不動産投資の「一棟投資」とは?そのほかの不動産投資の種類と比較
2022/07/15

不動産投資の「一棟投資」とは?そのほかの不動産投資の種類と比較

不動産投資をおこなうにあたって、「一棟アパートや一棟マンション」などの一棟物件に投資をするか「区分マンション」や「戸建て賃貸」を選ぶか迷う場合も少なくないようです。

アパートやマンションの一棟投資と、それ以外の種類の不動産投資では、どのような違いがあるのでしょうか。


今回は、アパートやマンションの一棟投資のメリットやデメリットを、そのほかの不動産投資物件の種類と比較しました。

これから不動産投資をはじめる際の物件選びの参考にしてください。


不動産投資の「一棟投資」とは?

「一棟投資」とは、一棟単位でマンションやアパートを購入し、各部屋を賃貸して家賃収入を得る、または物件を売却して売却益を得る不動産投資方法です。


一棟投資の特徴は、建物すべての部屋と土地を所有することができるので、賃貸経営の自由度が高い点です。

また区分マンションと違い土地を所有するため、出口戦略の幅も広くなります。


一棟投資とほかの不動産投資の種類

デメリット ビジネスマン ブロック

一棟マンションや一棟アパートのほかにも、不動産投資の対象となる物件の種類はたくさんあります。

ここでは住居系の不動産投資物件の種類を紹介します。


区分マンション投資

マンションの1室を所有して賃貸し、家賃収入を得ます。

1室から購入できるので少ない自己資金ではじめることができ、建物の管理はマンション組合や管理会社がおこなうのでオーナー様の手間が少なくて済むのがメリットです。


また単身向けやファミリー向けなど間取りや価格帯もさまざまな種類があり、目的や予算にあわせて物件を選べます。

さらに複数の物件を所有する際、別々のエリアで取得できるので災害リスクなどの対策になるのも区分マンション投資のメリットです。


金銭的にも労力的にも負担が少ないため、初心者でもはじめやすい不動産投資方法です。


ただし、物件を1室しか所有していない場合はリターンが少なく、また空室時は家賃収入が0円になってしまうのがデメリットになります。


戸建て賃貸

一戸建ての住宅を第三者に貸して家賃を得ます。

戸建て住宅のほとんどがファミリー向け物件なので単身者向け物件より家賃を高めに設定でき、長く住んでもらえる可能性が高いなどのメリットがあります。

清掃や管理などは入居者がしてくれるため、管理委託の手間や費用は不要です。


ただし、所有するのが戸建て1軒のみの場合、入居者が見つからないかぎり賃料収入が入ってこないため注意が必要です。


また、戸建て住宅は原状回復リフォームやクリーニング費用などが高くなりやすいのがデメリットです。

戸建て賃貸用物件を選ぶ際は、短期間で退去されないよう、ファミリー層の賃貸需要が高いエリアの物件を選ぶ必要があります。


一棟投資とほかの不動産投資物件のメリットを比較

一棟マンションや一棟アパートの不動産投資には、多くのメリットがあります。

ここでは、ほかの種類の不動産投資物件と比較しながら、一棟投資のメリットを紹介します。


運用の自由度が高い

一棟マンションや一棟アパートは、所有者であるオーナーが運用に関するすべてを自由に決定できます。

たとえば、管理委託先の会社を決めたり、大規模修繕の時期をコントロールしたり、場合によっては物件の用途を変更することもできます。


一方、区分マンションの場合は、区分所有部分以外の管理はマンション管理組合などがおこなうため、オーナー個人では決定できることが少ないです。

戸建て賃貸は設備の故障などは別ですが、建物管理そのものを入居者に任せる形なので、退去するまで物件の状態が把握しにくいという面があります。


空室リスク対策になる

一棟物件は、複数の部屋を賃貸し家賃を得ています。

そのため、よほどのことがないかぎり家賃収入が0円になることがなく、空室リスクの分散につながります。


区分マンションや戸建て賃貸は、所有しているのが1戸のみの場合、入居者がいないと家賃は0円なので、ローン返済などのランニングコスト全額を手持ちの資金から支払わねばならず、資金繰りの悪化が懸念されます。


