海外不動産投資で失敗しないポイントと国別のメリット・デメリット
2022/02/02

海外不動産投資で失敗しないポイントと国別のメリット・デメリット

海外不動産投資が注目される理由とは?海外不動産投資で失敗しないために!注意する5つのポイント1.現地で信頼できるエージェントを見つける2.海外投資ローンを扱う金融機関を把握しておく3.各国の不動産登記や不動産関連の法律を把握しておく4.節税目的ではなく安定した収支を得られる物件を選ぶ5.海外不動産投資詐欺には要注意!海外不動産投資の国別メリット・デメリットを紹介アメリカイギリスタイマレーシア海外不動産投資で融資が可能な金融機関を紹介オリックス銀行東京スター銀行SBJ銀行日本政策金融公庫(通称:日本公庫)まとめ

海外には、人口増加や経済発展などを背景に、将来的に大きな利益を生み出す不動産市場への発展が期待できる国が多数あります。

そのため、海外不動産投資に注目している不動産投資家も少なくありません。


しかし、国内の不動産投資とは異なる海外不動産投資を成功させるためには、いくつか気を付けるべき点があります。

そこで今回は、海外不動産投資で失敗しないための5つのポイントを中心に解説しながら、投資先の国別にメリット・デメリットを紹介します。

今後、世界に向けて海外不動産投資を検討する際の参考にしてください。


海外不動産投資が注目される理由とは?

海外不動産投資が注目される理由には、各国の人口の増加や経済成長によって大きな利益が期待できる点にあります。


人口減少がすでにはじまっている日本国内ですが、世界規模では人口が増え続けている国は少なくありません。

こういった人口が増えている国の主要都市では賃貸需要も高まるため、空室リスクが低くなり安定した賃貸経営につながります。


加えて、人口が増加することで経済面も活性化され不動産価格も上昇し、将来的には大きなキャピタルゲインを期待できる可能性が高いと考えられています。


日本国内だけでなく、海外で不動産投資をおこなうことで「リスクの分散」の効果もあります。

国内不動産投資の大きなリスクのひとつが、地震によるリスクです。

日本はどの地域においても地震が起きる可能性があり、新耐震基準の建物であっても想定以上の揺れや地盤沈下、液状化などのリスクは絶えず付きまといます。


そこでヨーロッパやアメリカ東海岸など、地震が起こる可能性の低い地域で不動産投資をおこなうことで地震リスクの対策につながります。


また、海外で不動産投資をおこなうことでドルやユーロなど、円以外の国際通貨を得られます。

資産が1種類の通貨のみの場合、為替レートの変動によっては資産が目減りしてしまうこともあるため、複数の国際通貨を資産として保有することで為替変動リスクの分散として役立つのです。


このように、日本国内で不動産投資をおこなうよりも大きな売却益や安定した家賃収入を得られる可能性に加えて、リスクの分散もおこなえることから、海外不動産投資は多くの不動産投資家から注目されているのです。


海外不動産投資で失敗しないために!注意する5つのポイント

ハワイ 海 コンドミニアム


海外で不動産投資を成功させるには、国内の不動産投資と同様に好立地物件を選ぶのはもちろん、国内とは異なる注意ポイントも存在します。

ここでは海外不動産投資で失敗しないための注意ポイントを5つ紹介します。


1.現地で信頼できるエージェントを見つける

遠く離れた海外で不動産投資をおこなう場合、現地の不動産エージェントを利用するのが一般的です。

エージェントの仕事は、取引対象物件の調査や売主(買主)の情報収集をはじめ、物件の売却・購入手続きのサポート、各種相談役など多岐に渡ります。


法律や慣習が日本とは異なる外国で不動産取引をおこなう際は、信頼できる現地のエージェントのサポートは欠かせません。

また海外不動産投資には詐欺まがいのものもあるため、取引の信ぴょう性を確かめるためにもエージェントがいれば不動産取引のリスクをおさえることが可能になります。


現地のエージェントを選ぶ際には、現地語と日本語が堪能なことや現地の不動産についての知識や経験が豊富なこと、現地の慣例などに詳しいことなどをポイントにして、信頼できる人物を選ぶとよいでしょう。


2.海外投資ローンを扱う金融機関を把握しておく

国内不動産投資物件を購入する場合に比べて、海外の不動産投資物件のローンを扱う国内の金融機関は非常に少ないです。

また、金融機関によっては融資対象となる国が限定されていたり、所有する不動産を担保にするなどの融資条件があったり、融資審査も国内不動産投資と比較しても厳しいものとなります。


