離れるなどして、それ以上話をすすめないようにしましょう。


関連記事:不動産投資の詐欺手口と対策方法!要注意なセールストークとは


ベトナムの不動産投資でおすすめの都市

ベトナム ホーチミン ピンク色のビル


不動産投資で成功するためには、物件の立地は非常に重要です。それはベトナムでも変わりません。できるだけ賃貸需要が高いエリアの好立地物件を購入する必要があります。


海外不動産に投資する場合、まずどこの都市に物件を購入するか決めることになりますが、ベトナムの場合、外国人投資家が投資先に選ぶ都市は「ホーチミン」か「ハノイ」のどちらかです。


それぞれの都市について紹介します。


ホーチミン

ホーチミンはベトナム随一の商業都市であり、高層ビルや商業施設が多く見られ、ベトナム経済の中心地として非常に活気があります。ま

たホーチミンには多くの外資系企業が拠点を置いているため、外国人も多く住んでおり、コンドミニアムなどの賃貸需要も高いです。


そんなホーチミンのなかで、もっとも賃貸需要が期待できるのが、ホーチミン1区のレタントン(Le Thanh Ton)周辺のコンドミニアム物件です。

レタントン周辺には日本人が多く住んでおり、日本人街としても知られています。そのため日本人駐在員の賃貸需要が期待できます。


また日本人学校があるホーチミン7区は、ファミリー世帯の日本人に人気のエリアです。日本人駐在員に賃貸するのであれば、1区または7区のコンドミニアムを狙いましょう。


ハノイ

ベトナムの北部に位置する首都ハノイは、ホーチミンの規模には劣りますが、政府機関や大使館などが集まっている関係で、やはり外国人の賃貸需要が高い都市です。

フランス統治時代の面影を残し、また中国に比較的近い立地と相まって、独特な雰囲気を持つベトナム有数の観光地のひとつです。


ハノイでおすすめのエリアは、日本人街があるバーディン区です。日本食レストランや日本の食材が購入できるスーパーなどがあり、日本人駐在員に人気のエリアとなっています。


また、大学や集まったコウザイ区も賃貸需要の高いエリアです。西隣のナムトゥリエム区には日本人学校があり、日本のIT企業も数多く進出している地区なので日本人にも人気があります。


分譲コンドミニアムと大型のショッピングモールなどの複合型ビルも多く、また近隣には大きな公園もあるので、余暇にもぴったりなエリアとしておすすめです。


まとめ

ベトナムで不動産投資をする際は、さまざまな規制があるため注意が必要です。またそれらの規制や制度が突然変わることもありうるため、情報源として現地のエージェントと連絡を密にしておくとよいでしょう。


また、ベトナムでは建築プロジェクトが中断してしまい、物件の引き渡しもされず、支払ったお金が戻らないなどの報告も聞こえています。さらに海外不動産投資詐欺の被害例もあります。


ベトナムで不動産投資をおこなう場合は、信頼のおける物件かどうか、しっかり見きわめることが重要です。

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