不動産投資ローンと持ち家(住宅ローン)優先すべきは?違いも解説
2023/03/06

不動産投資ローンと持ち家(住宅ローン)優先すべきは?違いも解説

不動産投資ローンと持ち家の住宅ローンの違いとは?融資の審査内容が違う融資の上限額が違う融資可能年齢の範囲が違い金利が違う優先するのは不動産投資ローン?持ち家の住宅ローン?迷ったときの判断ポイント不動産投資ローンを先にすることで融資上限額が増加する可能性がある不動産投資を先にすることでダブルローンの共倒れリスクを避ける選択できる持ち家の幅を広げたい場合は住宅ローンを先に組んでもOK賃貸併用住宅を検討するまとめ

「持ち家」や「不動産投資用物件」の購入は、人生のなかでもっとも大きな買い物のひとつと言えるでしょう。高額の不動産を購入するにあたっては金融機関のローンを利用するのが一般的です。

ただし利用するローンの種類は、持ち家と不動産投資用物件で異なります。


またこれから、持家の購入と不動産投資を検討している人のなかには、どちらを優先するか迷っている人も少なくないようです。


そこで今回は、不動産投資ローンと持ち家を購入する際に組む住宅ローン、どちらを先に組めばよいか、また不動産投資ローンと住宅ローンの違いについて解説します。

この機会にふたつのローンの違いをしっかり把握しておきましょう。


不動産投資ローンと持ち家の住宅ローンの違いとは?

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不動産投資ローンと住宅ローンは、どちらも不動産購入のために金融機関からの「借入金」ですが、その利用目的は大きく異なります。


不動産投資ローンは賃貸アパート経営や賃貸マンション経営という第三者に部屋を賃貸し賃料を得る「事業」に対する融資ですが、住宅ローンは自分や家族が暮らすための「持ち家」を購入する際に受ける融資です。

それ以外にも、このふたつのローンには異なる点がいくつか存在します。ここでは、その違いについて詳しく解説します。


融資の審査内容が違う

住宅ローンは、「個人属性」をもとにローン返済能力の有無を審査されます。属性とは「融資申込者の社会的背景と経済的背景」のことを指し、融資条件を決める重要な指標として使われており、おもに以下の項目について審査されます。


【おもな個人属性項目】

  • 年収

安定した収入があるかどうか審査されます。高収入の人はとくに審査で有利になる可能性が高く、高収入でも歩合給など月々の収入が安定してない場合は審査に不利になる場合があります。


  • 勤務情報(勤務先名・規模、雇用形態、勤続年数、役職など)

安定性の高い勤務先や職業ほど審査に通りやすくなる傾向が強いです。とくに公務員や上場企業・有名企業の正社員、弁護士や医師など国家資格の専門職も審査時に有利になりやすく、また同じ勤務先でも勤続年数が長い人のほうが評価されやすいです。


  • 資産状況、信用情報(預貯金や株などの資産の額、借入の有無・残債など)

預貯金や株式などの保有資産が多い人は、万一ローン返済が滞っても自己資金から返済できる能力があるとみなされるため融資審査に有利になりやすいです。


また既存借入金額も審査項目にあげられます。ほかのローン借入額はもちろん、消費者金融からの借入金額やクレジットカードのキャッシング利用金額などが多すぎたり、滞納があったりすると融資審査に不利になる可能性があります。



上記以外にも家族構成や現住所の居住期間などが審査され、最終的な融資条件が決定されます。


一方で不動産投資ローンの審査では上記の個人属性に加えて、融資対象であるアパートやマンションなどの収益物件の「資産価値」や「担保性」が検討されます。

金融機関は、公示地価や路線価、固定資産税評価額、物件の耐用年数や実質利回りも考慮したうえで収益物件の価値をはかり、最終的な融資条件を決定します。


不動産投資ローンの審査内容について詳しくはこちら!>>不動産投資ローンを扱う銀行の金利相場や審査難易度の目安を比較


不動産ローン審査の個人属性について詳しくはこちら!>>不動産投資に向いている人の特徴を性格面と属性面から徹底解説!