さらに融資審査に通過しても、融資限度額や融資期間、金利などの融資条件も決してよいとは言えません。


なお、不動産投資物件の所在国の金融機関から融資を受けることも可能な場合がありますが、言語の壁や、国ごとの融資条件等をクリアする必要があるため注意が必要です。


海外不動産投資を取扱う不動産会社によってはグループ会社の融資プランを利用できる場合もありますが、国内や不動産物件所在地の金融機関から融資を受けられないときは、全額自己資金で不動産物件を購入しなくてはなりません。

海外不動産投資をおこなう際は、十分に下準備をおこなったうえで融資審査に臨む必要があります。


3.各国の不動産登記や不動産関連の法律を把握しておく

当然ですが、各国の不動産の取得や運用方法は、その国によって定められる内容が異なります。

外国人が土地を直接所有できなかったり制限を設けていたり、外国人に対して追加の税金を課されたり、外国人による不動産の最低購入価格が決められていてその金額が頻繁に変更される場合もあります。


また、不動産に関する法律が変わってしまって想定通りの収益を上げられない可能性もあるのです。

そのため各国の不動産登記制度や法律について詳しく知っておかなくてはいけません。


4.節税目的ではなく安定した収支を得られる物件を選ぶ

これまで海外不動産投資の大きなメリットのひとつに「節税効果」がありました。

これは、購入した海外中古不動産の減価償却費を大きく計上することで不動産所得を赤字にし、給与所得などのその他の所得と損益通算して課税所得を減らすことで所得税をおさえるというものでした。


しかし、2020年の税制改正によって国内の所得と海外不動産所得を損益通算できなくなったため、節税目的の海外不動産投資は意味をなさなくなりました。

よって、今後の海外不動産投資では安定したインカムゲインを得られる物件や確実にキャピタルゲインを得られる物件を選ぶ必要があります。


5.海外不動産投資詐欺には要注意!

不動産投資による詐欺被害のなかでも、海外不動産投資物件を餌にした詐欺は昔から存在します。

現地調査のしにくさを逆手に取り、実際の物件価格よりも高い値段で不動産を売りつけたり、実態のない不動産を買わせてお金を持ち逃げしたりといった悪質なケースの詐欺も少なくありません。


こういった海外不動産投資詐欺を避けるには、現地のエージェントに調査をしてもらったり、自分自身で現地確認をおこなったり、取引の信ぴょう性を確かめる必要があります。

また、信頼できる日本の不動産投資会社が取り扱う海外不動産物件を購入することも、海外不動産投資詐欺を避けるためには有効な手段のひとつです。


不動産投資詐欺について詳しくはこちら!>>不動産投資の詐欺手口と対策方法!要注意なセールストークとは


海外不動産投資の国別メリット・デメリットを紹介

マレーシア 開放的 高層マンション

ここでは、海外不動産投資がおこなえる国について、それぞれのメリットとデメリットを解説します。


アメリカ

アメリカで不動産投資をおこなうメリットは、人口増加率の推移が高いため賃貸需要の増加が見込める点にあります。

同時に、人口が増えることで不動産需要も増し、地域によっては不動産価格の上昇によるキャピタルゲインを狙える可能性も高まります。


またアメリカでは、不動産取引の際は「エスクロー(Escrow)」という中立の立場である第三者が仲介するため取引の信頼性にも期待できます。

そのほかにも、外国人による不動産所有に規制がないため中古不動産の売買がしやすい、海外送金に関する規制が少ない、アメリカの不動産物件を取り扱う日本の不動産会社の存在など、さまざまなメリットがあります。


デメリットとしては、エリアによって日本との時差が大きく、管理面で現地管理会社とのやり取りにタイムラグが生じやすくなることです。

ハワイや東海岸側など時差が大きなエリアは、緊急時の対処がおこなえないなど支障が出ることも考えられるため注意が必要です。


また、アメリカの首都圏は物価が高く、不動産投資の利回りも低い場合が多いのもデメリットになります。

利回りの高さで選ぶなら、首都圏から少し離れた都市を選ぶとよいでしょう。


イギリス

留学生の多いイギリスでは、学生向け住居が首都ロンドン以外の各地にも多く、また学生向けコンドミニアム物件などは比較的少額で不動産投資できるのがメリットになります。

ただし、学生向け不動産投資物件が供給過多になっているエリアもあるため、投資物件を選ぶ際には、現地エージェントにしっかりと情報確認をしてもらうなどの注意が必要です。


また、不動産の取引時には「ソリスター」と呼ばれる弁護士などが間に入るため、売買契約書や物件所有権の登記など法的な対応を専門家に任せることで法的な事故が起こりにくいというメリットもあります。


デメリットは、不動産取引に関する手続きが煩雑なため、物件取得までに時間がかかる点があげられます。

中古物件を購入する場合であっても、物件の購入申し込みから取引が終了するまでに3ヶ月~4ヶ月程度の時間がかかるため、その間に不動産市場が変化する可能性もあるため注意しましょう。


