不動産投資を大学近くでおこなう際の注意すべきポイントを解説!
2023/01/02

不動産投資を大学近くでおこなう際の注意すべきポイントを解説!

大学近くで不動産投資をおこなうメリット入退去のサイクルが見通せて安定した入居率が期待できる家賃滞納の可能性が低い収益性が高い間取りにできる大学近くで不動産投資をおこなうデメリット少子化で学生数が減り、大学の撤退・移転のリスクがある近隣の賃貸物件と競合しやすい原状回復のサイクルが早い大学近くでおこなう不動産投資を成功させるための注意ポイント学生需要にだけにかたよらない工夫をする保護者に安心感を与える物件をつくる競合物件との差別化を検討する近隣の大学と提携している不動産仲介会社を選ぶ大学生協に仲介を協力してもらうまとめ

不動産投資で成功するには「好立地」の物件を選ぶことが必須です。大学近くのエリアは、そんな好立地物件のひとつですが、最近では少子化による大学の縮小や移転のため、賃貸経営に苦戦するケースも増えています。

では、大学近くの立地が不動産投資に向かないかというと、そんなことはありません。依然として大学周辺は好立地として不動産投資に向いているエリアです。ただし、いくつかのポイントに注意する必要があります。


今回は大学近くでおこなう不動産投資について、メリットとデメリットを踏まえながら、注意すべきポイントを解説します。


大学近くで不動産投資をおこなうメリット

大学 キャンパス 上空から撮影

不動産投資の世界では、「大学近くは好立地」と言われていますが、それはなぜなのでしょうか。ここでは、大学近くで不動産投資をおこなう際に得られるメリットを紹介します。


入退去のサイクルが見通せて安定した入居率が期待できる

大学近くの賃貸物件は、通学に時間やお金をかけたくない学生に選ばれやすく、安定した入居率が期待できます。


また入居者が学生の場合、基本的に大学を卒業するまで入居が見込めます。社会人をターゲットにした物件は入居者がいつ退出するか予測するのは非常に困難であり、急に退去されてしまうと家賃収入が減ってしまい、収支が悪化する恐れがあります。


しかし学生の場合、通常の4年制大学なら4年間、短大であれば2年間というように在学期間=入居期間とみなしやすく、そのあいだは安定した家賃収入が期待できます。また次の入居者募集のタイミングや原状回復工事のスケジュールを立てやすくなるのもメリットです。


家賃滞納の可能性が低い

大学近くの賃貸物件に学生が入居する場合は、学生の保護者=親が賃貸借契約を結ぶケースがほとんどです。そのため、自活してる学生に比べて家賃を滞納する可能性が低くなります。

とはいえ、家賃滞納のリスクは0%ではないので、入居者となる学生と契約者である親の入居審査はしっかりとおこないましょう。


また最近では家賃保証会社と契約するケースも増えています。万一、家賃滞納があった場合でも、家賃保証会社と契約していれば入居者に代わって滞納された家賃を保証会社が支払ってくれ、家賃の督促もおこなってくれるので大家さんにとってはメリットが大きいです。


ただし、保証会社と契約するには入居者が契約料(家賃の0.5ヶ月分~1ヶ月分程度)を支払う必要があります。入居者の負担が増えるため、敬遠されるケースもあることを覚えておきましょう。


収益性が高い間取りにできる

不動産投資では、敷地内にどういった間取りの部屋を作るかによって収益性は変わります。また世帯が多ければ多いほど収益は多くなります。


そういう意味で考えると、学生をターゲットにした単身向けのワンルームや1Kの間取りのアパートやマンションは一番収益性が高い不動産投資と言えます。

同じ敷地面積でも、部屋数が多いファミリー向けに比べて、より多くの世帯を作れるので高い収益が期待できます。


大学近くで不動産投資をおこなうデメリット

ここでは、大学近くで不動産投資をおこなううえで考えられるデメリットをまとめました。


少子化で学生数が減り、大学の撤退・移転のリスクがある

想定できるデメリットのなかで、最も大きなリスクとして考えられるのが、少子化による学生の減少です。そもそもの人口がすくなくなれば入学者数が減ってしまいます。入学者数が減れば、学部の縮小や場合によっては学部を閉鎖して撤退する可能性は十分考えられます。


実際に、郊外の大学キャンパスの定員割れの学部の立て直しを計るために都心部に校舎を建築し、学生獲得に乗り出す大学が増えているのです。

それによって学生をおもな入居ターゲットにしていた賃貸物件は入居者を確保できなくなり、経営危機に陥るケースもあると聞いています。


なお、2032年には18歳の人口が、2020年時点より14.3%減少するという予測もありますが、一方で高校卒業後の大学や短期大学、専門学校への進学率は上がっています。

参考:文部科学省『令和2年度学校基本調査(確定値)』


今後大学近くで学生をターゲットに不動産投資をおこなう場合は、今後の大学の動きに注意し、縮小や撤退に備えた空室対策が必須となるでしょう。


近隣の賃貸物件と競合しやすい

大学近くのエリアでは、同じように学生をターゲットした競合物件が多くなります。賃貸物件の数が増えすぎると供給過多となり、空室の増加や、家賃の引き下げなどのリスクが増えるおそれがあります。


競合物件に負けないためには差別化を図り、入居付けで負けない物件をつくる必要があります。差別化のアイデアについては、後述する『競合との差別化を検討する』をご覧ください。