融資の上限額が違う

一般的な住宅ローンの融資限度額はローン契約者の年収の約7倍程度と言われています。年収500万円のひとであれば、3,500万円までなら住宅ローンを受けられる可能性があると考えられます。


対して不動産投資ローンの融資限度額は年収の10倍程度が一般的です。個人属性や物件の資産価値や担保性によっては、年収の20倍ほどの融資を受けられる可能性もあります。

年収500万円であれば、5,000万円から最高で1億円までの融資を受けられる可能性があるのです。


住宅ローンと不動産投資ローンの上限額の差は、返済原資の違いによるものです。返済原資とはローン返済にあてる資金を指します。

住宅ローンの返済は、おもに毎月の給与収入と貯蓄を想定しています。


一方、不動産投資ローンは基本的に融資対象の収益物件から得られる賃料でローン返済がおこなわれますが、そこに融資申込者の年収と資産が加算されるため融資上限額が高く設定されているのです。


融資可能年齢の範囲が違い

持ち家を購入する場合の住宅ローンと、収益物件を購入するために利用する不動産投資ローンは、ローン契約者の年齢制限にも違いがあります。


住宅ローンの多くは、借入時の最低年齢は20歳以上、完済時期の上限は75歳~80歳程度までとされています。

また住宅ローンのおもな返済原資が給与収入となるため、ローン申込時の年齢上限を65歳~70歳未満程度に設定している金融機関も少なくありません。


一方で不動産投資ローンは、購入する物件や資産状況などにもよりますが、満20歳以上という下限の条件はあっても上限は定められていないことが多いです。


不動産投資ローンのおもな返済原資は家賃収入なので、ローン契約者が死亡したとしても収益物件からの家賃収入は継続して入り、ローン返済も滞りません。そのため不動産投資ローンの申し込み時や返済時年齢の上限を定める必要がないのです。


ただし、不動産投資ローンも住宅ローンも、金融機関によってローン利用者の年齢制限は異なります。いずれのローンも申し込む場合はかならず年齢制限などの確認をおこないましょう。


金利が違う

金利面でも、住宅ローンと不動産投資ローンには大きな違いがあります。

住宅ローンの金利は年利1%未満~2.0%台と低金利に設定されていますが、不動産投資ローンの年利は1%台~5%台と幅が広く、また金融機関によっても差があります。とくに融資審査がゆるいノンバンクではさらに高い金利が設定されているケースも少なくありません。


住宅ローンに比べて不動産投資ローンの金利が高い理由は、融資額が大きいことに加えて「事業計画通りに賃料収入が得られる保証がない」ことから貸し倒れのリスクを想定したうえでのことです。


優先するのは不動産投資ローン?持ち家の住宅ローン?迷ったときの判断ポイント

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不動産投資ローンと住宅ローンを併用して、それぞれの不動産を購入することは可能ですが、先に借りたローンの借入額や返済期間によっては、後に組むローン審査に不利になってしまう可能性があるため注意が必要です。


できるだけ不利な状況を避けたいのであれば、不動産投資ローンを先にすることをおすすめします。ここでは不動産投資物件と持ち家のどちらを先に購入するべきか迷った際の判断ポイントについて解説します。


不動産投資ローンを先にすることで融資上限額が増加する可能性がある

不動産投資ローンを利用して不動産投資用物件を購入し、賃貸経営をおこなうことで家賃収入が発生します。金融機関が家賃収入を年収とみなすことで年収が増加し、それにともなって融資上限額の引き上げが期待できます。


不動産投資で年収が増加すれば、結果的に住宅ローンの借入をおこないやすくなる可能性が高まるのです。


ただし金融機関によって審査に対する考え方の違いがあるため、家賃収入を年収とみなさないケースも考えられるため、あらかじめ金融機関の担当者に確認しておくとよいでしょう。


不動産投資を先にすることでダブルローンの共倒れリスクを避ける

不動産投資ローンと住宅ローンの両方を借りることを前提に考えた場合、ダブルローンのリスクを避ける意味でも不動産投資ローンを先に組むのがおすすめです。


万一収益物件の家賃収入が想定したとおりに得られず、キャッシュフローがマイナスになる場合、不動産投資ローンの返済を給料や貯蓄でまかなうことになります。その場合、住宅ローンの返済が大きな負担になるでしょう。


