不動産投資の仲介手数料には上限額がある!仕組みや計算方法を解説
2024/01/05

不動産投資の仲介手数料には上限額がある!仕組みや計算方法を解説

不動産投資の仲介手数料とは不動産投資の仲介手数料の上限額と計算方法仲介手数料上限額の計算方法上限超えの仲介手数料を請求された際の対処法不動産投資で仲介手数料を節約する方法仲介手数料を支払うタイミングはいつ不動産投資の売買で仲介手数料以外に発生する初期費用不動産取得税印紙税登録免許税司法書士への報酬融資事務手数料・融資保証料損害保険料頭金清算金まとめ

不動産売買の契約が成立すると、仲介をした不動産会社(仲介業者)に仲介手数料を支払う必要があります。不動産物件は高額なため、仲介手数料も高額になりがちです。

ただし、不動産売買時に発生する仲介手数料には上限が決められています。


今回は仲介手数料の仕組みや計算方法、上限額などについて解説します。

これから不動産の購入を検討する人は、ぜひ参考にしてください。


不動産投資の仲介手数料とは

仲介手数料 木 コイン


不動産の売買が成立した際に、取引の仲を取り持ってくれた不動産会社(不動産仲介業者)に対して支払う成功報酬を「仲介手数料」といいます。


仲介手数料は、売り手・買い手がそれぞれ仲介を依頼している不動産会社に対して支払うのが一般的です。

売り手・買い手が同じ不動産会社に仲介を依頼していた場合には、ひとつの不動産会社が売り手・買い手の双方から仲介手数料を受け取るケースもあります。


たとえば、不動産の売り手Aが不動産会社Bに物件の売却を依頼し、買い手Cが見つかり成約した場合、売り手Aと買い手Cは不動産会社Bに仲介手数料を支払います。


このようにひとつの不動産会社が売り手・買い手の両方と取引するケースを「両手仲介」と呼びます。


一方、売り手A自身で買い手Cを見つけて売却した場合は、不動産会社を間に挟んでいないため、仲介手数料は発生しません。

また不動産会社に対して物件を売却した場合や、不動産会社が所有する物件を購入する際も仲介手数料は発生しません。


なお詳しくは下記『不動産投資の仲介手数料の上限額と計算方法』で解説しますが、仲介手数料には上限額が定められています。また不動産の種類(投資用不動産、居住用不動産、土地、建物など)によって上限額が異なることもありません。



不動産投資の仲介手数料の上限額と計算方法

仲介 浮いている ブロック

不動産売買の仲介をおこなった不動産会社(仲介業者)が受け取る仲介手数料は物件価格によって異なりますが、宅地建物取引業法により上限額が定められています。

そのため不動産会社や仲介業者が上限額を超える仲介手数料を請求した場合は法令違反となり、上限額を超えて請求された場合は拒否できます。


ここでは仲介手数料の上限額の計算方法と、上限額を超えて請求された場合の対処方法を解説します。


仲介手数料上限額の計算方法

仲介手数料の上限額は、以下のように売買代金によって3つに区分けされています。

(なお、物件価格はいずれの税抜きです)


◆不動産の売買額が400万円を超えた場合

物件価格×3%+6万円+消費税


◆不動産の売買額が200万円超~400万円以下の場合

物件価格×4%+2万円+消費税


◆売買代金が200万円以下の場合

物件価格×5%+消費税


たとえば、売買価格1,000万円の不動産売買の土地引きが成立した場合、その仲介手数料の上限額は売買価格×3%+6万円+消費税です。


1,000万円 × 3% + 6万円 × 消費税 = 396,000円


この場合の仲介手数料の上限は396,000円となり、それ以上の仲介手数料を請求された場合は法令違反となります。


ただし、不動産会社に出張や特別なサービスなどを依頼し、費用が発生した場合は上限額を超える仲介手数料が請求されるケースがあります。


  • 遠方の物件を売却する際に発生した管理費や交通費など
  • 遠方の購入希望者と交渉する際に発生した出張費や交通費など
  • 売り手が特別に広告をいらした場合に発生した広告宣伝費
  • 解体費用や廃棄物処分費用、測量費用など