原状回復のサイクルが早い

前述したように、学生をターゲットにした賃貸経営は学生の在学期間内は安定した家賃収入が見込めますが、裏を返せば「卒業時には退去する」ことにつながります。


一般の入居者であれば、長ければ十数年にわたって住んでくれることもありますが、学生向け賃貸物件は入退去のサイクルが早いため、その都度退去後の原状回復工事(室内クリーニングや壁紙の貼り替えなど)費用が発生します。


原状回復工事費用をおさえるためには、まず複数の業者から見積もりを取り、料金や内容を比較したうえで、コストパフォーマンスにすぐれた業者に依頼するとよいでしょう。

また、できる部分は大家さんがセルフDIYするなどの工夫も費用削減に効果的です。


大学近くでおこなう不動産投資を成功させるための注意ポイント

ポイント 電球 ブロック

ここでは、大学近くで不動産投資を成功させるために注意したいポイントについて解説します。


学生需要にだけにかたよらない工夫をする

前述したように、特定の大学の学生だけをターゲットにしていると大学の移転などで賃貸需要が激減してしまい、賃貸経営の継続が困難になる可能性があります。そのため、大学が移転しても賃貸経営を維持するための対策が必要です。

具体的な方法には、以下のようなことが考えられます。


・大学病院を併設した医学部のある大学など、移転の可能性が低い大学をターゲットにする。大学病院のスタッフも入居者ターゲットに取り込める可能性がある

・学生以外のターゲットを呼び込める立地(駅から近い、周辺に大型買い物施設があるなど)の物件を選ぶ

・入居条件を緩和する(高齢者や生活保護受給者の受け入れ、ペット可や楽器可物件にする)


物件の立地は簡単に変えることはできません。そのため、最初の物件選びの段階で「もしも」を想定したうえで物件を決める必要があるのです。


また「学生向け」にこだわらず、通常の賃貸物件として考えると、いろいろな空室対策方法が見えてくるはずです。

たとえば郊外の物件であれば、近隣の月極駐車場を確保して「駐車場付き物件」として賃貸することで入居が付きやすくなる場合があります。


保護者に安心感を与える物件をつくる

学生がターゲットの賃貸物件の内見時は、保護者が同伴するケースがほとんどです。そして親元を離れて生活する子供が暮らす環境にふさわしいかどうか、保護者目線で厳しくチェックされます。


よって学生向けアパートの場合は、学生本人だけでなく、保護者に好印象を持ってもらうことが重要です。


特に効果的な設備として、防犯に関する取り組みがあげられます。子供がひとり暮らしをする環境の安全対策は重要なポイントのひとつです。

玄関のオートロックや防犯カメラ、各戸のカメラ付きインターフォンなど、セキュリティ対策が充実した物件は、保護者に安心感を与えて選ばれやすくなります。


また建物や周辺が清潔であることも大事です。内見前には、室内だけでなく、建物の外観や共有部の清掃を念入りにおこないましょう。


競合物件との差別化を検討する

周辺競合物件が多い場合、ライバルに負けない物件をつくりあげる必要があります。そのためには、ほかの物件にない「強み」を見つけて差別化を図りましょう。


古くなった設備などを交換するほか、人気設備ランキングなどを参考にして設備を導入するのも効果的です。


また、留学生を積極的に受け入れることも差別化につながります。

新型コロナウイルスによる自粛期間前から、来日する外国人留学生が増えることは予想されていましたが、コロナウイルスの規制が緩和されたことで海外からの留学生の数も戻りつつあります。このタイミングで留学生を受け入れることで、効果的な空室対策につながることが期待できます。


ただし留学生を受け入れる際には、言葉の壁や生活習慣・ルールに対する考え方の違いついて対策を立てておく必要があります。

そこで役立つのが、大家さんや管理会社に向けた、外国人入居者受け入れ時の実務マニュアルとして、国土交通省で作成した『外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン』です。


ガイドラインには日本語、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、ネパール語、タイ語など全14カ国語で、「入居申込書」、「重要事項説明書」、「賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)」、「定期賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版)」などのサンプルを掲載しています。


また契約時に役立つ各種チェックシートもあるので、外国人留学生を受け入れる際に活用するとよいでしょう。


近隣の大学と提携している不動産仲介会社を選ぶ

賃貸物件の入居者獲得には不動産仲介会社の協力は欠かせません。大学近くで学生をターゲットにした賃貸経営をおこなう場合は、近隣の大学と提携している不動産仲介会社や、学生向け賃貸物件の仲介を積極的におこなっている仲介会社に入居者募集を依頼するといいでしょう


なお学生向け賃貸物件は入退去サイクルが決まっています。多くの場合、4月の入学に合わせて3月下旬には入居したい学生がほとんどでしょう。学生もできるだけよい部屋に入居したいため、早ければ前年の12月あたりから部屋探しを開始するケースもあります。


それに合わせて周辺の競合物件も一斉に入居者の募集を開始するので、その動きに負けないよう、できるだけ早い段階から仲介会社と連携して入居者獲得に動けるよう準備しておきましょう。


大学生協に仲介を協力してもらう

大学によっては、大学生協で自校の学生を対象に賃貸物件を紹介するサービスをおこなっているケースがあります。

大学生協に協力してもらうことで、所有する賃貸物件が部屋探しをする大学生の目に触れるチャンスが増え、入居者を獲得する機会が大きくなります。


まとめ

大学近くでおこなう不動産投資は、学生という一定の入居需要が見込まれる一方で、大学生だけをターゲットにしていると大学の移転などで学生がいなくなると賃貸経営に大打撃を受けてしまう場合があります。


そのため大学近くの好立地物件であっても入居者ターゲットを大学生だけに絞らず、幅広く入居者募集をすることでリスクを回避し、安定した賃貸経営をつづけることが可能です。

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