物件の資産価値が高い

一棟物件の不動産投資をおこなう場合、区分マンション投資や戸建て賃貸投資と比較して、面積の大きな土地を所有することになります。

そのため資産価値が高くなり、金融機関から評価されやすく、融資を受けられる可能性も高まります。


一棟投資とほかの不動産投資のデメリットを比較

マンション リビング ソファ

メリットの大きい一棟投資ですが、一方で区分マンション投資や戸建て賃貸と比べると以下のようなデメリットがあります。


購入価格が高額

一棟マンションや一棟アパートは、区分マンションや戸建て賃貸と比較すると物件価格が高額です。

中古の一棟アパートでも数千万円、新築なら最低でも1億円以上はかかります。

一棟マンションンの価格は数億円単位となり、さらに高額です。


中古物件の区分マンションや戸建て住宅であれば数百万円から購入できる場合もあるので、購入価格だけで考えれば一棟投資は上級者向けの物件と言えるでしょう。


物件価格が高い分、不動産投資ローンで融資を受ける際に必要になる頭金や諸費用(初期費用)額も高額になります。

また、融資審査にかかわる個人属性のハードルが高くなるのもデメリットです。


不動産投資物件購入時に必要な初期費用は?

一般的な不動産投資物件の購入にあたって、融資を受ける際に必要な初期費用(頭金+諸費用)の種類と目安は以下のようになります。


【初期費用(頭金と諸費用)目安】

・頭金:物件価格の10%~30%程度

・仲介手数料:物件価格の3%+6万円+消費税(不動産会社を介した場合)

・不動産取得税:固定資産税評価額×3%(令和6年3月31日まで。土地および住宅)

・印紙税:物件価格によって異なる(1,000万円超5,000万円以下の場合1万円~)

・登録免許税:土地・建物の1.5%

・司法書士への報酬:10万円~15万円程度

・清算金(固定資産税、敷金など):物件引き渡しのタイミングなどによって異なる

・融資事務手数料:借入金額の1~3%程度

・融資保証料:借入額の2%程度(一括で支払う場合)

・火災・地震のための損害保険料:補償対象となる建物の構造や面積、補償内容によって異なる


分散投資できないので災害リスクの恐れがある

一棟物件の場合、賃貸物件が一カ所に集中することになるため、地震や台風の風水害などの災害被害によって一棟全体が打撃を受けてしまうと、大きな損害につながる可能性があります。


災害リスクの分散を考えるならば、異なるエリアに区分マンションや戸建て賃貸を複数所有することでリスク対策につながります。


一棟物件の災害リスク対策としては、物件を選ぶ段階で地震被害や水害などの自然災害被害が少ないエリアを選んだり、新耐震基準の建物を選ぶことです。

また、必要に応じて損害保険に加入し、万一のときは補償を受けられるようにするとよいでしょう。


地震保険について詳しくはこちら!>>不動産投資の地震リスク対策を解説!大家さんが注意すべき点は?


維持費用(ランニングコスト)がかかる

総戸数が多く規模が大きい一棟物件は、区分マンション投資や戸建て賃貸投資と比較すると維持費用が大きくなり、また管理にかける労力もかかります。

物件管理を管理会社に委託することでオーナー様の労力の負担を減らすことができますが、その場合は管理委託料が必要となるため費用負担が増加します。


不動産投資の運用時に必要な維持費用(ランニングコスト)

不動産投資の物件運用時には、さまざまな維持費用(ランニングコスト)がかかります。

ここでは、一般的な不動産投資に必要な維持費用と目安を紹介します。


【維持費用(ランニングコスト)の種類と目安】

・ローン返済費用:不動産投資ローンの借入額と金利によって異なる

・管理委託費用:1戸あたり5%~8%/月(物件管理を外部に委託した場合)

・修繕、リフォーム費用:家賃収入の5%~7%程度(築年数などによって異なる)

・火災・地震のための損害保険料:補償対象となる建物の構造や面積、補償内容によって異なる

・共用部分の光熱費:10万円~/年(物件の規模によって異なる)

・取得税・住民税:課税所得額によって決定する

・固定資産税(都市計画税):固定資産税評価額×1.4%(固定資産税評価額×0.3%)


一棟投資の中古と新築の違いは?

