フリーレントとは?空室対策に効果的な使い方や利用時の注意点を解説
2022/08/17

フリーレントとは?空室対策に効果的な使い方や利用時の注意点を解説

フリーレントは、一定期間発生する家賃を無料にする契約形態です。

引越し費用をおさえたい入居者にとっては大きな魅力ですが、大家さんにとっても空室対策として効果が期待できるのです。


「家賃を無料にしたら損するのでは?」


そんな心配をする大家さんのために、今回はフリーレントを利用することで得られるメリットや効果的な使い方、そして注意点を解説します。


フリーレントとは?

フリーレントとは、賃貸物件の新規入居者を対象に一定期間家賃が無料になる契約形態です。

最近では賃貸物件の検索サイトでも、検索条件として「フリーレント」を選べるようになり、検索結果に表示される件数も非常に多くなりました。


フリーレント期間は1ヶ月~3ヶ月程度が一般的ですが、なかには6ヶ月間家賃無料となるケースもあるようです。


入居者が賃貸物件に入居する場合、敷金や礼金など少なくない初期費用がかかります。

たとえば家賃8万円の賃貸物件に入居する場合、敷金2ヶ月、礼金2ヶ月、仲介手数料1ヶ月、前払い家賃1ヶ月、合計で48万円もの初期費用が必要です。


そのほかにも家賃保証会社の契約料や火災保険料が加算される場合もありますし、加えて引越し料金や家具や家電の購入費用もかかります。

そのため、引越し費用の負担を軽減できるフリーレント物件は、入居者に選ばれやすくなるのです。


このように入居者側にとって大きなメリットのあるフリーレント物件ですが、家賃を無料にする大家さんにとってはデメリットしかないように感じられるかもしれません。

しかし、所有する賃貸物件をフリーレントにすることで大家さん側にもしっかりとメリットが生まれるのです。


次項では、大家さんがフリーレントによって得られるメリットについて解説します。


フリーレントを採用することで大家さんが得られるメリット

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「家賃を無料にしたら、大家側にメリットがないのでは?」と思うかもしれませんが、物件をフリーレントにすることで、大家さん側にも以下のようなメリットがあります。


空室対策として効果が期待できる

引越しにかかる費用は高額なため、少しでも費用負担を減らしたいと考える入居希望者にとって家賃が無料になるフリーレント物件は選ばれやすく、結果的に空室対策につながります。


また、前述のようにフリーレント期間は入居者から家賃を受け取ることはできませんが、それは決して損ではありません。

むしろ、いつ埋まるかわからないまま空室状態にしておくことに比べたら、最初の数ヶ月分の家賃が入らなくとも入居者が決まるのですから、大家さんにとってけっして損にはならないでしょう。


加えてフリーレントは、コストや時間をかけずに実施できます。

一定期間の家賃は得られませんが、別途空室対策費用を捻出しなくても済むのもメリットです。

不動産投資をおこなう上で避けては通れない空室対策方法のひとつとして、フリーレントを検討してみるとよいでしょう。


競合物件との差別化を図れる

競合物件が多いエリアでは、物件の供給過多から空室が増加する傾向が強いです。

しかし、フリーレントを実施することで競合物件との差別化につながり、入居者に選ばれやすくなるのです。


一定期間の入居継続が期待できる

フリーレントは、数か月間家賃を無料にする代わりに、特約として「契約期間中に解約した場合、フリーレント分の家賃の支払いを請求する」などペナルティを設けるのが一般的です。

そのため契約期間中は退去の抑制につながり、一定期間の入居が期待できます。


とはいえ、入居者はフリーレント以外の初期費用をかけて入居したこともあり、よほどの理由がないかぎり契約途中で退去することは稀だと考えられます。

万一、途中で退去してもフリーレント分の家賃を回収できるので、大家さんの利益を大きく損ねる結果にはつながらないでしょう。


家賃を下げる必要がない

競合物件が多かったり、築年数が古かったり、なんらかの要因で入居付けがむずかしくなった場合、家賃を引き下げて入居募集をおこなうのが一般的です。

受け取れる家賃額が減ってしまえばキャッシュフローも減少してしまうため、空室対策方法としての家賃引き下げは最終手段といえるでしょう。


しかし、フリーレントを利用すれば、家賃を下げずに入居者を見つけられる可能性があるのです。

収益と物件の資産価値を維持するうえでフリーレントは、効果的な空室対策方法のひとつと考えられます。


フリーレントの効果的な使い方

空室対策として効果が期待できるフリーレントですが、その効果を最大限に発揮するのに適したタイミングがあります。

ここでは、フリーレントの効果的な使い方を紹介します。


長期間空室なのに空室対策費用をかけられないとき

空室を埋めるためにはリフォームやリノベーション、最新設備の導入など、なんらかの空室対策が必要ですが、資金面などの関係からコストのかかる空室対策がおこなえないこともあるでしょう。


しかし、フリーレントであれば費用をかけることなく、空室対策としてすぐに実施できます。

いつ入居者が決まるかわからない状態のまま空室期間がつづくよりは、1ヶ月分の家賃をフリーレントにして早く入居者を決めたほうが、その後の賃貸経営にもプラスに働くでしょう。