いずれの費用も売り手と不動産会社のあいだで相談したうえで支払いが決まります。

なお法令で定められているのは上限額のみで、下限額については設定されていません。

値引きしたい場合は仲介業者と交渉することも可能です。


上限超えの仲介手数料を請求された際の対処法

不動産会社や仲介業者に費用の発生や特別なサービスを依頼していないにも関わらず、上限を超える仲介手数料を請求された場合は支払いを拒否できます。


また悪徳不動産会社の可能性もあるため、再発防止のために各都道府県に設置されている宅地建物取引業免許についての窓口や宅地建物取引業保証協会などの業界団体に連絡することをおすすめします。


不動産投資で仲介手数料を節約する方法

以下の場合は不動産売買が成立した場合でも仲介手数料が発生しません。


h4不動産会社(仲介業者)を介さず、売り手と買い手が直接売買した場合

不動産会社や仲介業者を介さずに売り手と買い手が直接不動産を売買した場合、仲介手数料は発生しません。


ただし個人同士の取引の場合、物件の調査や契約など、すべて自分でおこなう必要があります。その際は専門的知識も必要になるため、不動産投資に詳しくない人にはかなりハードルが高くなるため、不動産売買に慣れていない人にはおすすめできません。


不動産会社が所有する不動産を直接購入した場合

不動産会社が直接物件を売る場合には「仲介」がおこなわれないため、仲介手数料は発生しません。


個人所有の不動産を購入したのが不動産会社の場合

不動産会社が直接物件を購入する場合にも「仲介」がおこなわれないため、仲介手数料は発生しません。


仲介手数料を支払うタイミングはいつ

仲介手数料は売買価格が決定しないと算出できませんし、不動産の売買が成立するまでは支払う必要がありません。

そのため売買契約時に半額を、引渡し時に残りの分を支払うのが一般的です。


不動産投資の売買で仲介手数料以外に発生する初期費用

一万円札 家 囲む


不動産を売買する際には、仲介手数料以外にも以下のような諸費用が発生します。これら諸費用に加えて、物件購入代金の「頭金」を含めたものが「初期費用」になります。


初期費用額のおおよその目安は、諸費用が物件価格の5%~10%程度、頭金は物件価格の1割~3割程度です。ただし、購入する不動産物件の価格や融資額、個人属性、物件の収益性・担保開智などによって変動します。


◆不動産取得税:固定資産税評価額×3% (令和6年3月31日まで。土地および住宅)

◆印紙税:物件価格によって異なる(1,000万円超5,000万円以下の場合1万円~)

◆登録免許税:土地・建物の1.5%

◆司法書士への報酬:10万円~15万円程度が目安

◆融資事務手数料:借入金額の1~3%程度

◆融資保証料:借入額の2%程度

◆損害保険料:火災・地震保険など。建物の構造や面積によって異なる

◆頭金:物件価格の1割~3割程度が目安

◆清算金:固定資産税、修繕積立金など。物件引き渡しのタイミングなどによって異なる


それぞれ詳しく解説します。


不動産取得税

不動産を購入した場合、「不動産取得税」が発生します。不動産所得税は以下の計算式で課税されます。


【不動産取得税の計算式】

不動産取得税 = 固定資産税評価額 × 税率4%(標準税率)


ただし特例により、2024年(令和6年)3月31日までは、土地および住宅の場合は標準税率が3%に軽減されます。

なお、不動産所得税の課税率については各自治体によって異なる部分があるので、詳しくは各自治体で確認してください。


印紙税

10万円以上の売買取引で紙媒体の不動産売買契約書には「印紙税」が必要です。印紙税額は、下記のように売買契約の金額により異なります。



なお、不動産の譲渡に関する契約書のうち、記載金額が10万円を超えるもので、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものは軽減措置の対象となります。