ここでは新築と中古の一棟物件について違いを比較してみました。

新築と中古、どちらがよいか迷った場合は、それぞれのメリットやデメリットを比較し、どちらがより自分の投資目的や目標にあうのか判断材料にするとよいでしょう。


新築一棟物件のメリット・デメリット

最新設備が整っている新築物件は入居者に人気があるため入居付けが容易であり、かつ「新築プレミアム」として相場よりも高めの家賃設定をできるのが大きなメリットになります。

また建物も設備もすべて新品なので修繕費用がほぼ不要、金融機関の融資も付きやすいです。


デメリットとしては、やはり購入費用の高さがあげられます。

加えて、物件価格が高いため利回りも低めになるのが一般的です。

また、前述の新築プレミアムは一度退去者が出るとその後は中古物件となり、家賃が大きく下がってしまう可能性があるため注意が必要です。


中古一棟物件のメリット・デメリット

中古一棟物件最大のメリットは、新築物件と比較して安く購入できる点です。

一般的に中古物件は、築年数とともに価格は下落していきます。



引用:東日本不動産流通機構『築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)』


上記のグラフは、東日本不動産流通機構が2022年2月に発表した『築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)』から抜粋したもので、2021年に成約した中古マンションの平米単価を築年帯別にまとめたものです。


このグラフを見ると、まだ築浅である「築0年~築10年」と「築21年~築25年」の間に価格が大きく下落していることがわかります。

逆に「築11年~築20年」にかけては、ほかと比べて価格の下落は比較的緩やかなようです。


そして、「築26年~築30年」を超えると、価格の下落は非常に緩やかになっています。

築年数によって価格が安くなると高利回りで運用できる可能性も高くなりますが、築年数によっては金融機関からの融資条件がきびしくなるため注意が必要です。

とくに法定耐用年数の短い木造物件は、築年数が法定耐用年数を超えると融資がつかなくなることもあります。


また、中古物件のメリットのひとつに、入居者がいる状態で物件を売買する「オーナーチェンジ物件」があります。

すでに入居者がいるため、購入直後から賃料を得られ、これまでの入居状況も確認できるので、過去の実績から収益の見通しが立てやすくリスク対策もおこないやすくなります。。


オーナーチェンジ物件について詳しくはこちら!>>不動産投資のオーナーチェンジ物件とは?好条件物件の見分け方!


中古一棟物件のデメリットは、外観や設備が古くなることで空室リスクが高くなる傾向にあることです。


入居付けのために最新設備を導入したり、人気の間取りにリノベーションしたり、外観を整えるために外壁工事をおこうなど修繕費用が発生する可能性もあります。

状況によっては家賃の引き下げも視野に入れる必要があるでしょう。


中古物件は購入後に発生する費用によっては、大幅に利回りが下がる可能性があることを留意したうえで物件を選ぶ必要があります。


まとめ

マンションやアパートの一棟投資は区分マンション投資や戸建て賃貸投資に比べて収益性や資産価値が高いのがメリットです。


その一方で区分マンション投資などに比べて購入価格が高く、物件購入時の初期費用も高額になるため、不動産投資初心者にはハードルが高い部分も見受けられます。


一棟物件、区分マンション投資や戸建て賃貸投資、それぞれにメリットとデメリットがあります。

どの不動産投資を選ぶかは、自己資金額や不動産投資の目標などにあわせて、無理なくはじめることをおすすめします。

一覧に戻る
writer-profile-container

岩崎 雅

2020年7月1日〜
当サイトのライターとしてコラム作成業務を開始
プロフィール
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。不動産以外のジャンルも含めると500本以上の執筆経験あり。