ただし、空室期間が長期だった物件のフリーレント期間はできるだけ短く設定しましょう。

空室期間が長引いてる物件を長期フリーレントにしてしまうと、家賃収入が得られない期間がさらに延びてしまい、キャッシュフローの悪化に拍車をかけるため注意が必要です。


新築物件の入居者募集時

新築物件は、すぐに入居者で埋まるイメージがあるかもしれません。

しかし、新築物件の家賃は「新築プレミアム」として相場よりも高く設定されることが多く、そのためすぐに満室にならないことがあります。


そこで新築物件をフリーレントにすると、周辺の家賃相場よりも高めでも新築効果+お得感が出るため入居が付きやすくなります。

さらにフリーレントで入居した場合は解約ペナルティの特約により、一定期間は入居の継続が期待できるため、その間はずっと新築プレミアムの家賃を受け取ることができるのです。


フリーレントを導入する際の注意点


賃貸借契約書 印鑑 家

大家さんにとって、入居者にとって、メリットのあるフリーレントですが、導入する際にはいくつか注意したいポイントがあります。


フリーレントの期間設定に注意する

フリーレント期間中は、当然ですが家賃を受け取ることができません。

そのため、入居付けに有利だからといって、フリーレント期間を長期にしてしまうと収益が下がり、キャッシュフローの悪化につながるリスクがあるため注意が必要です。


フリーレントを導入する際は「年間の収益性にどのくらいの影響があるか」について、しっかりシミュレーションをおこなう必要があります。

また、「フリーレントの効果で空室期間をどれだけ短縮できたか」という効果の確認も必要です。


収益の影響や効果を確かめながら、フリーレントに適した期間や導入のタイミングを見計らったうえで上手に活用しましょう。


フリーレントにするタイミングに注意する

フリーレントで入居者募集をおこなうタイミングには注意が必要です。

たとえば、前の入居者の退去直後にフリーレント物件で入居者募集をおこない、すぐに入居者が決まった場合、もしかするとフリーレントなしでも契約が成立していた可能性も考えられます。


その場合大家さんは、フリーレントにした効果を実感できず、却って「家賃〇ヶ月分損した」と感じてしまうかもしれません。


そうならないためにも、フリーレントを導入する際は空室期間やキャッシュフローなどを考慮したうえで、適切なタイミングで実施するとよいでしょう


契約書に短期解約のペナルティを明記する

前述のようにフリーレント物件への入居時は、特約として契約期間内の解約にはペナルティを設けるのが一般的です。

しかし、契約時にこの特約について入居者が理解していない場合、解約時のトラブルにつながることがあるため注意が必要です。


解約時のトラブルを回避するためには、賃貸借契約書にフリーレント特約として「契約期間」と「契約期間内に解約した場合のペナルティ」を盛り込んでおくことが重要です。

その際は、日付やペナルティとなる金額(家賃額×〇ヶ月分など)について、だれが読んでも勘違いできないくらい明確に記載しましょう。


なお、フリーレントの解約トラブルで多いのが、「違約金の説明を聞いていなかった」というパターンです。

そのため、賃貸契約締結時にはフリーレント特約について口頭で説明し、入居者がきちんと理解したかどうか確認するとよいでしょう。


フリーレントになるのは家賃のみ

フリーレントで無料になるのは基本的に家賃のみです。

共益費(管理費)が家賃に含まれている場合は別ですが、家賃とは別になっている共益費(管理費)はフリーレント期間中でも入居者に支払ってもらう必要があります。


共益費(管理費)も含めて「家賃」と思っている人もいるため、勘違いされないよう、入居者募集要項などにしっかりと記載しておきましょう。


フリーレントの会計処理の方法について

フリーレントで賃貸借契約を結んだ場合、入居者はいるのに家賃収入はない状態です。

その場合の会計処理には、以下のように2種類の方法があります。


1:フリーレント期間中は計上しない

フリーレントの期間中は家賃収入がなかったとして会計処理はおこなわない方法です。

フリーレント期間が1か月の場合、その期間は空室期間(家賃収入なし)とし、入居2か月目から通常の計上方法で処理します。

なお、多くの場合こちらの会計処理が使用されます。


2:賃料総額を賃貸期間で分割して計上する

家賃総額を賃貸契約期間(フリーレント期間を含む)で按分して計上する方法です。

たとえば、賃貸契約期間2年(24ヶ月、うち4ヶ月がフリーレント期間)、月額家賃12万円だった場合で計算してみましょう。


2年間の家賃総額 = 12万円 × ( 24 – 4 )ヶ月 = 240万円

1ヶ月あたりの家賃額 = ( 家賃総額240万円 ) ÷ ( 賃貸借期間24ヶ月 ) = 10万円


フリーレント期間中(4ヶ月間)は、借方に「地代家賃 10万円」、貸方に「未払金 10万円」を記載します。

フリーレント期間が終了した5ヶ月目以降は、借方に「地代家賃 10万円」と「未払金 2万円」、貸方に「現金預金 12万円」を記載します。


フリーレント期間の差額を未払金として会計処理することを忘れないようにしましょう。


まとめ

一定期間の家賃を無料にするフリーレントは、入居者は引越し費用の負担が軽減され、大家さんは家賃を下げずに入居付けができるなど空室対策につながるため、双方にとってメリットがあります。


なお、解約時の違約金にまつわるトラブルを回避するためにも、賃貸借契約締結時にはフリーレント特約について入居者にしっかりと説明をおこないましょう。


またフリーレントを上手に活かすためには、収益への影響や効果を確かめながらフリーレントに適した期間や導入のタイミングを見定めることが重要です。

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