収益物件の収支がプラスにならないかぎり持ち出しが増え、やがて不動産投資ローンだけでなく住宅ローンの返済も困難になると、最悪の場合は収益物件と持ち家のどちらかを手放すことになりかねません。

物件を売却しても売却金額でローン残債を支払えなければ、負債だけが残ることになるのです。


残債のある物件の売却について詳しくはこちら!>>不動産投資でローン残債がある物件も売却可能!注意点や流れを解説


先に不動産投資をはじめた場合、賃貸経営がうまくいっていなければ住宅ローンは組めないため、ダブルローンの滞納リスクを回避できるでしょう。


選択できる持ち家の幅を広げたい場合は住宅ローンを先に組んでもOK

ローンを借りる面から考えた場合は不動産投資ローンを優先するのがおすすめですが、持ち家の立地などを優先したいのであれば、住宅ローンを先に組んで持家を購入しても問題ありません。


住宅ローンを先に利用することで、融資枠に余裕があるので、選択できる住宅の幅が広がります。たとえば子供の学校が近い子育てに適した住環境がよい閑静な住宅街など、立地や価格面で気に入った持ち家を選べます。


また住宅ローンの融資審査は不動産投資ローンに比べて通りやすいため、希望通りの融資を受けられる可能性も高いです。


ただし、住宅ローンを利用して先に持ち家を購入した場合、住宅ローンの借入金はそのまま負債として審査されてしまいます。そのため、本来不動産投資ローンで受けられる融資額から住宅ローンの残額分が減額され、希望額の融資を受けられない場合や金利を高く設定されてしまうといったおそれがあります。


一般的に不動産投資ローンは住宅ローンより審査がきびしいと言われています。限られた融資限度枠内で融資審査を通過できるような収益性が高い優良物件を見きわめる必要があるため、融資審査のハードルが高くなることが予想できるため注意しましょう。


賃貸併用住宅を検討する

賃貸併用住宅とは、持ち家として自己居住用部分と賃貸部分の両方を併せ持つひとつの建物を指します。


賃貸併用住宅のメリットは、自己居住用部分を51%以上にするなど一定の要件を満たすことで不動産投資ローンではなく、低金利の住宅ローンを利用することができます。

またふたつ建物を別々に建築するのに比べると建築費用や土地取得費用が安くなるため、費用をおさえられます。

さらに家賃収入を住宅ローンの返済に充てることが可能です。


ただし賃貸併用住宅にはデメリットもあります。

まず、建物全体を賃貸物件にした場合と比べて賃貸部分が少ないため、家賃収入が減少する点です。

賃貸併用住宅は賃貸需要のある立地に建築・取得する必要があります。そのためオーナーである自分の住みたいエリアとは違う場所に建築しなくてはならないケースがデメリットとして考えられます。


また賃貸併用物件は、収益物件としても持ち家としても中途半端と判断されてしまい、売却。がむずかしくなる場合があります。出口戦略として売却を前提に考えるのであれば、設計段階から売却を意識した間取りや設備などを備えておくとよいでしょう。


住宅ローンで不動産物件の購入はNG!

不動産投資用の物件を購入するためには、原則として不動産投資ローンを利用しなければなりません。住宅ローンを利用して不動産投資物件を購入することは不正利用にあたり、不正利用が発覚した場合は「契約違反」と判断され処分の対象になるため注意が必要です。


だだし、住宅ローンの返済中に転勤などで所有者や家族が居住できなくなった場合は、自宅の賃貸が認められる可能性があります。転勤などで持ち家を賃貸したい場合は、まずはローンの借入れをしている金融機関に相談することをおすすめします。


まとめ

不動産投資ローンと持ち家の購入に利用する住宅ローンについて、それぞれの違いと優先する場合の考え方について解説しました。


収益物件に利用される不動産投資ローンと、持ち家の購入に使われる住宅ローンを比較してみると利用目的だけでなく、融資審査の内容や融資上限額、金利など異なる部分が非常に多いことがわかります。


なお、不動産投資用物件を住宅ローンで購入することはできません。万一発覚した場合は処分の対象になるため、不動産投資用物件を購入する際は、かならず不動産投資ローンを誓いましょう。


また先に借りたローンの借入額や返済期間によっては、後に組むローン審査に不利になってしまう可能性があるため注意が必要です。

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