登録免許税

不動産登記にかかる税金です。

不動産(土地・建物)を購入した際には「所有権移転登記」をそれぞれおこないます。

なお新築物件を購入する際は「所有権の保存登記」を、金融機関から融資を受ける場合は「抵当権設定登記」も必要になります。


なお登録免許税額は、固定資産税評価額に対して下記の税率が課税されます。


【登録免許税の税率】

◆土地の売買による所有権移転登記 : 2%(令和5年3月31日まで1.5%)

◆建物の売買による所有権移転登記 : 2%

◆所有権の保存登記        : 0.40%

◆抵当権設定登記         : 0.40%


司法書士への報酬

前述のように、不動産物件を購入した場合は登記手続きが必要です。登記申請はだれがおこなってもかまいませんが、手続きが複雑であり、必要となる書類の数も多いため、司法書士に依頼するのが一般的です。

司法書士事務所などによって報酬額は異なりますが、10~15万円程度が相場になります。


融資事務手数料・融資保証料

投資用不動産を購入するにあたって、金融機関の不動産投資ローンを利用する際は、ローン手続きのための「融資事務手数料」が発生します。

融資事務手数料は、定額型(借入金額に関わらず一定の金額を支払う)と、定率型(借入金額に対して設定された割合で事務手数料を支払う)の2種類のうち、どちらかを選びます。


おおよその目安は、定額型の場合は3万円~10万円程度、定率型で1%~3%程度になります。ただし、いずれも金融機関によって金額や割合が異なるため、融資を受ける金融機関に詳しい数字を確認しましょう。


またローンを利用する際は貸し倒れを防ぐためにローン保証会社と契約します。その場合は保証会社に「融資保証料」を支払います。

融資保証料の目安は、借入時に一括で借入金額の2%ほどを支払うか、毎月の返済額に0.2%~0.3%ほどを上乗せした利息を支払います。


融資保証料額については、ローン契約者の個人属性や返済期間などによって異なります。また保証料不要という金融機関もあるので、融資を受ける金融機関に詳細を確認しましょう。


損害保険料

不動産投資には火災や地震、風水害などの災害リスクがあります。それらの対策として不動産物件を所有する場合はかならず火災保険や地震保険など、必要な保険に加入しましょう。


なお地震保険は単独では契約できないため、火災保険とセットで加入します。また借入先の金融機関によっては保険加入が融資条件となることもあります。


保険料は保険会社によって異なり、建物の評価額や構造、築年数、補償内容によって変わってきます。1年ごとに支払うこともできますが、5年、10年程度の長期分を一括で払うことで1年あたりの保険料が割安になるためおすすめです。


頭金

不動産を購入にあたって、不動産投資ローンを利用する場合は「頭金」を入れるが一般的です。


頭金の額に決まりはありませんが、頭金が多ければ多いほど融資審査通過に有利に働きます。

たとえば個人属性があまりよくない場合、頭金を多めに入れることで借入額が少なくなるため、融資審査に通りやすくなります。


頭金の目安は物件価格や個人の属性、物件の収益性などによって異なりますが、物件価格の1割~3割程度が一般的です。


清算金

年度の途中で不動産物件の売買がおこなわれた場合、不動産物件の引き渡し以降分の税金(固定資産税など)や修繕積立金などは日割り計算して買い手が売り手に「清算金」として支払うのが一般的です。


まとめ

仲介手数料は、不動産の売買が成立した際に、取引の仲を取り持ってくれた不動産会社や不動産仲介業者に対して支払う成功報酬です。


そのため、不動産会社や不動産仲介業者を介さずに個人同士で取引した場合には、仲介手数料は不要です。また不動産会社の所有する不動産を購入した場合や、不動産会社に不動産を売却した場合も同様です。


なお仲介手数料は宅地建物取引業法により上限額が定められているため、不動産会社が上限額を超える仲介手数料を請求した場合は法令違反となり、上限額を超えて請求された場合は拒否できます。


不動産は売買金額が大きいため仲介手数料も高額です。余計な手数料を支払わずに済むよう、仲介手数料の上限額を計算しておくとよいでしょう。

一覧に戻る