タイ

タイで不動産投資をおこなうメリットは、税金などのコストが日本と比較して安価であることや、安定したインカムゲインやキャピタルゲインが期待できる点にあります。

また日本人が多く住んでいるため不動産物件の情報収集がしやすく、日系の管理会社を探すのも容易なので物件の管理がしやすいのもメリットのひとつです。


デメリットは物価の高騰があげられます。

タイで不動産投資をおこなう場合は首都のバンコクが対象になりますが、バンコクの不動産価格は上昇傾向にあり、特に日本人に人気のエリアの不動産は価格が高騰しています。

同時に物件の供給過多になる可能性も高まるため注意が必要です。


マレーシア

マレーシアで不動産投資をおこなうメリットは、大きなキャピタルゲインを狙える点にあります。

マレーシアの人口増加率や経済成長率などは東南アジア内でトップクラスと言われており、今後も人口が増えることで賃貸需要や不動産需要の高まりが期待できるでしょう。


不動産価格は上昇傾向にありますが、それでも先進国と比較するとまだ物件価格は低水準の域であるため、購入しやすいのもメリットのひとつです。


デメリットとしては、外国人に対する不動産の最低購入価格規制があり、外国人はRM100万以下の物件を購入できないことがあげられます。

その理由は、マレーシアで外国資本に対する規制を緩和した時期に中国などからの大量投資によって乱開発がおこなわれ、その結果として大量の不動産が売れ残り、2021年の時点でも未解決という背景にあります。


そのため、外国人に対する不動産の最低購入価格規制はしばらくつづくと予想されていますが、逆に考えると、現時点で不動産を取得・運用しながら今後の経済発展による値上がりを待つことも有効な方法のひとつとして考えられます。


現況の段階でマレーシアの不動産購入を計画する際は、長期的な運用を視野に入居ターゲット層を定めたうえで、エリアや物件を設定するとよいでしょう。


海外不動産投資で融資が可能な金融機関を紹介

前述のように、海外の不動産投資ローンを扱っている国内金融機関の数は多くありません。

ここでは海外不動産投資ローンを扱っている国内金融機関について、融資条件等をまとめました。


オリックス銀行

オリックス銀行で海外不動産投資物件の融資を受けるには、所有する不動産を担保にする「不動産担保ローン」を利用します。


不動産担保ローンの対象となる不動産の所在地は限定されないため、広範囲の海外不動産投資が検討できます。

ただし、担保となる不動産の所在地や種類には制限があるため注意しましょう。

なお、オリックス銀行の不動産担保ローンの借入金額は1,000万円から2億円以内、借入期間は最長35年、金利は3.3%~3.675%(金利タイプによって異なる)になります。


東京スター銀行

東京スター銀行の海外不動産投資ローンは、ハワイに所有する不動産を担保にする「ハワイ不動産担保ローン」が用意されています。

ローン対象となるのは、ハワイ州オアフ島南岸エリア(ワイキキ、アラモアナ、カカアコ、ゴールドコースト、カハラ、ハワイカイ、エワ・ビーチなど)に所在する不動産になります。


なお、担保物件にもエリア指定があるため注意が必要です。

融資条件は、借入金額は1,000万円以上3億円以下(円建て)、融資期間は1年以上5年以内、固定金利年2.8%(円建て)になります。


SBJ銀行

SBJ銀行では、ハワイ州ホノルルの不動産を対象とした「ホノルル不動産購入ローン」が海外不動産投資ローンとして用意されています。

借入金額は1,000万円以上2億円以内(借入通貨円建て)、借入期間が1年以上35年以内、金利は2.80%(変動金利)となっています。


また、SBJ銀行が保険料を負担する「団体信用生命保険(団信)」へ加入ができるので、万が一の場合も安心です。


日本政策金融公庫(通称:日本公庫)

日本政策金融公庫では、「海外展開・事業再編資金(企業活力強化貸付)」として海外不動産の融資を扱っています。

ただし日本公庫から融資を受けるには、あくまで「事業」としてであり、「投資」目的では融資審査で落とされる可能性があるため注意が必要です。


なお、借入金額は7,200万円まで、借入期間は7年〜20年、借入金利が0.56%〜2.35%となります。


まとめ

海外不動産投資をおこなうには、まず信頼できる現地エージェント選びが必要不可欠です。

慣れない土地、慣れない言語、日本とは異なる法律の国で不動産取引をおこなうのは非常にハードルが高く、かつ不安な面も多々あります。

信頼できるエージェントを間に入れることで、不動産取引がスムーズにおこなえるため、取引時のリスク軽減にもつながります。


また、不動産投資をおこなう国によってメリットやデメリットは異なります。

国内の不動産投資とは勝手の違う部分が多いため、海外不動産投資をおこなう際は、慎重に検討することをおすすめします。

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